粉飾決算が発覚し上場廃止に追い込まれたAI開発会社「オルツ」。体制刷新のために開催を予定していた臨時の株主総会も、議決権数が足りず成立しなかった。
2014年に創業し2024年10月、東証グロース市場に創業10年で上場を果たしたオルツ。しかし、2025年4月に売上の過大計上の疑いが浮上し、売上高の9割、約119億円を水増ししていたことが発覚した。8月31日には上場廃止となり、株式市場から退場した。
ニュース番組『ABEMAヒルズ』コメンテーターで、第一生命経済研究所の永濱利廣氏は「ギリシャ危機の構造と似ている」と分析する。
「ギリシャが粉飾をしてEUに入ったことでギリシャ危機が起きた。そして、他の国にも『もしかしたら危ういんじゃないか』という疑念が持たれ、欧州債務危機が発生するなど金融市場に混乱が生じた。」
「今回のオルツの事例は、少なからず今後のAIスタートアップに風評被害を与える可能性がある。これまで以上に上場のハードルは高くなるだろう。厳しいチェックにより不正が排除されるという良い面がある一方、本来上場できたような有望な企業が上場できない可能性も出てくる。非常に由々しき事態だと思う」(永濱利廣氏、以下同)
AIベンチャー企業に過剰に期待が集まったことも原因の一つなのだろうか。
「新しい分野であるためチェックが行き届かなかったことはあると思う。今、世界の株式市場では生成AIブームにより株価が好調な企業がある。もちろん粉飾しているわけではないが、期待先行で上がっている部分があるため、今後の展開次第では影響が出てくる可能性もある」
「スタートアップの中には、上場し会社を売ることがゴールという、いわゆる“上場ゴール”のような事例もある。したがって、本当に企業として成長させていくのか、上場ゴールを目指しているのかを見極める必要がある」
(『ABEMAヒルズ』より)