9月いっぱいで、ふるさと納税の仲介サイトが行うポイント還元が廃止されます。
ポイント還元の終了を前に、駆け込みで寄付をする人が増えています。
相次ぐ返礼品のトラブルについても、見ていきます。
■10月からポイント還元廃止 「慌てて物色」駆け込みも
ふるさと納税は、自治体を選んで寄付をすると、寄付の合計額から2000円の手数料を引いた金額が税金から控除され、寄付金額の最大3割相当の返礼品が貰えます。
ふるさと納税ガイドの飛田啓介編集長によると、年金生活者も、「住民税を納めていれば利用できる」ということです。
高齢者におすすめの返礼品には、『コメ・飲料など重いもの』『トイレットペーパーなど日用品』『お墓掃除』などがあるということです。
ふるさと納税は、地域経済の活性化に貢献しています。
経済波及効果は、年間約1兆2221億500万円。
「納税者にも自治体にもメリットがあり、地域活性化にもつながっていることが立証された」と指摘しています。
ふるさと納税について、SNSの声です。
どういうことでしょうか。
ふるさと納税は、ポータルサイト経由で寄付することができます。
このポータルサイトが行っている、寄付額に応じて買い物などに使える『ポイント還元』が、10月から禁止されます。
ポイント付与は、なぜ禁止されるのでしょうか。
『ポイント特典による、ポータルサイト間の利用者の獲得競争が過熱して、お世話になった自治体等への感謝や応援の気持ちを伝えるという、本来の目的から乖離しているため、制度本来の趣旨に立ち返る』としています。
ポータルサイトの主なポイント還元キャンペーンです。
楽天は、条件付きで、20%以上のポイント還元。
さとふるは、抽選で最大1000%、
ふるなびは、条件付き、抽選で最大100%還元です。
「9月末は、人気返礼品の品切れや、終了間際はアクセス集中により、サイトに接続しづらくなるおそれ。年収見込みの金額の誤算による限度額オーバーにも注意」
■ふるさと納税“コメ争奪戦”在庫足りる?自治体の状況は…
ふるさと納税のおコメについてです。
2025年上半期の、さとふるの検索ワードランキングは、1位『米』。
7位までのうち、4つがお米関連です。
コメ関連のキーワードは、トップ50のうち、2024年は5件でしたが、2025年は15件です。
米どころの新潟県南魚沼市では、2024年の寄付金71億円のうち、返礼品の8割がコメでした。
2025年は、新米の受け付けを3カ月前倒して4月に開始しましたが、7月末までに寄付額が前年比1. 8倍になったため、一時的に、募集停止しました。
そして、5月に判明したのが、受け付け設定のミスによる、在庫量を超える申し込みの受注です。
これにより、一部の寄付者にコメが発送できなくなりました。
対応として、同価格帯の別のコメで代替することとし、9月以降に、新米を送る形にしました。
「2024年産のコメが不足していたが、先週末から新米の収穫が始まり、在庫数が見えてきている。8月以降も申込数は伸びているが、2024年ほどではなく、足りる見込み。9月末の駆け込み状況によって、今後どうなるかというところは見守っていかないといけない」としています。
栃木県大田原市です。
2024年産のコメは、農家がふるさと納税用にコメを回せなくなり、3月以降に在庫が減り、5月に受け付けを停止しました。
新米は、4月〜8月末で519件の申し込みがあり、これは、2024年の同じ時期の2倍以上です。
「今後また、申し込み停止になる可能性はゼロではないが、これからコメを出してくれる農家もいるので、在庫確保の見込みはある。ここ数年、農家や集荷業者と交渉し、新たにコメを出してくれる農家も増えている」ということです。
■返礼品トラブル シャインマスカット産地偽装 対象除外に
返礼品に関するトラブルです。
2025年3月に発覚したのが、長野県の須坂市のケースです。
業者が用意した、返礼品のシャインマスカットに、山形県産のものが混在していました。
これは、返礼品の地場産品基準に該当せず、産地偽装となりました。
この産地偽装の返礼品による寄付額は、過去2年間で、約22万件・約30億円。
2024年度の寄付は、約47億円で、市の収入の7分の1にあたります。
さらに、問題だったのが、2024年12月にこの産地偽装を把握しながら、2025年3月までふるさと納税の募集を停止しなかったことです。
なぜすぐに募集を停止しなかったのでしょうか。
第三者委員会の報告書によると、
●市の職員の一部と業者Aの社長らが定期的に会食していた。費用を業者側が負担することもあった。
●業者Aから市のふるさと納税推進係に対し、ぶどう、みかん、ジュースなどの差し入れもあった。
ということです。
『市職員の一部と業者Aの社長らの間には、通常以上の関係性があり、それと市の対応とを、ただちに結びつけることはできないが、様々な場面で業者Aに対し、厳正な対応ができなかった』としています。
総務省は、須坂市の対応を問題視し、ふるさと納税の対象から2年間の除外を決定しました。
そのため、長野県須坂市は、市の予算を大幅に減額し、『信州須坂ランニングフェス』『須坂みんなの花火大会』『須坂カッタカタまつり』といったイベントの2026年度の中止を検討しています。
「大変厳しい状況になる。市民生活に密着する事業については、極力執行していきたい」としています。
「地方自治体にとって、『ふるさと納税』は、成功すれば大きな収入源になるが、今回のように不正で対象外になったり、返礼品の農産物が自然災害で取れなくなるなど、不確定要素も大きい」
■寄付受け入れにあの手この手 “貸し切り””運転体験”も
一方で、ふるさと納税によって、税収が減る自治体の問題です。
東京都の、ふるさと納税による減収額は、2021年度は1125億円で、2025年度は2161億円。
初めて2000億円を超えました。
5年で約2倍です。
港区は、これまでふるさと納税の返礼品を設定していませんでしたが、区の財政への影響が大きく、方針転換を決めました。
10月から返礼品を用意します。
返礼品の内容は、水族館『 アクアパーク品川』の閉館後貸し切り、などです。
港区内にある商業施設などを活用した『体験型』で、150以上を予定しています。
10月上旬に一覧を公開するということです。
「港区ならではの“ときめく体験”がたくさんあるということを、広く発信したい」としています。
横浜市は『体験型』の返礼品を拡充しています。
寄付額6万円で、横浜シーサイドラインの運転体験や、寄付額4万4000円で、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルのアフタヌーンティーペア利用券などの体験型返礼品を用意しています。
その結果、横浜市の2024年度の寄付受け入れ額は、過去最大の28億8000万円で、前の年の約2. 4倍に増えました。
「返礼品に力を入れた効果がじわじわと出てきている。『横浜ってこういう場所もあるんだ』と、魅力を知ってもらうきっかけにもなればいい」としています。
一方で、こんな自治体もあります。
東京23区の練馬区や江戸川区は、返礼品の設定はしていません。
どちらも、返礼品なしの寄付は受け付けています。
「今後も導入の予定はない。流出額は増え続けるだろうが、過剰な返礼品競争にはくみせずに、制度の廃止や改善に向けた機運を高めていきたい」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年9月11日放送分より)