経済

ワイド!スクランブル

2025年7月10日 15:50

刑務所内で採用「職親プロジェクト」 罪と向き合い人生をやり直す 出所者の自立支援

刑務所内で採用「職親プロジェクト」 罪と向き合い人生をやり直す 出所者の自立支援
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 刑務所の中で採用活動を行い、官民連携で出所者の社会復帰を支えるプロジェクトがある。闇バイトに加担した過去を持ち、この制度を利用して就職した2人を取材した。

元受刑者を自立支援する制度

 お好み焼きチェーン「千房」。社員として働くAさん(28)は闇バイトに加担し、詐欺と窃盗の罪で3年間服役した過去を持つ。犯罪に手を染めた理由は何だったのか?

「コロナが始まったころ、2020年の夏、家賃支払いなのに手持ちと貯金の残高を合わせて2000円しかない。日払いの仕事も探していたんですけど、それでも見つからなくて、支払えないどうしよう。闇バイト、裏バイトで検索しました」
コロナ禍で職失い生活に行き詰まったAさん
コロナ禍で職失い生活に行き詰まったAさん

 専門学校入学を機に青森から上京したAさん。就職するもコロナ禍で職を失い生活に行き詰まり、SNSで闇バイトに応募したという。

「特殊詐欺の受け子であったので、他人のカードを勝手に使うと窃盗も入ってしまうらしくて(懲役)3年ですね」
「(Q.捕まった時は)パニックになっていたので、あまりよく覚えていないです。警察の人に話し掛けられた瞬間、諦めて全部自分から言いました」
人生を諦めていたというAさん
人生を諦めていたというAさん

 刑務所に入ってから両親などとの関係が悪くなり、人生を諦めていたというAさん。そんな時、刑務所の中で立ち直るきっかけに出会った。

「服役している中で、職親というプロジェクトがありまして、いろいろ説明会やファイルを見ていて、ここいいなと思ってお話を聞いて」
「(Q.刑務所の中で面接をしていたのか?)そうです」

「服役中に内定」職親プロジェクト

2013年開始の「職親プロジェクト」
2013年開始の「職親プロジェクト」

 2013年から始まった「職親プロジェクト」。企業が「職の親」となり、出所者の社会復帰や自立を支える取り組みだ。

「千房」創業者の中井政嗣会長
「千房」創業者の中井政嗣会長

 このプロジェクトを立ち上げたのは、「千房」の創業者・中井政嗣会長。会長はそれより前の2009年から、すでに出所者を採用していた。

「最終的に私がすべて責任を取るということで。前代未聞、刑務所の中で採用・募集をする・服役中に内定を出す」
法務省や日本財団の協力も得て運営
法務省や日本財団の協力も得て運営

 出所者の採用を全国に広めるため、法務省や日本財団の協力も得てプロジェクトは運営されている。現在、全国で830の企業が登録されていて、これまでの総雇用数は1476人に上る。

「受刑者は仕事ってこんな楽しいんやということとか、人の優しさとか温もりとか、(刑務所から)出てきて初めて分かる」
特別扱いは一切なし
特別扱いは一切なし

 「千房」に採用された出所者たちは皆、犯罪歴を隠すことなく働いている。特別扱いは一切ない。Aさんはこう話す。

「職親だからとか受刑者だからというのは、特にないです」
「(Q.普通の同僚として扱ってくれたか?)もうむしろ早くレジ覚えなさいぐらいのバンバン仕事を教えられて」
Aさんの勤務する店舗の店長
Aさんの勤務する店舗の店長

 「千房」で働き始めてまもなく2年になる。Aさんの働きぶりを店長はこう評価している。

「お客様に対する接客であったりとか、おもてなしの心であったりとか、お客様を喜ばせている姿を見て、いつも頑張ってくれていると安心して見ていられますね」
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出所者だけに会長の携帯番号を共有

出所したばかりの男性・Bさん(42)
出所したばかりの男性・Bさん(42)

 「千房」大阪千日駅前店では、「職親プロジェクト」で先月就職し、出所したばかりの男性・Bさん(42)も働いている。

「(Q.社会復帰した実感はあるか?)住む所もありましたし、食事もまかないがついているので、ものすごくスムーズに生活できているなと実感しています。不安だったので」
「(Q.働いてみてどうか?)家族感があるというか、温かみ、思いやり、そのようなものをすごく感じた」
出所者だけに携帯番号を教えているという中井会長
出所者だけに携帯番号を教えているという中井会長

 「千房」は採用した出所者たちに仕事だけでなく、住む場所や食事も提供している。仕事を始める際には、一般の社員には知らされていない中井会長の携帯番号を出所者だけに教えているのだという。

「つらいとか苦しいこと、厳しいこと、悲しいことは必ず起こる。助けてもらえるところがあるという、依存先が一つでも多ければ多いほど安心できる。だから、もし壁にぶち当たっても、すぐ私に言いなさいと」
現在は7人が働く「千房」
現在は7人が働く「千房」

 これまでに69人の出所者を雇用してきた「千房」。現在、全国で7人が働いているが、ほとんどの人は転職や独立を選択。中井会長はこれが自立の証だと喜ぶ。

過去は変えられなくても、未来は変えられる

「きょうまでの過去は変えることはできない。でも、本人と本人の未来は変えられる。三日坊主でええねん。きのうの反省ときょうの実行、あすの計画。だから、きょう一日を一生懸命生きること」

 過去は変えられなくても、未来は変えられると、中井会長は語る。

生きる自信を取り戻したAさん
生きる自信を取り戻したAさん

居場所を見つけて生きる自信を取り戻したAさんは被害者への弁済を終えた今、未来に向けて、さらなる一歩を踏み出そうとしている。

「(Q.再犯しない自信はあるか?)ありますね。もともとお金に困ってやったことなので。(今は)生活も安定していますし、もう籍を入れるんですよ。逮捕される前からの付き合いで、待っていてくれた人なので、迷惑をかけないように」

 罪を償う間、待っていてくれた男性と婚姻届けを提出したAさん。縁起をかついで令和7年7月7日と、7が並ぶ日を選んだという。さらに…。

「(Q.今後の目標は?)調理師免許を取って、小さいお店をやれたらいいな。来年の5月に試験に応募して、12月に合否が分かる感じですね。10人ぐらい入る小さいお店をやれたらいいなと思っています」

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年7月10日放送分より)

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