23日は秋分の日、お彼岸の中日だったが、お彼岸に食べる風習のある「おはぎ」が値上がりをしているという。背景は、もち米の高騰にあった。
新米盛り放題に大行列
千葉県木更津市の道の駅にできた130人もの大行列。そのお目当ては、500円で参加できる新米の盛り放題!制限時間1分の間に、五合升におコメを盛り袋に詰められた分だけゲットできるイベントだ。
4人で挑戦するという家族は、家計の足しになればと参加した。
「(Q.1日何合炊く?)多くて5合くらいですかね」
「(Q.すぐなくなっちゃう)そうですね」
「(きょうは)4人で5キロが目標」
果たしてどれぐらい盛れたのか、見せてもらうと…。
「1.2キロ。もうちょっと頑張ればいけてました」
「(Q.家族合わせると何キロぐらい?)4.6キロぐらい」
本来は1キロおよそ1000円の千葉県産「粒すけ」。家族4人で2600円ほどお得におコメを手に入れることができた。
「何日ぐらい持つんだろう、3日ぐらい?」
「(Q.節約はできた?)そうですね」
全国のスーパーなどで販売されたコメの平均価格は今月14日までの1週間が前の週と比べて120円上昇。5キロあたり4275円と最高値に迫っている。
もち米 主食用コメ超える?
しかし高騰しているのは、主食用のコメだけではない。
「おはぎのこしあんを包んで作っております。(1日)だいたい90個ぐらい」
大正元年創業の老舗和菓子店では、お彼岸に欠かせない「おはぎ」の仕込みが朝早くから行われていた。
「やっと涼しくなって、おはぎをおいしくいただけるかなと思います」
「お彼岸なので、おはぎを買いました」
蒸したもち米を潰さず、コメ本来の粒立ちが感じられる自慢のおはぎ。この庶民の味にも、値上げの波が迫っている。
「もち米の仕入れ値が4割近く値上がりしています。価格転嫁のほうは今しておりませんので、これから価格改定は検討には入れているところです」
このお店では宮城県産のもち米を100%使用しているが、その仕入れ価格が4割も上がっているという。
「(もち米の価格が)去年の5月ぐらいから徐々に値上がりが始まりまして、今年の6月ごろに一気に。コメ(の価格)が上がってて、ご飯屋さんとかそういう所は大変だなっていう思いはあったんですけど、まさかうちまで来るとは思ってもいませんでした」
さらに、今後のもち米の価格を巡り問屋から“衝撃の通知”が…。
「令和7年産のもち米価格はうるち米の価格と同等以上になる見込みです」
今年のもち米の価格は、主食用のコメを上回る可能性があるというのだ。
「値上がりがもう確実に通達が来ているところではある。(今後)どれくらい値上がりするかは今、ドキドキしている状況であります。和菓子って、世の中まだまだ価格が安いっていうところがあるので、10円だけ上げても高いって言われてしまう、このまま続けることが難しいので、値上げの方向には進めています」
一方で、すでに値上げに踏み切ったお店もある。北海道産のもち米とあずきを使用して作られた、名物「こぼれるおはぎ」。
「(おはぎ2個入りの価格が)去年と比べると、大体100円ぐらいアップしていますね」
去年のお彼岸には580円で販売していたおはぎが680円に。こちらの和菓子店でも、もち米の仕入れ値が去年に比べおよそ3割上がっていた。
「去年あずきが不作で30%くらい値が上がった。そのあとコメの高騰でダブルパンチですね」
もち米以外にも、様々な原材料の価格が軒並み高騰。価格を上げざるを得なかったという。
「物価が上がることに対しては自分でどうにもできないことなので、ウチも値段を上げていくしかない。きちんとお客さんに伝えて買っていただくような努力をしていってます」
お客さんは…。
もち米→主食米 移行のワケ
なぜ、主食用のコメを上回るような勢いでもち米の価格まで高騰しているのか。
茨城県中部でコメの生産から販売まで行う野口裕司さんは、もち米も生産している。
「(Q.この田んぼから、もち米は何キロぐらいとれる?)大体予想としては(全体で)5トンぐらいのもち米がとれる予想です。今年の品質は、高温はあったんですけど、それほど影響なく。おコメの粒もたくさんついていて、いい品質のもち米がとれると思います」
いい品質のもち米ができたものの今年の田んぼには“ある変化”があるという。
「うるち米(主食用)がやっぱ需要が高くなって、もち米の作付けを減らしてうるち米を増やしました。去年は(もち米を)2ヘクタール作っていたんですけど、今年はもち米を1ヘクタールに減らした」
今年はもち米の生産を減らし、その分主食用のコメを増産した。
「今この主食用米というものが、国民の皆さんの最大の関心事になっている時に、そこがしっかりマーケットに出てくる。こういった方向性に背中を押していく」
政府は主食用のコメを増産する方針を強調。今年、主食用のコメの作付面積は去年から10.4万ヘクタール増え136.3万ヘクタールとなり全国的にも、主食用のコメが多く作られることになった。
「去年、うるち米のほうがもち米より高かったんですよ。もち米を作ってた人がうるち米を作るようになって、もち米の作付けが急激に下がった感じだと思います。周辺の農家も10軒ぐらいはもち米の作付けが減っていますね」
主食用のコメ増産のあおりを受ける形で、もち米の生産量が減少。収穫量が少ないことで、もち米価格が高騰する事態に。
「値段的には、もち米は去年10キロあたり5000円で販売してたんですけど、今年は値段高騰のため、10キロを1万円くらいに。倍になりそうです。自分が農業してるなかでは、ここまで上がったことは初めてです」
23日、野口さんは取引先へもち米を納品。納品先は、同じ県内にある煎餅の専門店。こちらで製造しているおよそ6割がもち米を使った商品で、主力商品はもち米100%の揚げ餅。価格高騰の影響については…。
「経営的にはとても厳しい状況ですね。今年のおコメ(もち米)どんどん購入しているんですけれども、去年の大体倍ぐらいにはなっています。もち米の値段が高騰しているので、もち米に変わる商品を開発したり、一応10月から順次、新米にかわるタイミングで値上げさしていただく予定」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年9月24日放送分より)