経済

ABEMA NEWS

2025年9月21日 10:01

不動産投資は素人に難しい?個人運用で大損、流行のクラウドファンディングでトラブルも…総資産37億円の成功者「上がるのではなく下がらないものを買う」

不動産投資は素人に難しい?個人運用で大損、流行のクラウドファンディングでトラブルも…総資産37億円の成功者「上がるのではなく下がらないものを買う」
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 今、何かと注目が集まっている「不動産投資」。都市部のマンション価格は高騰し、首都圏の不動産投資額が、ニューヨークに次ぐ世界2位にランクイン。その一方で、失敗する人も少なくない。長野県に住む河上まりおさんも、その1人だ。また、最近注目されている「不動産クラウドファンディング」でもトラブルが起きている。

【映像】総資産37億円!不動産投資で大成功した男の作戦

 一般の個人は、いかに不動産投資と向き合うべきか。『ABEMA Prime』では、成功者と大損した人の双方から話を聞いた。

■個人運用に失敗、一棟買いしたマンションが差し押さえに

不動産投資で大損

 まりおさんの“しくじり”は、代金を先に入金したが、半年経っても終わらない「リフォーム詐欺」から始まった。そして、「手抜き工事で賃料を下げるはめ」になり、満室で80万の想定から50万円になった結果、ローン返済で手残りはほぼなくなった。そこに、「収入があがり予想外の出費(ローンは経費にならない)」も加わる。所得税や健康保険、保育料などが爆上がりし、固定資産税、都市計画税なども滞納。差し押さえ通知書が届く事態になってしまった。

 まりおさんは、30代のころに本業(理髪店)がうまくいかずに、「激安アパート経営」の本を読んで不動産投資を始めた。最初は、分譲マンションの1部屋を90万円で購入し、月々約3万円の収入を得る。そして、もっと儲けたいと、2つめの不動産投資として5000万円のマンションを購入したことが、悪夢の始まりになった。

 リフォームの経緯について、「アドバイスを受けた人のつながりで、最初の業者に頼んだが完成させてくれない。リフォームが終わらないと、入居者の募集ができず、退去者も重なり、金回りが悪くなった。家賃を下げて募集する戦法に出たところ、予定していた収入とも食い違った」。また「ペット禁止でも飼っている人がいたり、騒音がひどかったりと、入居者トラブルも多かった」と振り返る。

 不動産コンサル「ホームコンサルティングソリューションズ」代表取締役で、YouTube「不動産アニキの非常識な投資学」を運営する小林大祐氏は、まりおさんのケースを「自分がサラリーマンから不動産投資を始めた約20年前から、よくある話だ」と説明する。「『不労所得だ』『買えば成功する』という幻想があるが、実態は“事業”だ。事前の勉強や実践を通して、やりきる覚悟と能力が求められる」。

 そして、「『安く買って高く売る』と言っても、上場企業が500億円単位で運用しているところに、素人が数百万円で太刀打ちできない。真っ向勝負ではなく、自分自身のステージにあった戦い方を考える必要がある。まりおさんのケースなら、本業が厳しいときに不動産投資を始めるのは、あまり得策ではない」との考えを示す。

■注目の「不動産クラウドファンディング」手軽さの裏にリスクも

不動産クラファンでの失敗

 不動産クラウドファンディング専門メディア「クラファンチャンネル」の編集長、太田裕也氏は、不動産クラファンについて「不動産を1棟買いするには、数千万円から1億円単位のお金が必要となるが、それを小口化して、インターネット上で出資者を集めて購入するビジネスモデルだ」と説明する。

 特徴として「銀行融資が付かないような“掘り出し物”の物件もあり、それで一部業者は高利回りを実現している」としつつ、「融資を受けられないからクラファンで集めるケースもあれば、企業の宣伝や、不動産投資に興味を持ってもらうために行っているケースもある。利回りもリスクも千差万別だ」と語る。

 メリットには「小口投資できること」と、「素人では難しい運営を“不動産のプロ”に任せられること」を挙げる。しかしながら、「業者によって運営体制は異なり、怪しい企業もある。業界団体も含めて、健全化に動いている」といった注意点もある。

 実は太田氏は、不動産クラファンで失敗した“被害者第1号”でもある。「不動産クラファンは、2018年から始まり、2025年に入るまで、100以上あるサービスのどこでも元本割れがなかった。ただ今年になって、ダイムラー・コーポレーションの破産が起き、投資資金が返らない事態が起きた。過去の実績も含めて、現在の状況や運営体制を逐一チェックする必要がある」。

 小林氏は「日本の融資システムは、世界的に見てもゆるい。その中で、新しい金融手法として出てきたのが、不動産クラファンだ。暗号資産と同様に、新たな資金の調達源としては面白い」と評価しつつも、自分自身が投資することには消極的だ。「審査により透明性があるJ-REITとは全く違う。現時点では“ハイリスク・ローリターン”の可能性が否めない」。

■総資産37億円の成功者が守る不動産投資の鉄則

 小林氏は現在、総資産約37億円を持つ。「私も始めた当初は『いいモノを安く作ることが、収益物件を制する』と考えていたが、人口減少で土地が無価値化するため、あるタイミングから『購入時と同額で売れるもの』を『銀行融資』で買い、時間をかけて自分のものにする方針に切り替えた。すると、価値は目減りせず、返済が進めば余剰担保が生まれ、またそれを元手に大きくしていける」。

 成功のコツとして「元本毀損(きそん)しないものを買うことが一番大事だ」と説く。「20年後に購入時と同じ価格で売れる。それは人口集中の需要が担保された土地の比率が高い物件だ。1億円の物件が2棟あるとして、『建物2000万円、土地8000万円』は減価償却で8000万円残るが、『建物8000万円、土地2000万円』は2000万円しか残らない」。

 こうした物件を銀行融資で手に入れるため、「総資産は約37億円だが、自己資金は1億円程度しか入れていない。これを世田谷や目黒など人口集積地に、20年間投資して自分のものにしていった」という。ポイントは「『上がるものを買え』ではなく、『下がらないものを買え』」だ。

 よく話題になる「賃貸か持ち家か」論争には、「元本毀損しないところの持ち家」との持論をぶつける。「そこから、自分で住むために住宅ローンを借りるのか、事業用に融資を受けるのかの違いになる。いずれにしても、世界的に見ても有利な状況のため、他人の資本を入れることが大事だ」。

 今後の方針としては、「相続税により“富の再分配”がある以上、われわれにも買うチャンスがある。資産を作った方は、どうやって次の世代に残すか、緻密に戦略を練らないといけない。長期に住宅需要を担保できるところが、今のターゲットだ。相手が日本人から富裕層の外国人になる可能性は高いが、需要は20〜30年担保できるだろう」と見通した。 (『ABEMA Prime』より)

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