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2025年6月19日 16:00

備蓄米 なぜスーパーに届かない?日本市場狙う台湾米 輸入前倒しで価格に影響は?

2025年6月19日 16:00

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小泉農水大臣が放出した随意契約の備蓄米が、契約したにも関わらず、未だに店頭に並ばず、入荷日さえわからないという小売店が各所にあります。

『随意契約の備蓄米』は、なぜお店に届かないのでしょうか。

■小泉大臣「コメ高騰が異常事態」銘柄・備蓄・輸入 何を買う?

スーパーのコメ平均価格です。
5キロあたり税込み4176円、前の週から48円の値下がりで、3週連続の値下がりです。
今回は、随意契約の備蓄米の影響が含まれる初の調査です。
備蓄米を含むブレンド米などの平均価格は、前の週に比べて64円下がっていますが、銘柄米は5キロあたり4443円と、前の週から14円値上がりしています。

街の人のおコメを買う基準です。

息子と2人暮らしの70代女性
「銘柄米は5キロ4800円で高くてとても買えない。3000円台までいったら買える
20歳男性
「昼はパスタを食べることも増えたが、夜はお米じゃないとダメ。銘柄米のあきたこまちを選んでいる
夫と2人暮らしの70代女性
以前は夫が好きな銘柄米を選んだが、今は売り場で一番安いコメを選んでいる。もち米やもち麦を混ぜると、量も増えておいしく食べられる」
横浜市にあるスーパーセルシオ和田町店の久保田浩二さんは、
「以前は、お客様の購入の選択肢が増えるように様々な種類のお米を入荷していたが、高騰してからはもう安さ重視。お客様も値段で選んでいる人が多い。最近は、ベトナム米の入荷も検討している」と話しています。

6月17日、小泉農水大臣は、
「コメの価格高騰が、やはり過去と比べても、間違いなく異常事態」と話し、コメの流通実態の把握を強化するため、
●JAなど集荷業者や卸売業者・小売りなど全7万社を対象に、6月末時点の仕入れ・販売・在庫などの報告を求めること、
●大手の集荷・卸売業者に対しては訪問調査も実施する方針を示しました。

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■随意契約米「店で見たことない」売り場にないワケ

そして、街からはこんな声も聞かれます。

70代女性
「安い備蓄米を購入したい。でも、いろんなお店を回っても見たことがない

随意契約の備蓄米については、購入意向がある人は約64%という中で、実際に購入した人は5.5%しかいないという調査結果があります。

随契米を、なぜ買えないのでしょうか。

随意契約した、石川県の小売り業者・コメヤ薬局は、備蓄米10トンを申し込んで、国の書類審査は6月6日までに完了しています。

しかし、
「政府が運送などを委託した業者とやり取りしている。入荷の希望日を出しているが、いつ入荷するか返事がない状態」だということです。

そもそも随意契約は、政府が直接、申し込みのあった小売店を審査します。

審査が通った小売店は、備蓄米の保管・運送を担う受託事業者と契約して、備蓄米を受け取ります。

受託事業者からの物流の滞りはないのでしょうか。

受託事業者に聞くと、
A社は、
「農水省の委託で業務を行っており、何もお答えすることはできません
B社は、
「答えられることは『農水省の指示に従って、粛々と業務をこなしている状況』というのみです」
という答えでした。
そこで、小売りまで随意契約の備蓄米が届かないことについて、農水省に聞いたところ、
「考えられる要因の一つは、受託事業者が担うコメのカビ確認1トンあたり10〜15分ほどで、かなり時間がかかる」ということです。

さらに、カビ確認は1回につき1トンまでしかできないそうです。

一方、早い段階から販売している大手の小売りがいるのは、どうしてでしょうか。

農水省によると、
「大手の中には、カビ確認を自前でやる会社があり、その分運搬が早まった」
「大手は、契約に手慣れている業者が多く、また信用力のチェックにも比較的早く結果が出る傾向」があるということです。
宮城大学の大泉一貫名誉教授です。
「受託事業者は、トラック運転手が人手不足。物流面で課題があり、どれだけ多くのコメを抱えられるのか、精米工場も、精米をどれくらい処理できるか課題になっている」
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■台湾から輸入急増 日本市場狙う台湾米 コメ輸出の戦略とは

コメの輸入についてです。

民間でコメを輸入した場合は、1キロあたり341円の関税がかかります。
それでも、2024年1年間で1008トンだった輸入量が、2025年4月の1カ月だけで約6800トンと、2024年1年間の約7倍です。

中でも、台湾からの輸入が2025年の1月〜5月で7759トンで、前の年の同じ時期と比べて、6倍以上となっています。

台湾では、日本と同じジャポニカ米が主に栽培されています。

台湾では、かつては東南アジアで主流の粒が長いインディカ米が栽培されていましたが、100年ほど前、日本が台湾を統治していた時代に、ジャポニカ米が持ち込まれます。

現在は、それが品種改良され、暑さに強くなったジャポニカ米が主流になっています。

台湾の稲作は、亜熱帯・熱帯モンスーン気候で年間通して温暖なため、二期作が基本で、南部では三期作も行われています。

台湾のスーパーでは、ジャポニカ米が5キロ約2000円で売られています。
コメの食料自給率は97%です。

台湾のコメの生産量は、約102万トンで、輸出量は約14万トンです。

台湾の1人当たりの年間消費量は、1984年に約84キロだったのが、2023年には約42キロと、40年間で半減しています。

台湾農業当局は、
「新興市場への展開を継続し、稲作産業の輸出志向型への転換を推進する。持続可能かつ安定した輸出・供給体制を構築していく」としています。

大阪市内の業務用スーパーでは、6月10日から台湾米を販売しています。

5キロ4082円で、1705円の関税をプラスしても、国産の銘柄米よりも安いということです。

台湾米について業務用スーパーの店長は、
「500円〜1000円くらいの幅だが、国産米より安く提供できている。日本の味に近いお米を探したところ、台湾米にいきついた。日本人の口に合う」と話しています。
台湾農業当局は、
「現在の日本のコメ不足をきっかけに、高品質の台湾米を日本市場に販売できると期待している」としています。
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■輸入米の入札前倒しへ 価格に影響は?コメ農家「非常に困る」

コメの不足感解消に向けた、小泉農水大臣の動きです。

備蓄米の在庫状況です。
2024年6月時点で約91万トンありましたが、入札によって約31万トンを放出、そして、随意契約で約49万トンを放出予定です。
残りは約11万トンになります。

小泉農水大臣は、コメの不足感解消のため、ミニマムアクセス米(政府が輸入するコメ)の入札前倒しを決定しました。

小泉農水大臣は、
「マーケットに対し(価格抑制へ)『できることはなんでもやる』というメッセージの一環」だと話しています
また、備蓄米放出の最中に、輸入前倒しを決めたことについては、
「9月に(輸入米が)それだけ入ってくるんだなと、早く見通しを出したほうがいいので、速やかに公表した」としています。

ミニマムアクセス米は、政府が海外から関税ゼロで義務的に輸入するコメです。
年間77万トン輸入し、主食用として10万トン、飼料などとして67万トンが使用されます。

例年9月に入札、12月引き渡しだった主食用のうち3万トンを、2025年は6月27日入札・9月下旬引き渡しに、3カ月前倒しすると決定しました。

新潟のコメ農家の方は、
「新米の時期と重なる9月に輸入米を入れるというのは、新米の価格を下げようとしているのではないか。農家としては非常に困る」と話しています。

(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年6月18日放送分より)

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