経済

グッド!モーニング

2025年9月24日 12:47

抹茶バブルで煎茶がピンチ 生産切り替え農家が相次ぐ 世界的ブーム「爆発的高騰」

抹茶バブルで煎茶がピンチ 生産切り替え農家が相次ぐ 世界的ブーム「爆発的高騰」
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 世界的な抹茶ブームが巻き起こるなか、日本のお茶業界が転換を迫られています。日本人にとってなじみのある煎茶文化が将来的には消えるのではないか、という危機感も生まれています。

煎茶「取引相場価格が例年の2倍」

イギリスから来た観光客
「友達も皆好きで、放課後はいつも『抹茶飲みに行かない?』って感じです。私の友達は皆、紅茶やコーヒーより抹茶のほうが好きです」

 世界的に人気が急上昇している抹茶。価格が高騰し“抹茶バブル”が起きています。

福本園 加藤伸之さん
「抹茶の産地にもよるが(金額が)150%〜200%ぐらい上がっている」

 会社としては売り上げが上がる一方、手放しでは喜べない問題もあります。

「抹茶がすごい人気になりましたので、抹茶の原料である碾茶(てんちゃ)製造に切り替えるところも出てきた。それによって煎茶の生産量が少し減っている」
抹茶の原料「碾茶」
抹茶の原料「碾茶」

 抹茶の原料である碾茶は、茶葉を摘む前の2週間から20日間黒いシートをかぶせ日光を遮断し育てる茶葉です。

碾茶と煎茶の生産量の差が大きく 京都
碾茶と煎茶の生産量の差が大きく 京都

 手間はかかりますが、それでも煎茶の製造から碾茶の製造に切り替える農家が急増。京都では碾茶と煎茶の生産量の差が大きく開くなど、多くの日本人に親しまれている煎茶がピンチに。

 価格も上昇し、取引先に送った書類には悲痛なメッセージが記されていました。

福本園が取引先に送った書類
福本園が取引先に送った書類
福本園が取引先に送った書類
「碾茶(抹茶原料)価格の爆発的な高騰により、『碾茶』の生産が増加する一方で、『煎茶』や『番茶』の生産が大幅に減少しております」
「取引相場価格が例年の2倍を超える異常な事態となっており、現在の価格帯を維持することが困難な状況です」
抹茶バブルへの対応で明暗か
抹茶バブルへの対応で明暗か
加藤さん
「想像もしていなかったですね。驚いたと同時に、今まで作れていた価格帯では作れなくなるので、それはやはり困る」

 抹茶バブルを巡る混乱に拍車をかけているのが、廃業する製茶会社の増加です。今年7月までに倒産や廃業するなどした会社は11件に上り、去年の10件をすでに超えています。

 一方で、製茶会社は昨年度半数以上が増益を記録し、抹茶バブルへうまく対応できたかが明暗を分けている状況です。

 狭山茶で有名な埼玉県狭山市のお茶農家を取材すると、このような声が聞かれました。

「抹茶にいろんな意味で振り回されている」
「抹茶にいろんな意味で振り回されている」
奥富園 奥富雅浩さん
「大体去年の9月くらいから、海外からの(抹茶の)オーダーが少し増えたなというのがあって。日本の茶業界全体が抹茶にいろんな意味で振り回されているような状況」

 今後の対応については…。

うれしい反面…
うれしい反面…
奥富さん
「やはり日本の伝統的な抹茶を高く評価をしていただいて非常にうれしいなと思う反面、ここまで急に過熱するかというのは、大きな戸惑いを持って受け止めているところ。抹茶の需要がこのまま高まっていくようであれば、もう少し抹茶の増産というのを考えようかなと家族で話をしている」

(「グッド!モーニング」2025年9月24日放送分より)

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