今、セカンドライフの新たな選択肢として、リゾートバイトを選ぶ人が増えている。番組ではこれまで、全国津々浦々、17カ所で、リゾートバイトを経験した“大ベテラン”を取材した。
リゾートバイトの“大ベテラン”に密着
1000年余りの歴史を持ち、「美人づくりの湯」と知られる山形県の蔵王温泉。そこにある老舗旅館「わかまつや」で働いているのが原直美さん(55)。
「北海道からリゾートバイトで来ています。(今年の)6月の頭に来たので、今2カ月ですね」
今、原さんのように、50歳以上の人がリゾートでバイトをするケースが増えているのだ。一体、どんな仕事を行っているのか。
朝6時45分、旅館の隣に併設された寮から出勤。主な仕事は、宿泊客への朝食と夕食の配膳業務だ。
食事を終えたお客様を見送り、片付けや床掃除、夕食の配膳準備をして午前中の業務は終了した。
夕食の配膳準備の時間まで、およそ7時間の休憩となるのだが、楽しみなのは、お昼のまかないだ。
「きょうのメニューはホッケですね。ホッケとめんたいこ、サラダと豚のすまし汁みたいな…」
「(Q.毎日メニュー違うんですか?)違いますね。オムライスとかの時もあるし」
そして休憩の後は、午後5時から9時まで、夕食の配膳業務こなし1日は終了。
寮の家賃や、まかないは無料で、1カ月働くと、平均15万円〜25万円がもらえるという。うれしいのは、給料だけではない。
「温泉旅館の良いところは温泉に入り放題なところですね。ここは貸し切り風呂もあるので、貸し切り風呂が開いてたら、貸し切り風呂も入れます。すごくいい温泉」
さらに、リゾートバイトの醍醐味(だいごみ)は、休日にも…。
原さんが、同僚と向かったのは、旅館のある山形の観光地巡りだ。原さん、とても楽しそう。
そして一番のお目当ては山形名物「板そば」のお店。
「うわぁすごくうれしい。おいしそう」
「おいしい。ちゃんとおそばって感じ」
子育てを終え「第二の人生」
そんな原さんが、リゾートバイトを始めるきっかけとは、なんだったのか?
「きっかけは子どもが就職して巣立ったので私も巣立ちました。ちょうど50歳ちょっと前だったので、やりたいことをやるなら今のうちかなと思って」
若いころから、旅行が大好きだったという原さん。独身時代は、クルーズ船で働いていたという。25歳で料理人の夫と結婚、28歳で女の子を出産した。
「結婚しても、子ども生まれても、仕事はパートだったりとかはしていたけど、やっぱり制限されることはあるじゃない。育てなきゃいけないから。結婚しているし、ご飯も作んなきゃいけないしね。嫌じゃないんだよ、楽しいこともあるしさ。でも、義務でもあるじゃない。やらなきゃいけないことじゃない」
子育てを優先し、あまり旅行に行くことができなかったという原さん。子どもの独立を機に、「リゾートバイト」を始めた。
「印象深かったね。20年ぶりぐらいに家を離れて、一人でっていう。始まったって感じ。第二の人生みたいなのが」
そこからリゾートバイトの魅力にハマってしまったという原さん。京都や長崎、香川など様々な場所の旅館やホテルで仕事をしながら、その土地にある観光地を巡っているという。
そんな原さんに、気になることを聞いてみた。
「(Q.許してくれる旦那さんはすごい)許してんのか、あきれてんのか、あきれてるんだと思う。もう言い出したら聞かないって分かってるんだと思う。多分。子ども生まれる前、夫婦の時は自分の人生だけど夫婦の人生。子どもできたら、家族の人生。旦那とはチームだろって思うけど。でもね、もうね、いいじゃない。お互いいいじゃない。元気なうちはね、やりたいかな。仕事ができるうちはね」
原さんが語る、リゾートバイトの最大の魅力とは?
「普通にお仕事するだけでは、会えなかった人、年上だったり年下だったり、あと今海外の子も多いのでミャンマーだったりベトナムだったり会うことがなかった人に会えて、旅行に行けたらとか新しい出会いがあるのがすごく魅力的ですね」
リゾートバイト 50歳以上に人気
今、注目のリゾートバイト。特に50代以上の人に人気なんだそうだ。
リゾートバイトの仲介などをする株式会社ダイブによると、50歳以上の就業者は、10年前の2015年には120人だったのに対し、今年は、すでに970人とおよそ8倍となっていて需要が急増している。
この理由については、観光地で働きながら、その土地の魅力に触れ、社会とつながる。そんな新しいライフスタイルを選ぶシニアが増えている。さらに、将来の医療費や予期せぬ出費に備えた老後資金の蓄えのため、収入の柱と考える現実的なニーズもあり、リゾートバイトはその両方をかなえる手段としてシニア層に人気が高いという。
では、どのような場所が人気なのかというと、温泉施設や温泉がある地域、さらにゴルフ場や、その周辺のリゾートバイトが人気だそうだ。
(「ワイド!スクランブル サタデー」2025年8月9日放送分より)