経済

2025年9月20日 21:00

コンビニのおにぎりから海苔が消えている!?なぜ暑い時期にインフルが!?池上解説

コンビニのおにぎりから海苔が消えている!?なぜ暑い時期にインフルが!?池上解説
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9月になってもまだまだ暑い日が続いています。その結果色々なことが起きています。
更にトランプ大統領をめぐっても大きな動きが出てきています。今気になるニュースを解説してまいります。

今海苔を巻いたおにぎりが減っている!?

最近、コンビニエンスストアでおにぎりを買う時に、海苔を巻いたものが減ったな、と思った方、いらっしゃいませんか?チャーハンとか塩むすびとかいろいろありますが、これ、単に流行っているから、というだけではなさそうなんです。実は今、海苔の値段が大幅に上がってきているんです。

海苔の値上がりは倍以上

海苔1枚の平均価格を見てみますと、この4年間で倍以上に値上がりしています。理由の一つは海水温の上昇です。海苔は水温が下がらないと育たないのですが、気候変動の影響で、秋になっても海水温がなかなか下がってきません。そして温暖な海を好むクロダイなどが増え、海苔を食べてしまう、そんな被害がたくさん報告されています。

海水温の上昇
川から流れてくるはずの栄養が不足

さらに海苔の産地、有明海では降水量が減った影響で川の水量が減り、川から流れてくるはずの栄養が不足して海苔が育たない、という影響も出ています。海苔が黒くならない、そんな現象が起きているんです。こうしてどんどん値上がりしてしまうと、消費者の海苔離れが進んでしまわないか、そんな心配もされているんですね。
日本の海苔がピンチな一方で、今韓国では海苔の生産量を増やしています。海の半導体、黒い半導体なんて呼ばれているそうです。世界中に売れることから、国を挙げて海苔業界を支援しています。今韓国の海苔は世界の販売量の7割ものシェアがあると言われています。

韓国の海苔は世界の販売量の7割

一方日本の海苔産業は零細企業が多く、後継者不足も深刻です。なかなか生産量を増やしていくことが難しい状況です。

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暑い時期に学級閉鎖!?インフル流行のワケ

インフルエンザが流行

まだまだ暑い日が続いていますね。そんな中、インフルエンザが流行し始めていること、ご存知でしょうか。学級閉鎖となるところも出てきていて、「流行期に入った」と注意が呼びかけられている地域もあります。そもそもインフルエンザと言えば12月ごろから年明けにかけて、寒い時期に多くなるイメージです。なぜ猛暑の今、こんな時期に流行しているのでしょうか。
実は猛暑ならではの理由があると言われています。そう、「窓をあけないから」なんです。
これだけの暑さのため、一日中窓を閉め切ってエアコンをつけている人が多いんです。
そもそもインフルエンザウイルスは冷えていて乾燥した環境を好みます。エアコンをつけているとまさにそうなります。それで感染リスクが増加しているわけです。
更にはこの夏の異常な暑さのため、夏バテなど抵抗力が弱まっているとも言われています。同じ理由で今、コロナウイルスの感染者も増えています。

新型コロナ 1医療機関あたりの平均患者数(全国)

皆さんも感染しないよう、手洗いや換気など、お気を付けください。

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トランプ大統領が禁じ手!?ゲリマンダーって何

トランプ大統領はやりたい放題?

トランプ大統領誕生から2年となる来年11月は中間選挙が行われます。ここでは日本でいう衆議院にあたる下院議員の全員と日本でいう参議院、上院の3分の1が改選となります。
中間選挙では、一般的に与党ではないほうが勝つことが多いと言われています。大統領のいわば中間テストのようなもので、「ちょっと大統領が力を持ちすぎているな」と揺り戻し的に野党側に票が入りやすいのです。今のトランプ政権を見てみると、上院下院ともにトランプ大統領の共和党が過半数を占めています。誰もブレーキをかける人がいませんから、いわばやりたい放題なわけです。トランプ大統領は当然この状態を維持したい、そこで中間選挙で負けないよう、今裏技を使い始めているんです。それが、ゲリマンダーです。

ゲリマンダーとは

一体何かわかりますか?これは昔マサチューセッツ州の知事だったゲリーが、自分が有利になるよう、選挙区割りを変えた結果、その形が伝説の生き物、サラマンダーに似ていたことから名付けられたもの。政治学を学んだ人はきっと聞いたことがある、有名な政策です。
今これをトランプ大統領は進めているんです。

ゲリマンダーの説明

ではどうやって特定の候補者や政党に有利なように選挙区割りをするのでしょうか。
この図を見てください。

選挙区割り

この左の図、4つの区割りを見ると、赤と青の数は同数、つまり引き分けの状態です。でもその区割りを右のように変えてみると…赤が3勝、青は1勝となっています。同じ数の赤と青の支持者がいても、区割り一つでこんなに結果を変えられるわけです。

でも日本だとどこにどの党の支持者が住んでいるかわかりませんから、こんなことできませんよね。アメリカはできるんです。というのもアメリカは同じ民族だったり同じ文化的背景の人たちが集まって住んでいることが多いのです。結果、おのずと支持政党が決まってくる、というわけです。実際今テキサス州ではこのゲリマンダーが進められていて、今は5つの選挙区で民主党が有利となっていますが、それを変更するとすべて共和党が議席をとれるようになる、と言われています。

5つの選挙区

こんなことができるもう一つの理由は多くの州で選挙区の区割りを決める権限を州知事が持っているためです。テキサス州知事は共和党。トランプ大統領の意向が反映されやすいわけです。
でもこんなことをされては民主党も黙っていません。今度は民主党知事がいるカリフォルニア州で、民主党議員が増えるように区割りを変更しよう、そんな計画がされています。

池上彰さん

もし民主党もゲリマンダーをした場合、更に他の州でもその動きが広がっていくと見られています。そんなことをしていたら選挙前から結果がわかってしまう、つまり選挙をする意味がない、そんなことにもなりかねません。これからどのような動きがあるのか、是非注目してください。

(池上彰のニュースそうだったのか!!9月20日OAより)

自民党総裁選やクマの対策など、最新ニュースの池上解説はTVerへ!!

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