気候変動の影響で、日本近海でこれまでとれなかった魚が急にとれるようになったり、反対にとれていた魚が全くとれなくなったりする異変が起きています。石川県では“海のダイヤ”とも呼ばれる本マグロが増えすぎてしまい“厄介者”になりつつあります。
スルメイカ 水揚げ量は去年より2倍以上
かごいっぱいに水揚げされたのは「スルメイカ」。福島県・相馬沖では、漁師が驚くほどの豊漁となっています。
「ここ1カ月大漁だよ。去年よりいいな、今年は例年になく大漁だ」
近年は不漁続きだったスルメイカですが、県によると、今月1日から17日までの水揚げ量は152トンで、去年の同じ時期の2倍以上とれています。
異例の豊漁は福島県だけに留まらず、北海道の根室など、太平洋側を中心に各地で起きています。
黒潮が大きく曲がる「黒潮大蛇行」が終わったことが影響しているのか、サンマ漁が好調な、この秋。スルメイカも豊漁が続くことが期待されています。
本マグロ 釣り糸ごとイカ食べまくり
その一方で、石川県ではイカ漁に異変が起きています。
「イカは糸を垂らして釣るので、その糸を切ってたりするんです」
イカ漁を邪魔しているというのは“海のダイヤ”とも呼ばれる高級魚「本マグロ」です。そのワケは、予想を超える大漁です。
「今(漁獲)枠があって、その中でしかとれないので、それを超えたら、もう放流しないといけないんです。それ(漁獲枠)がもう残りわずかとなっています」
日本近海でとれる本マグロは減少していましたが、漁獲規制したことで回復傾向に。
水産庁は徐々に漁獲枠を拡大し、今年度、石川県でも大型マグロ漁獲枠を37.1トンから65.5トンへ拡大しました。
それでも今年7月末の時点で、すでに漁獲枠の92%に達し、県は水揚げの自粛を通達。定置網漁では、せっかくとれた本マグロを逃がさなければならず、“海のダイヤモンド”が“厄介者”となっています。
「決してマグロだけきれいに(網から)出せるわけではないので、他の魚も一緒に出ていく可能性もありますので、水揚げには影響してくると思います」
本マグロと一緒に定置網にかかったアジやサバなど、他の魚の水揚げへの影響も心配しています。
そして、イカ漁にも影響が…。
「イカを釣る時、夜、電気をつけるじゃないですか。その電気がついたところにイカが集まることをマグロが分かっているんです」
集まったイカを垂らした釣り糸ごと食べてしまうというマグロ。水揚げの自粛が、あらゆる漁に思わぬ事態を招いています。
「どちらかというと、マグロは頂点の強いほうの魚ですから、そこを保護すれば、下の魚にいろいろと影響が出てくる。これがずっと続けば、結構ひどいことになってくるのではと思います」
(「グッド!モーニング」2025年9月25日放送分より)