「コシヒカリ」の新米が店頭に並び始めています。気になるこの先の値段や出来はどうなのか、農家の人に聞きました。
新米高値 ためらう客も
「こちらコメの売り場です。関東の茨城・千葉のコメが入って順次新米に切り替わっている。千葉県産のコシヒカリに関しても新米に9月1日から切り替えた」
スーパーの店頭に並び始めた新米。その価格は?
千葉県産のコシヒカリは5キロで税込み4687円。あきたこまちは4622円。千葉県産や茨城県産の新米は、軒並み4500円を超えています。
「出だしの時期の価格は去年対比で売価が2割くらい高くなっている。JAや集荷業者の取引価格が去年より上がっている。その影響で店の仕入れ値もどんどん上がっている」
全国のスーパーでのコメの平均価格は、5キロあたり税込みで3891円。前の週から115円値上がりしています。
新米を含む銘柄米の平均価格は4272円。依然として高止まりしています。
新米が高騰しているため、購入をためらう人もいました。
「政府の備蓄米と比較して(価格が)どれくらい違うのかなと、以前に比べたら新米は高い」
「(Q.新米は買った?)まだ食べていない」
「今備蓄米もなかなか買えないし新米は高いし、どうしたものかなと値段を見ていた」
店側は消費者の“コメ離れ”を懸念しています。
「新米と言っても価格が高いと客もなかなか買いづらい状況。新米をアピールしづらい状況がここ数年続いている」
コシヒカリ 今後の価格は
主食となる銘柄米のうち、全国で最も作付けが多い品種は「コシヒカリ」で、全体の33%を占めています。2位の「ひとめぼれ」と3位の「ヒノヒカリ」はコシヒカリの交配で生まれた品種です。
コシヒカリの収穫量が日本一の新潟県。この時期は、コシヒカリの遺伝子を引き継ぐ「こしいぶき」の稲刈りが行われています。
新潟県内のスーパーでは、7日から新米を販売。「こしいぶき」の新米は、5キロで4514円です。
「今回の新米の第一印象は相当高い。2024年の新米は今回と同じ銘柄で5キロ(税抜き)3080円くらいの販売価格。2025年産に限っては(税抜き)4180円と(去年より)約1100円高いスタート。初日で20袋だけ仕入れて1袋しか売れない状態だった」
今後、入荷予定の新潟県産コシヒカリの価格は、どれくらいになるのでしょうか?
「5キロあたり去年との比較が1300円くらい高い状態」
去年、コシヒカリの新米が出始めたころの価格は、5キロ税抜きで3280円だったのが、今年の新米は1300円高い4580円ほどになると予想。税込みではおよそ5000円です。
「スタートからこれだけ高いと、来年の3月4月は1袋7000円といううわさが現実になりそうで、危機感を抱いている」
小粒も おいしさ太鼓判!
一番収穫量の多いコシヒカリ。今年の新米の出来は?関東一のコメどころ茨城県のコメ農家を取材しました。
「コシヒカリは雨が降らなかったのと、すごく暑かったので粒が小さい。そのなかでも、ある程度の収量があったのでよかった」
今年は、猛暑と水不足の影響で、コシヒカリの粒は例年よりも小さいといいます。
ふっくらと炊きあがったコシヒカリの新米。おいしさについては、農家さんも太鼓判を押しています。
「暑さに強い」新品種
ただ、田んぼでは今、コシヒカリにかわる新たな品種の新米が収穫されています。
「元々コシヒカリしか作っていなかったが、途中で『にじのきらめき』という暑さに強く多くとれる多収量の品種。今はもう『にじのきらめき』のほうが多い、半分を超えている」
暑さに強くて多く収穫できるという、期待の新品種「にじのきらめき」。その特長は?
「『にじのきらめき』の穂の長さは短い。倒れにくい。いっぱい穂が付いても倒れずにダメなコメができにくい品種。消費税別で(5キロ)3500円くらい」
「にじのきらめき」は、2018年に国の研究機関である「農研機構」が開発。
虹のように多彩な特性を持つことと、炊きあがりのご飯がつややかなことから、「にじのきらめき」と命名されました。粒ひとつひとつが大きく、粘りと甘みが強いのが特長です。
「にじのきらめき」をはじめ、暑さに強い品種が求められています。
白土宏之さん
「高温に強い遺伝子も見つかっているので、どんどん品種に入れていって、高温に強い品種を作っていくことが進められている。どんどん暑くなってきているので、『にじのきらめき』でも耐えられない暑さになる可能性が出てくる。一層、高温に強い品種をどんどん開発していくことが必要」