物価高騰の波が、食卓に欠かせない牛乳にも及んでいます。そんななか、牛乳よりも家計に優しい低脂肪乳が売り上げを伸ばしています。安さの理由を取材しました。
売り上げ急増 店も驚き
「(Q.牛乳はよく買う?)牛乳は週に5、6本は。だから、すごく痛手。いつも200円近辺だったのが300円弱くらいの印象」
「数年前と比べると、高くなっていると思う。子どもも飲むので、やはり影響はある」
家庭にも大きな負担となっている牛乳の高騰。酪農家は厳しい経営が続いていて、先月1日から一部の乳製品が2%から17%値上げしています。
そうしたなか、今売り上げが伸びているのが低脂肪乳です。
「すごく飲みやすいです。牛乳に比べてクリーミーさや甘みはそこまでないんですけど、そのおかげでさっぱりとしていて、口に残る感じがあまりないです」
三山アナがおいしそうに飲んでいるのは低脂肪乳。生乳から一部脂肪分を取り除いているのが特徴です。
池田幸平店長
「(牛乳の)値上げに伴ってですかね。こちらの商品、すごく売れるようになって。先月と比べると、110%ぐらいの売り上げになったので。先週から下の段に置いて露出を増やし、販売をするようになりました」
これまでは上の方の棚にひっそりと陳列されていましたが、手に取りやすく、売れ筋商品が並ぶ下の段に並べられるようになったという低脂肪乳。売り上げが急に伸びている理由について専門家はこう分析します。
清水池義治准教授
「(理由は)大きく2つある。1つは今年の夏も非常に暑いわけですけど、やはり暑い時はあっさりとしたものが好まれる。低脂肪牛乳は脂肪が少ないので、普通の牛乳と比べると、よりあっさりしていますので、暑い時に好んで飲まれる」
もう1つの理由が、牛乳よりも安い価格面での魅力です。
スーパーに並んだ低脂肪乳の価格を見てみると、1リットル148円の商品や139円の商品。なかには、108円の低脂肪乳までもあります。番組が同じメーカーの牛乳と低脂肪乳の価格差を調べてみたところ、低脂肪乳の方が1割から2割、牛乳より安いことが分かりました。
残った脂肪は生クリームやバターに
生乳から脂肪を取り除く作業が必要であるにもかかわらず、なぜ安く販売することができるのでしょうか?牛乳と低脂肪乳、いずれも製造しているメーカーに聞いてみました。
「生乳から脂肪を抜くことによって(脂肪を)生クリームやバター、付加価値の高いものに製品化できるので、その分だけ、残ったものの脱脂乳とか低脂肪の牛乳は安価にできる」
低脂肪乳を作る過程で、残った脂肪で生クリームやバターを作り出せるため、手頃な価格で低脂肪乳を販売できているということです。
実は、この低脂肪乳人気は15年前にもあったといいます。
「2009年や2010年にも、低脂肪牛乳がとてもヒットした時期があり、実はその時も牛乳の価格がとても高くなった時期と重なっています。乳業メーカーもその辺は意識していて、牛乳が高くなると、なかなか牛乳を売りづらくなるので、低脂肪牛乳の新しい製品を開発して、市場に投入するということもメーカーが行っていることも背景にある」
15年前は、その後牛乳の価格が安定したのに伴って低脂肪乳人気も落ち着いたということですが、メーカー側は、今年は長引く暑さの影響で売り上げも長期にわたって伸びると予想しています。
「成分的なすっきり感というか、今年は特に暑いということもあって、牛乳よりもすっきり感のある低脂肪乳が好まれているという傾向もあると思いますし、価格と合わせてこの傾向は続くのではないかと思う」
(「グッド!モーニング」2025年9月2日放送分より)