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2025年8月29日 16:00

新米「高くて買えない」5キロ6000円超も 原因は猛暑と水不足 今後どうなる?

2025年8月29日 16:00

新米「高くて買えない」5キロ6000円超も 原因は猛暑と水不足 今後どうなる?
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全国のスーパーのコメの平均価格が2週連続で値上がりしています。
新米も店頭に並び始めましたが、価格が高騰しています。
原因は、猛暑や水不足などで、今後も高止まりが懸念されています。

コメの価格は、どうなるのでしょうか。

■コメ2週連続値上がり 新米高騰 売り上げは前年の半減も

全国のスーパーでのコメの平均価格は、5月31日に随意契約による備蓄米の販売がスタートしてからは下がっていましたが、8月に入って上昇し、現在は5キロ3804円
前の週より67円高くなっていて、2週連続の値上がりです。

松岡アナが、都内のスーパーを取材しました。

8月から販売された新米の価格です。
最安値は、千葉産の『ふさおとめ』で、5キロ税込み4514円。
最も高かったのが、茨城県産の『あきたこまち』で、5キロ税込み4946円。

それぞれ、2024年より、約1000円高くなっています

70代の年金暮らしの男性です。
「年金生活で、高くてお米が買えないので、今はカリフォルニア米。新米と比べたら、同じ値段で2回分買える」
子どもが2人いる50代の男性です。
「新米が一番美味しいのはよく分かっているが、子どもがたくさん食べるので高くて買えない。備蓄米が出てから、ずっと備蓄米を買っている。今回も備蓄米」
都内のスーパー『マルセイ』の牧田公義社長によると、
新米の売り上げは、現状、前年同月比で半減している」ということです。

目黒区のコメ専門店『スズノブ』でも、8月から新米の販売が始まりました。

先週から販売している茨城県産の『あきたこまち』は、5キロ6400円で、2024年の2倍以上です。

『スズノブ』の西島豊造さんは、
「うちは特にコメにこだわりのあるお客さんが買いに来るが、価格を見て、あまりの高さに驚いた顔をしている」と話しています。

こうしたなかで、備蓄米です。

農林水産省は、8月20日、随意契約による備蓄米の販売期限の延長を発表しました。
当初は8月末を期限としていました。

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■猛暑や水不足で新米に異変 低品質多く価格に影響

なぜ、新米の価格が高騰しているのでしょうか。

異変、1つ目です。
新潟県柏崎市では、8月、極早生品種『葉月みのり』を収穫しました。
品質検査の結果、2024年は94. 7%が1等米でしたが、2025年は1等米がこれまでに4. 5%2等米が、85. 3%で、2025年は白く濁ったコメが多かったということです。

なぜ、1等米が少なかったのでしょうか。

稲穂が出始める“出穂期”の7月中旬の降水量が、平年89. 7ミリが、2025年は3ミリ
7月下旬は全く降らず、猛暑雨不足が大きく影響しました。

JAえちご中越の担当者は、
「これからコシヒカリの収穫。8月はまとまった降雨気温が低い期間があり、品質に期待している」としています。

異変、2つ目です。

千葉県香取市のコメ農家『浅野ファーム』のケースです。
8月、早生品種の『ふさおとめ』を収穫して、すべて1等米と判定されました。
ただ、一部の田んぼでは、部分的に稲穂が黒っぽく変色してしまいました。

なぜ、変色したのでしょうか。

『浅野ファーム』の浅野浩代表によると、通常の玄米はクリーム色ですが、
高温障害が起きて“焼け米”状態に。田んぼの中で水分が特に足りていない所に発生し、例年はほとんど見られないが2025年は多い」ということで、連日の暑さと少雨による変色で、被害は2024年の3〜4倍だということです。

そして、農水省が7月30日に公表したのが、卸や米穀店43事業者を対象にした精米の歩留まり状況の調査です。

歩留まりとは、玄米に対して精米後に得られる白米の重さの割合で、通常は90%程度です。

この歩留まりが低いほど、より多くの玄米が必要になるため、価格高騰の一因となります。

2021年、2022年は90%ありましたが、2023年は88. 6%
2024年は89. 2%と、低品質のコメが多く2年連続で、90%を割っています

歩留まり低下の影響です。

歩留まりが1%低下すると、白米で6万トン以上、供給が減る計算です。

農林水産省の担当者によると、
「在庫が多い年なら影響は軽微だが、2025年は流通可能な在庫(玄米)は、低水準の153万トン。比較的、影響が大きくなっている」ということです。
宮城大学の大泉一貫名誉教授です。
2025年も記録的な暑さが続いており、歩留まりは低くなる可能性が高い」
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■新米高騰続く?「概算金」大幅アップ コメ価格は3極化も

2025年の新米の価格です。

2025年は、『概算金』というお金が、主要な生産地で大幅に引き上げられました

概算金は、JAなどが集荷時に、農家に支払う“前払い金”で、流通価格の予測から、収穫前に金額を決定します。

2025年の新米の概算金です。

1等米60kgあたり、
●北海道では、ゆめぴりかが、2024年より1万2500円高い、3万円
●秋田では、あきたこまちが、2024年より1万1500円高い、2万8300円
●新潟では、魚沼産コシヒカリが、2024年より1万3000円高い、3万2500円
など、軒並み大幅に引き上げられました。

概算金が大幅にアップした理由です。

JA全農新潟県本部は、
猛暑、渇水による生産コストの上昇
●他県の価格動向など踏まえ判断した、としています。

JA全農ひろしまは、
生産コストが高止まりしている、
●2024年からのコメ需要を踏まえ判断した、としています。

2025年の概算金についての農家の反応です。

新潟のコメ農家です。
「内心跳び上がる(金額)。ここにきて、天から何か降ってきたみたいな話」
北海道のコメ農家です。
「(過去の)単価があまりに安すぎた。後継者が機械の更新もでき、安心してやっていけるのでは」
宮城のコメ農家です。
「とてもうれしい価格。資材、農薬、農機具などが高騰しているので、経営はまだまだ厳しい状況が続く」
コメ農家が喜ぶ一方で、宮城大学の大泉名誉教授は、
「概算金は、小売価格にも影響する。2024年、集荷率が低下した農協がコメを集めるため、概算金を引き上げ、それが底値になる。手数料やマージンが上乗せされ、2025年も高値が続く可能性」があるとしています。

では、今後、コメ価格はいくらになるのでしょうか。

大泉名誉教授によると、
「今の相場感からすると、5キロあたり、新米は4200〜4500円。2024年産の銘柄米は、3500〜4000円。備蓄米は2000円。価格はしばらく3極化するのでは」ということです。
小泉農水大臣です。
「あまりにコメが高いと、高い関税を乗り越えてなお、民間の輸入で海外のコメが入ってくる今後も価格動向は注視し、対応できるところは対応していかないといけない」

(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年8月28日放送分より)

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