世界遺産に登録されている社寺群で有名な日光。去年、外国人の宿泊者数はおよそ16万人に増加。過去最高を記録しました。
JR日光駅、東武日光駅に何でも相談できる「観光案内所」があります。外国人観光客を追跡しました。
“外国人観光客の駆け込み寺”に密着
「世界中を回っていますが、日光はとても荘厳で素晴らしいですね」
世界遺産に登録されている社寺群で有名な日光。去年、外国人の宿泊者数はおよそ16万人に増加。過去最高を記録しています。
そんな日光の玄関口「JR日光駅」。ここに“外国人観光客の駆け込み寺”が。何でも相談できる「観光案内所」です。
「こんにちは。お寺を巡ろうと思っているんですが」
スタッフ
「今夜は泊まりですか?」
チェコから
「いいえ、日帰りです」
語学が堪能なスタッフが対応。多い時は、1日150人近い外国人がやってきます。
密着すると、意外な人気スポットが浮かび上がってきました。
外国人の人気No1 ご利益スポット
「橋にはどうやって行けばいいですか?」
「橋」に行きたいというスペインから来た女性たち。チェコから来たカップルもこう話します。
「名前は忘れたけど橋に行きたい。日本の史跡や歴史に興味があります」
外国人が目指す橋は、日光東照宮の近くにあります。
多くの外国人観光客が集まっていました。お目当ては、昔から神聖な橋として尊ばれてきた「神橋」です。
実はここ、外国人に人気の観光スポットとして「北関東エリア」のナンバーワンに輝いているんです。
「いにしえの日本という感じ。流れる川と手作りの建造物のコンビネーションが美しい」
橋の近くには、ご利益スポットが点在しています。
「良縁の鈴」は、鳴らすと縁結びのご利益があるとされています。お嬢ちゃんも好きな人がいるのかな?
「お母さんのために鳴らしたよ」
こちらのドイツ人カップルが触っているのは「なで石」。心がまるくなり、夢がかなうとされています。
「色々なモノに歴史や伝統があってそれを発見するのがとても面白い」
さらに、神橋のたもとには、“橋わたしの神様”が祭られた祠(ほこら)があります。ここでお願いをしてから神橋を渡ると“良縁の橋渡し”をしてくれるそうです。
「(Q.どんなお願いを?)ナイショ。ドイツではお願いごとは秘密にしないとかなわない」
いや〜、失礼しました。良縁が末続くことを祈っております。
知る人ぞ知る納涼スポット
再び、日光の観光案内所です。
「スーツケースを預けられる場所はありますか?結構大きい」
オランダから来たという女性。日本人でも知らない人が多いという、“納涼スポット”を目指していました。
「(Q.今日はどちらへ?)絶対に行きたいのは…カンマンガフチ」
「(Q.カンマンガフチ?)有名じゃないの?」
「(Q.どこで知った?)TikTok」
SNSで知ったという“カンマンガフチ”。ボーイフレンドと一緒に向かうと言います。
そこは日光東照宮からおよそ20分の場所。「輪王寺」の敷地内にあるといいます。
“カンマンガフチ”は、知る人ぞ知る納涼スポットでした。
「とっても冷たい」
この小さな渓谷こそが「憾満ケ淵(かんまんがふち)」です。「かんまん」とは不動明王の真言。川の音が、真言に聞こえたことから、その名が付けられたといいます。
「とっても気持ちいい」
「日光の街は40℃だったから天国にいるみたい」
「憾満ケ淵」のまわりは20℃ほどに下がっていました。確かに天国ですね。
さらに涼しくなる“意外なスポット”があるといいます。
川沿いにズラーッと並んでいるのは「お地蔵さん」。およそ400年前に作られたとされています。
「これが見たかった。本当に素晴らしい光景」
実はこのお地蔵さんには“ある秘密”がありました。
「別名“化け地蔵”と言われている。端から向こうまで数えて、また戻って数えると数が違う」
数えるたびに数が変わるという“化け地蔵”。風雪にさらされ続け、現在は70体ほどが残っています。背筋までひんやりしたい人はぜひ数えてみてください。
「(Q.地蔵は怖くない?)怖くはない。とても感動した」
「両親の友だちがよく来ていて教えてもらった。僕の国にも川はあるけど、スピリチュアルなものは初めて見ました」
「素晴らしい。他に何と言ったらいいか分からないくらい」
外国人がハマる食べ歩きグルメ
日光には外国人観光客がハマる名物グルメもあります。
日光の駅から歩いておよそ10分の「補陀落(ふだらく)本舗」は、創業して70年になる和菓子店です。こちらはドイツから来たカップル。
外国人に人気のオリジナル商品が、日光名物の“ゆば”を使った「ゆばむすび」です。
「とってもおいしい。“ゆば”がおいしい。私たち日本食が大好き。おいなりさんに似ている」
“ゆば”は半生の状態のものだけを使用。トビウオを使った「あごだし」などで味付けした「おこわ」をそっと包みこんでいます。実は「ゆばむすび」が外国人に注目されるようになったキッカケがありました。
「ヨーロッパでは約1年前からおにぎりがブーム。今ではスーパーマーケットで色々売っているんですよ」
「ゆばむすび」は作りたての“ゆば”を使用するため、1日100パック限定です。
日光には他にも、外国人に人気のグルメがあります。創業して5年になる「勇庵」。かき氷…じゃないですよ。削っているのは凍らせたイチゴ。栃木県産の「なつおとめ」です。
夏から秋に収穫されるめずらしいイチゴを使ったひんやりグルメです。
「この暑さだから最高」
さらに、長さ25センチもある「ゆばカレーパン」。刻んだ“ゆば”をカレーの中に入れたオリジナル商品です。
ドイツから来た女性が初体験。
外国人にウケるグルメには秘密があると言います。
「手軽に食べられる。外国人はレストランに入りたがらない。忙しいのかな?観光したくて。だから手持ちで食べられるカレーパンが人気」
猛暑で注目“関東の冷蔵庫”?
外国人宿泊客が過去最多を記録する日光。アットホームなゲストハウスを利用する外国人が増えています。
フランス人家族にある動画を見せると…。
「ここ行きたい。ここ行きたい。ここ行きたい」
「これは行かなきゃダメですね」
その場所は、猛暑の中で注目されている“関東の冷蔵庫”でした。
東武日光駅にある観光案内所です。
「湯滝という所に行きたい」
スタッフ
「湯滝はこの場所にあります」
フランスから
「駐車場は遠い?」
スタッフ
「いいえ、近いですよ」
レンタカーを借りて移動します。フランス人家族は、3週間にわたって富士山や大阪など日本各地をまわってきたといいます。
彼らが目指すのは「奥日光」です。夏の平均気温が20℃台。誰が呼んだか“関東の冷蔵庫”。すると…。
これぞ、男の子が行きたいと騒いでいた「湯滝」です。高さ70メートル。奥日光で最大級の滝です。
「湯の湖」と呼ばれる湖から流れてくる豊富な水は、「中禅寺湖」へと至ります。
「とても感激している」
観光シーズンでもそれほど混まない穴場の納涼スポット。見どころはこれだけではありません。
滝の周辺を散策できる1.4キロの遊歩道があります。
「日本のこうした景色を見ていると、宮崎駿監督の作品を思い浮かべる。日本の自然はフランスと比べて湿度が高くて、コケが多いのが特徴的。とても美しい」
いつでもひんやり、癒やされること請け合いの「奥日光」。
「とても穏やかな気持ち。なにより、すごく涼しい。本当に来てよかったです」