今年豊作のシャインマスカット。東京都内の青果店では一房300円台で販売されていました。一方で、シャインマスカットの海外展開を巡っては、産地が農水省に猛抗議する事態が起きています。
シャインマスカット 海外生産に抗議
山梨県産のシャインマスカットにうなり声をあげる小泉進次郎農水大臣。しかし、持参した山梨県の長崎幸太郎知事はこの表情。
「徹底抗戦です」
シャインマスカットを巡って国と対立状態となっています。一体、何があったのでしょうか?
激安…都内で378円
都内の青果店の目立つ所には、山梨県産のシャインマスカットが置かれています。値段はなんと580円です。
高級なイメージがありますが、意外にもお手頃価格。客は次から次へと手に取っていきます。
「安すぎるんじゃないかと思って、大丈夫かなと思うんだけど、この前ここで買って甘かった」
3日前にはシーズン最安値の378円で販売。生産地で出荷がピークの今が、まさにお買い得だといいます。
「出始めは1000円で今は580円。(価格が)4割5割落ちた。供給が追いついたので安くなった」
シャインマスカットの産地、山梨の生産現場も盛り上がりをみせていました。
甲州市勝沼にある観光農園。10種類以上のシャインマスカットが堪能できるとあってブドウ狩りは大人気。直売所で購入した観光客のかごには、入りきれないほどのブドウの山が。しめて14房で、そのお値段は?
「2万円弱くらい」
「観光農園独特のブドウもあるのでそれが楽しみ」
希少ゴールデンシャイン人気
こちらの家族は、ここでしか味わえない逸品を求めて群馬県から4時間かけてやってきました。
「きょう来て2回目。(前回は)8月9日ですね」
「甘みが全然違う。これが本当に果物なのかという甘さ」
お目当てはシャインマスカットの中でもさらに糖度が高い「ゴールデンシャイン」。その甘さゆえ出荷には向かず、市場には出回らないという希少なものです。
極限まで木の上で完熟させた「ゴールデンシャイン」は黄色く小粒になっています。実際に2つを食べ比べてみると…。
「甘い、でもスッキリしている」
山梨知事 輸出求め「徹底抗戦」
日本が開発に成功したシャインマスカット。今、この大人気の品種を巡り、生産地の山梨県が、国に対して猛抗議する事態となっています。
25日、小泉農水大臣のもとを訪れた山梨県の長崎知事。面会後、緊急の会見を開いてこう訴えました。
県は海外への輸出拡大を目指していますが、検疫や通関手続きの問題などで遅々として進みません。
そんななか、農水省からニュージーランドに対し、シャインマスカットの海外生産をライセンス契約で認める検討を進めているとの報告がありました。農水省としては日本管理の下で海外生産した方がブランドイメージを保てるとの考えもあるといいます。
「海外輸出ができない状態のままで、海外に生産させるのはどこを向いて仕事されているのか」
苗木が非正規に海外流出も
さらに問題なのは、日本で開発されたシャインマスカットの苗木が非正規に海外に流出し、あろうことか、中国や韓国で栽培され、しかも一部は東南アジアに輸出される事態となっているのです。
中国の通販サイトでは、中国で栽培したとみられるシャインマスカットが数多く出品されています。なかには2.5キロ、日本円で約300円で売られているものもあります。
山梨県知事の怒りは収まりません。
「韓国に至っては、シャインマスカットを作ったのは日本だが、世界に広めたのは俺たちだと言っているくらいだ。ベトナムでも韓国産のシャインマスカットを売っているが、我々からすればショックを受けるくらいおいしくない。輸出さえさせてもらえれば十分戦える」
一方、小泉農水大臣は、生産地に配慮する姿勢を見せています。
「ライセンスについても、産地の皆さんや県知事の理解、これがないまま進めることは全くありません」
(「グッド!モーニング」2025年9月28日放送分より)