多くの人がお金を出し合い、不動産を共同で所有して利益を得る「みんなで大家さん」という投資商品があります。この商品について先月末、運営企業が出資者に対し「分配金の支払いが遅れる」と通知していたことが分かりました。何が起きているのでしょうか。
1口100万円から投資募集
“未来”を感じさせる空間は「ゲートウェイ成田」と呼ばれるプロジェクトです。
成田空港から車で3分。東京ドーム10個分の広い敷地に巨大スクリーンを備えた5000席のドームやエリア最大級のホテル、国際会議も開けるイベント施設などが建設されるとうたわれています。
16日、その開発現場に行ってみると、まだ建物は建っていません。
このプロジェクトがスタートしたのは、およそ6年前。しかし、現地は今も“ほぼ更地”のまま。一部にブルーシートが掛かっているだけでした。
実は、この土地を取得する資金は個人の投資家たちから集めたものです。
共生バンクグループが展開する「みんなで大家さん」。1口100万円から個人投資家を募り、複数の出資者が共同で不動産を運営する仕組みだとしています。
「ゲートウェイ成田」の場合、出資金を集めた共生バンクのファンドが土地を開発業者に貸し出し、得られた賃料を出資者に分配します。
想定利回りは7%。2カ月ごとに配当が行われていました。ところが、先月31日に突然、分配金の支払いが遅れる通知が届いたのです。
「分配金の支払いを遅延せざるを得ない事態となり、ご心配とご迷惑をおかけします」
自らの退職金から400万円を出資したという70代男性はこう話します。
こうした投資をするのは初めてで、分配金は生活費として年金の足しにしていたそうです。
「みんなで大家さん」は金額の手軽さと高い利回りが人気を集め、出資者はこれまでに3万7000人に達し、集めた総額は2000億円に上るということです。
そのうち主力のプロジェクトで発生した今回の「配当遅れ」。何が原因なのでしょうか?
トップ謝罪「一日も早く正常化」
共生バンクグループの柳瀬健一代表が今月上旬、出資者に送ったメッセージ動画です。
グループ内の開発業者から支払われる土地の賃料収入が遅れていることが、分配金が遅れた理由だと説明しました。
「ゲートウェイ成田」は当初、土木工事の完了を2021年に予定していましたが、3度にわたって延長し4年8カ月の遅れが出ています。
柳瀬代表は今後、グループが保有する不動産や株式の売却で分配金のための資金を確保し、「ゲートウェイ成田」の開発費は債券発行などで賄う方針です。
出資者の相談を受ける小幡歩弁護士はこう話します。
(「グッド!モーニング」2025年8月18日放送分より)