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2025年9月11日 19:48

新米“高騰”迫る7000円 価格はどう決まる?格安“銘柄米”も

新米“高騰”迫る7000円 価格はどう決まる?格安“銘柄米”も
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 5キロでおよそ7000円。新米の異常な高騰が続いています。なぜ高騰しているのか?コメの価格が決まる仕組みを徹底取材しました。

新米の価格 なぜ高騰?

 都内の精米店では、新米の価格が異常なほど高騰しています。

 11日に入荷したばかりの新米、島根県産の「隠岐の島コシヒカリ」です。白米1キロの価格は、税込み1390円。5キロでは6950円とおよそ7000円です。

 佐賀県産の「七夕コシヒカリ」は1キロ1350円。5キロでは6750円です。

精米店 スズノブ 西島豊造社長
精米店 スズノブ 西島豊造社長
精米店
スズノブ 西島豊造社長

「5キロで6000円を超えるコメばかり、それしかない。一般的に売っているコメで6000円はあり得ない。去年なら高くて4000円台」

 茨城県産「あきたこまち」や、千葉県産「ふさおとめ」は、去年5キロ2400円で販売していたのが、今年の新米は4000円も値上がりして、5キロ6400円。

2.6倍に跳ね上がっている
2.6倍に跳ね上がっている
西島社長
「去年のコメ不足から全部くるって正常化していない。事態が悪化している、1年かけて一番悪いほうに進んでいる。それを止める方法がない」

概算金 影響で「6950円」も

 銘柄米の平均価格は、5キロあたり税込みで4272円です。なぜ新米は、この価格を大幅に超えているのでしょうか?

スーパーでのコメ販売価格(5キロ税込み 平均)
スーパーでのコメ販売価格(5キロ税込み 平均)
西島社長
「原因は明らかに概算金」

 これは、コメの主な流通ルートです。収穫された新米は農家からJAを通じて、卸売業者、小売店へと渡ります。

コメの主な流通ルート
コメの主な流通ルート

 その際、JAが農家に前払い金として支払うのが「概算金」です。この額が今年は全国的に高騰しているといいます。

西島社長
「この数日間で色んな産地で概算金を2段階上げている所も。産地のJAにコメが集まっていない。青田買いで流通から他に流れている。コメの取り合いをしている」
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新米の価格どう決まる?

 新米の価格は、どのようにして決まるのでしょうか?

 番組の取材班が向かったのは、日本一のコメどころ新潟県です。日本屈指のブランド米「魚沼産コシヒカリ」の収穫がいよいよ始まっています。

コメ農家 うおぬま小岩農園 小岩孝徳代表
コメ農家 うおぬま小岩農園 小岩孝徳代表
コメ農家
うおぬま小岩農園 小岩孝徳代表

「今年は水がない時期があり、干ばつが多かった。そういうところを除いては例年並み」

 ほかほかに炊き上がった、魚沼産コシヒカリの新米。もっちりとした粘り気が特徴で、かめばかむほど口の中に甘みが広がるといいます。

魚沼産コシヒカリの新米
魚沼産コシヒカリの新米

 コメの食味ランキングで、最高ランクの「特A」を7年連続で獲得しています。

 この最上級の銘柄米に、JAが今年提示した概算金は、1俵60キロあたり過去最高の3万2500円です。去年よりも1万3000円高く、66%も引き上げられました。

小岩代表
「びっくりした。高いと思った。(去年)コメ不足でJAの集荷が少なかった、(概算金を)上げざるを得なかった」

 こちらの農家では、JAを通さずに直接、卸売業者に新米を販売しています。この場合も新米の販売価格は、JAの概算金が基準となって決まるといいます。

JAの概算金が基準
JAの概算金が基準
小岩代表
「卸売りが概算金を見て『概算金プラス500円、1000円、1500円上乗せするので売ってください』と農家に提示する」

 ただ、新米の急激な値上がりは、消費者の“コメ離れ”を招くと懸念しています。

「コメ離れが進むのではないか」
「コメ離れが進むのではないか」
小岩代表
「長期的にみればコメ離れが進むのではないか。外国からコメが入ってくる可能性もある。怖いと思う」

卸売会社“コメ離れ”を懸念

 卸売では、新米の価格がいくら上乗せされるのでしょうか?

新米を農家から直接仕入れて精米
新米を農家から直接仕入れて精米

 精米工場を持つ、卸売会社「ギフライス」です。岐阜県産の「あきたこまち」や「コシヒカリ」の新米を農家から直接仕入れて精米しています。取引価格は、1俵60キロあたり3万5000円ほどだといいます。

卸売業者 ギフライス 恩田喜弘社長
卸売業者 ギフライス 恩田喜弘社長
卸売業者
ギフライス 恩田喜弘社長

「コメの原価に対して当社では、1キロあたり100円前後しか利益をもらっていない。包材費、物流費、人件費、経費含めてキロ100円」

 精米した時の原価を計算すると、5キロで税抜きおよそ3300円です。これに経費500円を上乗せすると、卸売りでの新米価格は3800円となります。

ギフライスの恩田社長によると
ギフライスの恩田社長によると

 ギフライスの恩田社長によりますと、その先のスーパーでは10%から25%上乗せされるといいます。仮に20%だとすると、新米の店頭価格は税抜きで4500円ほど。税込みでは5000円近くになります。

「コメ離れが進んで消費が減る」
「コメ離れが進んで消費が減る」
恩田社長
「一番危惧しているのは、これだけ末端の小売価格が上昇すると、コメ離れが進んで消費が減る。外国産のコメの輸入が増えて、ますます国産のコメが余ってくる可能性があるので、来年の今ごろ高い日本のコメが余っちゃうのではと不安」
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新米 お得になぜ販売?

 懸念が高まるなか、都内のスーパーでは11日、格安の新米が店頭に並びます。

税抜き3000円台の格安の新米を発見!
税抜き3000円台の格安の新米を発見!
買い物客(60代)
「ここ安いよね。普通4000いくらだよね、あきたこまち。3990円(税抜き)って安いよね。今知った」

 茨城県産「あきたこまち」の新米を、税込み4300円ほどで販売できるワケは?

小売店 スーパーたなか 三丁目店 田中達人店長
小売店 スーパーたなか 三丁目店 田中達人店長
小売店
スーパーたなか 三丁目店 田中達人店長

「たまたま今回は取引先のつてで安く仕入れることができて、本当は5000円くらいで出したい気持ちはあるが、まずは新米の味をみてもらいたいと思い、この価格を付けた。100袋限定で出している」

 スーパーなどでは仕入れの状況によって、割安の新米が数量限定で販売されることがあるといいます。

「企業努力で安くしている」
「企業努力で安くしている」
田中店長
「企業努力で安くしているので、ここまで安いか分からないが、店によってコメの値段を見てもらうのが一番」
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