争奪戦が始まっている今年の「新米」。価格も高止まりで、なかなか安いおコメに出会えません。新米高騰のなか、狙い目の「銘柄米」が安く買えるお店を探してきました。
新米“争奪戦”狙い目は?
22日、取材班が向かったのは、いち早く新米が収穫できる早場米の産地です。
千葉県の北東部、横芝光町。収穫が始まっているのは、「コシヒカリ」から生まれた新しい品種「ミルキークイーン」です。
取材をしたのはコメの生産から集荷、仲卸までを行う農業会社「理想郷」です。今年の新米について、出来や価格を聞くと…。
「主食米のミルキークイーンは去年よりも上々の出来。新米の価格は去年の約1.5倍の価格になると、『コメの値段が高くてなかなか手が出ない』という話を聞くので、手を挙げて喜べる状況ではないが、農家にとってみれば今までのコメの価格が安すぎたことがあって農家は利益が出るのでうれしいと思う」
新米の価格が上がるなか、“争奪戦”が起きているといいます。
「今までにない金額の取引が行われているので、コメの争奪戦が繰り広げられて、少しでも新米がほしいという状態が続いている。違う業者の人が興味を持っているようで、そういう人たちの買い付けが目立っている」
地元の農家を回り収穫された新米の集荷も行っています。関東で最も早く収穫されると言われる、千葉県のオリジナル品種「ふさおとめ」を運びます。
「だいたい1日に午前中3回、午後から4回、農家を回っている」
新米の時期は人手不足のため、アルバイトを雇って対応しています。
「コメを検査するために、袋からコメを抜く作業をしている」
新米を検査して、一等米、二等米、三等米に分類します。
コメの品質を示す等級は、どのようにして決めているのでしょうか?
「コメの性質と水分。今年は例年よりカメムシが多い。カメムシが入っていると等級が落ちてしまう」
精米工場でも徹底した品質管理が行われています。
「これが精米機。精米機に行く前に異物があるとまずい。異物の混入をとる」
精米しているのは千葉県産の早場米「ふさこがね」です。大手量販店や学校、病院などに卸しています。
「こちらで『穂先』というが、割れたコメを落とす。売れないコメ」
「(Q.割れたコメはどうする)せんべいなど原料に」
さらに…。
「虫に食われているコメをカメラが見てはじく。黒・茶色いコメをこの機械ではじく」
こうした検査を通過した品質の良いコメだけが、袋詰めされていきます。
発見!お得な「銘柄米」
毎週金曜日に発表されるコメの平均価格は3825円。銘柄米は4436円で、依然として高止まりしています。
こうしたなか、取材班は安い銘柄米を見つけました。秋田県産の「あきたこまち」が5キロで税抜き2999円。税込みで3238円です。銘柄米の平均価格に比べて、およそ1200円も安いワケは?
「(Q.銘柄米がお買い得、理由は)これは今、特別に値下げしたコメ。精米からちょっと時間が経ったものを売り切るために値下げした」
「(Q.精米からどれくらい経過)6月下旬なので2カ月」
「夏場で今、暑いこともあるし新米も周りの店舗で出回り始めている。(在庫の)コメの循環を進めていきたい」
21日までは、税込み3994円で4000円近い価格で売っていたのが、22日から700円以上も値引きしました。お客さんの反応は?
「安いよね。(税抜き)3000円以下だからビックリ『あきたこまち』だし」
「新米じゃないけど安いので、立ち止まって見ていた」
東京や埼玉で7店舗を展開するこちらの食品店では、今後、2024年産の銘柄米を安く販売していくといいます。
「(Q.新米を取り扱う予定は)しばらくは見送ろうと思っている」
「値段がとても高いので当店では見送って、これから“争奪戦”になってくることも懸念されるが参戦しないつもり」
コメ価格が“3極化”!?
取材を進めると今後、コメの価格は3極化する可能性が見えてきました。
大手スーパーにコメを納品する卸売業者です。2024年産の銘柄米の精米が行われています。
「新米がでてくる時期なので、今の時期は在庫を持たないように、なるべくお客さんに早めに納品している。きょうが最後の精米になる。この精米をして去年のコメは終わり」
新米が広く流通する前に、去年収穫された銘柄米を値引きして卸しているといいます。
「年間を通じて高値できたので、その分少しでも下げてお客様に還元できればと。10〜15%まで(価格を)下げて出した」
新米の買い取り価格を交渉するため、生産者の協会を訪ねます。
「今年は通常の値段より高めで、買い入れることができると思う」
「(価格は)高いにこしたことはないけど、あまりに高すぎても」
「1俵(60キロ)2万2000〜3000円ぐらい。採算合います?」
「ちょっと厳しい」
「今までのへこみがあるからね。2万5000円くらい?」
「2万5000円以上」
そもそも新米の価格は、農協が農家に支払う前払い金が基準となって決まるといいます。
「去年よりだいぶ高くなる。(前払い金を)農協が決めてくる。今年はこの額で買うと、それがベースの値段になって卸売業者が『それより500円高く買いますよ』と交渉しながら仕入れている」
今後、「コメの価格は3極化する」と専門家はみています。
「今の相場感からすると令和7(2025)年産の新米は、5キロあたり4200〜4500円になると思う。令和6(2024)年産の同じ価格帯で売られている銘柄米が、令和7(2025)年産の新米よりも安くなる。3000円台の後半3500〜4000円の価格になってきて、そこに継続販売が認められた5キロ2000円の備蓄米が入ってくる。3つの価格帯で相場が形成される」