新米価格が高騰するなか、JAを通さずに20年以上、値段を変えずに販売してきた農家にも影響が出ています。その原因に、急上昇している概算金の存在がありました。
超高級米1キロ1万円超え
つややかに炊きあがった、あつあつごはん。このコメの価格は、なんと1キロあたり1万1304円です。
「えー!?」
「そんなにするんですか」
東京駅にある「おにぎり専門店」。18日から期間限定で販売するのは、1個500円の高級おにぎりです。
「本当に価値のある最高級なコメで作った世界最高米のおにぎり。興味があれば手に取ってほしい」
“世界最高米”は、コメの総合メーカー「東洋ライス」が国産米の価値を世界に広めるために開発しました。食味コンクールで金賞をとったコメを厳選。半年以上、保管庫で熟成させた後、独自にブレンドしています。
「1キロ1万円のコメは自分では買えない。(おにぎり)500円なら食べてみたい」
「世界で最も高額なコメ」として、ギネス世界記録に認定されています。
戸張泰佑さん
「口にいれた瞬間、ほろっとほどけるようなおいしい食感。生産者に夢と希望を持ってもらおうと2015年に企画した」
直接販売の新米 “借地代”値上がりで高騰?
世界に誇る日本のコメ作り。ただ、農家は新米の異常な価格高騰に頭を悩ませています。
茨城県でコシヒカリなど8つの品種を育てる農家の横田修一さん。20年ほど前からJAを通さずに通信販売などで、安定した価格のコメを直接消費者に提供してきました。ところが今年は…。
「あまりにも今の世の中の相場と違う値段をつけるのは、現実的じゃない」
そもそも新米の店頭価格が高騰している要因は、JAなどが農家に前払いする概算金が吊り上がっていることにあります。
滋賀県のJA関係者と面会した小泉進次郎農水大臣は…。
では、JAを通さず概算金を受け取らない流通ルートなら、比較的コメが安くなるのかと思いきや…。
「生産コストでいうと(借りている)地代が上がっている。相場の影響を全く受けないかというと、そうも言えない」
177ヘクタールある田んぼの土地はすべて複数の地主から借りているため、毎年「借地代」を払っているといいます。
「(借地代の)単価は何で計算して払っているか。その年の(コメの)相場で換算する」
つまり、コメの価格の基準となるJAの概算金が上がることで、借地の代金も比例して上がるということです。
「今コメの値段がどんどん上がって。コメ農家が丸もうけなのかというと、必ずしもそうではなくて。私の地域では地主に還元する」
横田農場の場合、借地代が2年前は2000万円だったのが、去年は5000万円になり、今年は7000万円まで上がるとみています。
「いかに需要と供給のバランスを保って、安定した価格で安心して消費者が買える、僕らも再生産できる価格で作れる、販売できる。そこに落ち着かせる必要はあると思う」