止まらない物価高で少しでも節約したい…そんな人々の駆け込み寺として再度注目されている「金券ショップ」を舞台に、115人に徹底調査しました。デジタル時代に、金券の魅力は?みなさんの“節約術”と“お金事情”を聞き込みました。
多い日には来店客数400人以上
物価高の救世主、金券ショップ。
金券歴20年という60代女性。ポーチの中には金券がぎっしり入っています。
百貨店などで使える商品券から、スーパーの支払いに使えるカード、外食用まで、金券が続々と出てきます。
「(Q.1年で!?)はい」
日常の買い物を金券にすることで、年間10万円も節約できるとは驚きです。そして…。
空前の物価高のなか、改めて注目される金券ショップ、今回は115人を大調査しました。人気の金券活用術ランキングも発表します。
舞台は、東京・池袋駅の地下街にある「J・market」。デジタル時代にもかかわらず、金券を求めて多い日には400人以上が訪れます。
「やはりお得感がある」
「普通に買うのがバカバカしくなっちゃう」
やはり今、「おこめ券」を求める人が多いといいますが、人気すぎて品薄だとか…。そんななか、50代の女性は…。
なんと、おコメの買い出し用にと購入したのは、東京メトロの24時間乗り放題の乗車券。定価700円が100円引きに。全9路線がすべて乗り放題なので、安いお店をハシゴするのにピッタリだとか。
80代の男性が買ったのは、お孫さんへの贈り物。1万2000円分の図書カードが400円引きに。
「(Q.結構奮発されましたね)自分では何も買えません」
年金生活は楽ではないといいますが、孫の喜ぶ顔が楽しみだといいます。
「(Q.未来への投資)そういうことです」
50代の女性は、食事券1万500円分を一度に購入し、525円の割り引きに。それで何を食べるんですか?
介護の仕事をするという女性。実は、この金券が1週間分の食事代。お気に入りの外食が、自分へのごほうびと元気の源だといいます。
長い距離を乗るほどお得「私鉄の株主優待乗車証」
ここで、115人に聞いた、人気の金券活用術トップ3を発表。まず、第3位はお得感の高さが魅力の「乗車券」。
「交通費は毎日のことなので、バカにならない」
東京・京都間の新幹線チケットを購入したのは、60代の女性。
往復で、840円の節約です。
30年来の友人とコロナ禍以来、実に6年ぶりに再会。浮いた800円は、お抹茶代になりました。
さらに、多くの金券マニアが口にしたのが「私鉄の株主優待乗車証」です。
「普通に買うと1000円以上。片道分で往復できちゃう」
「小田急線の全区間乗れる。新宿から終点まで」
これ1枚で各社の始発駅から終点まで乗車が可能。つまり、長い距離を乗るほどお得になる片道切符なんです。
60代の女性は「これを知ったのは半年前。それまでは普通の運賃で行っていた、20年くらい」と、ちょっと悔しそう。2カ月に一度、小田原に通うこと20年以上…その目的は?
40歳でマラソンに目覚め、海外の大会にも挑戦。今も、小田原のクラブで走るのが楽しみ。
小田急線で新宿から小田原まで、通常910円かかる運賃が540円に。往復で740円の節約です。
浮いたお金はマラソン後のごほうびのビールに。おいしさも格別だとか。
こちらの男性も「株主優待乗車証」のヘビーユーザーです。
「毎月1回静岡に行っている。(私鉄の株主優待券を)買って小田急に、小田原から新幹線」
それにしても、毎月静岡に行く秘密が…バッグの中に入っている、謎の物体…。
その正体は…?
