漁獲枠の拡大で国産マグロがお得になっています。そんななか、あるマグロの名前が変わるかもしれません。一体なぜ。
本マグロ盛り盛り!名物丼
豊洲市場から直送。新鮮なピンク色の身が輝いているのは、「マグロの王様」、「クロマグロ」です。1匹で1億円以上の値が付くこともあるほど高価なため、「黒いダイヤ」とも呼ばれています。
脂がたっぷりと乗ったこの高級な本マグロの「ブツ」を、どかんと盛り付けた名物のマグロ丼。重さは400グラム以上と豪華絢爛(けんらん)。価格はなんと。
「1500円」
その名も「メガ盛り鮪ブツ丼定食」。物価高のご時世で、1500円と破格の安さです。もはや下のご飯が一切見えないほど、本マグロのブツで埋め尽くされています。
都内の飲食店では、開店とともに注文が殺到。豊洲市場からの仕入れ量によって数量限定で、4日は9食のみ。
「すごくおいしくて満足。この量だったら安い」
しかも、コメが高騰するなか、ご飯はおかわり無料。開店からわずか15分であっという間に売り切れです。
「オーナーが豊洲市場にいて、つてがあって安く仕入れられる」
今年、国産のマグロは、去年までと比べて、価格が1割から2割安くなっています。クロマグロの漁獲枠が1.5倍に拡大されたことが背景にあります。
驚きマグロ丼!希少部位も
東京・銀座にある海鮮食堂は連日、大にぎわい。
「これどうやって食べるの?」
客も驚く、マグロの看板メニューが…。本マグロの中トロとミナミマグロの赤身をご飯の上へ。「マグロづくしの富士山」は、このボリュームで1980円です。
「おいしい」
「本マグロはミナミマグロよりも味がしっかり濃厚。ミナミマグロは脂が乗っていて、脂が乗っているのが好きな人はミナミマグロが好みだと思う」
外国人観光客もご来店。アメリカ人のご夫婦と、メキシコからの女性。
「東京に住む友人が勧めてくれたので来た」
アメリカ アルドさん(71)
「(Q.フレンズ?)彼女とはきょう会ったばかり」
アメリカ ジャッキーさん(68)
「日本のツアーで会った」
日本旅行のディナーで、マグロの5種盛りを注文。
「ワーオ!これは何?」
「ブレーン(脳)です」
ミナミマグロの特別な希少部位が味わえます。頭の部分の身「脳天」は、脂がたっぷり。エラの裏側の「カマトロ」は、高級和牛のような霜降り。ほほ肉の炙(あぶ)りは、独特の食感とうまみが魅力です。
アルドさんが最初に選んだのは、「脳天」です。もちろん、初体験!じっくりと噛みしめます。いかがですか?
「口の中でとろける」
デボラさん
「やわらかくて新鮮」
「今まで食べた中で最高のマグロ」
さらに、マグロの背中側と腹側の部位「中トロ」にも、舌鼓。
「バターみたい。口の中でとろける。味も盛り付けも5つ星」
新ネーム「南極マグロ」の魅力は?
この「ミナミマグロ」に、今、新たな動きが。
香川謙二組合長
「南極マグロ。ミナミマグロに一番ふさわしい名前を広めたい」
「遠洋漁船130隻ほどあるが、半数以上がミナミマグロをとっている。一番重要な漁業」
南半球の海に生息する「ミナミマグロ」は、南極にも近い海域で漁業が行われています。ところが。
「誤解があり、『ミナミマグロは南の海で暖かい所でとれるマグロだから脂がのっていないのではないか』と何回も言われた」
北半球のクロマグロと同じく、ミナミマグロも冷たい海域でとれることを認知させるため、新たに「南極マグロ」という名前を広めていきたいといいます。
東京の下町にある魚屋さんでは、南極の近くでとれた天然のミナミマグロを、生で仕入れて格安で販売しています。中落ちは、たっぷり入って1100円です。
「手ごろ。他ではこの値段じゃ買えない。ミナミマグロがおいしいんだよね」
マグロに携わって40年の女将も、ミナミマグロに太鼓判です。
「生だともちもち。口に入れたらなめらかさがもちっと吸い付く。甘みもすごい。ミナミマグロが一番。天然物は最高」