男性が演奏しているのは、ドイツで発明されたオートハープの1種。日本では珍しい演奏家だといい、静岡にある知り合いのライブハウスで月に一度、その音色を広めているんだとか。
「月に1回お墓参りに行くので、ちょっとでも節約したい」
毎月活用している女性からも、耳寄り情報が聞けました。
在庫状況や有効期限によって価格は日替わり。かなり上下するので、こまめにチェックするのが吉です。
「ギフト券」シニア世代へのプレゼントにも人気
金券ショップ115人調査、人気の活用術トップ3。第2位は「金券」をプレゼントとして活用。
「友だちの誕生日プレゼント」
「いろいろなところで使えて、好きなものが買える。年齢的にだんだん“断捨離”して終活していく段階。一番これが手っ取り早いかなと」
シニア世代へのプレゼントに、今人気なのが様々な「ギフト券」。
「QUOカードありますか?」
「QUOカードはプレゼント用?」
「はい」
「いくらの額面?」
「1万円のがほしい」
「9900円になりますね」
「はい」
「コンビニによく行くと言っていた。父にプレゼント」
50代の女性は、お父さんにQUOカード。誕生日のプレゼントです。
「82だよ」
コンビニで好きなものが買えるのが便利と選んだ、QUOカードですが…。
「これ何?」
「これQUOカード」
「QUOカード?」
「コンビニで買うじゃん、これ。これと一緒にQUOカードでお願いしますって」
あれ?なんだか、よく分かっていない様子…。
プレゼントから3週間。お父さんはもったいないと、まだお財布にしまっているそうです。
こちらの男性が買ったのは、缶ビール2本と引き換えられるギフト券を5枚。聞くと、まだ19歳の大学生といいますが…。
「母にプレゼントしたくてビール券を買った。母はお酒が好きで料理している時もよく飲んでいる」
いつも忙しく、好きなお酒もゆっくり楽しむ暇がないお母さんに感謝の気持ちのプレゼント。
「未成年でお酒は買えないので、ビール券を渡そうかなと」
お母さん、喜んでくれるといいですね。
「お花券って…?」
「『花とみどり』ありますよ」
40代の男性が買ったのは、お花のギフト券。お花に限られますが、5000円分が1250円引きとかなりお得。
「あす父の日。うちは母が亡くなっていて、父がいつも実家の仏壇にお花を…。行きつけのお花屋さんで買っているので」
お花が大好きだった母に、お花を絶やすことなく供え続けているお父さんへのギフト券。
「生前はバラとか季節の花。夏はヒマワリも好きだと」
今年もヒマワリを飾れる日が待ち遠しいですね。
“金券ショッピングの1日”に同行
金券ショップ115人調査、人気の活用術トップ3。第1位は「商品券」です。
「クレジットカードのポイント還元より安い金券を買ったほうが良い」
「どこでも使えて良いかなと。使い勝手が良いので」
商品券を使っての生活費の節約。デパートからスーパー、量販店など幅広く使えるので生活防衛にも役立ちます。
この日出会った、50代のミチコさん。その手には、商品券の束がありました。
「『アレとアレとアレを買うから、どの商品券が得だ』という感じで買い物」
金券歴は15年。毎月、10万円は金券で買い物するという金券マニアです。
そこで後日、“金券ショッピングの1日”に同行させていただくことに。
安い店をハシゴするため、商品券を使い分け。さらに、このメモは…。
「(Q.これ以外は?)買わない」
スーパーでは1週間分の食料品。その他、ホームセンターでは2カ月分の日用消耗品をお買い上げ。
そしてこの日、最大のお目当ては「ドッグフード」。ミチコさんは、2匹のワンちゃんを飼っています。
「(Q.結構な出費…)癒やしをもらっているのでしょうがないと…」
この日は1万3000円分のドッグフードを商品券でご購入。
3軒のお店で買い物し、合計4万2760円をお支払い。この日は商品券を使うことで、1972円の節約になりました。
「小銭大好きなので」
そんな金券生活を送るミチコさんの“お楽しみ”が、このお釣りの小銭。
小銭もチリもつもれば、年に一度の豪華ディナーに!
年金生活の80代の女性は、5万円分の商品券を550円引きでご購入。この日は大切な買い物があるといいます。
「これ杖代わりに持っているけど、杖代わりに使っちゃいけない…。だから杖代わりになるのを探しに」
それが、長年助けてくれた相棒のカート。
「腰・ひざ・足裏が悪いものですから。ヨタヨタと歩いております。達者なのは口だけでございます」
大切な物を買う時は、必ず金券ショップに。それも楽しみだとか。
「(Q.金券ショップはどんな存在?)唯一金銭的な潤いをもたらしてくださるところ。稼ぎのない人間ですから、倹約することぐらいしかできません。楽しみでもあります」
長く使える相棒、無事に見つかるといいですね。
金券ショップは、きょうも誰かにささやかな喜びを生んでいるようです。