今年はサンマが豊漁です。昨年の2倍を超える水揚げ量で例年よりも大ぶりだということです。北海道の根室市では、サンマを運ぶ発泡スチロールなどが足りずに漁を休止するという事態にもなっています。
売れ行き「去年の1.2倍」の根室
北海道、根室の花咲港で大量に水揚げされたのは秋の味覚「サンマ」。近年は不漁が続いていましたが、今年のサンマは、昨年の2倍を超える水準で好調な水揚げ量を記録。想定外の漁獲量に、漁業団体は13年ぶりに休漁期間を設ける措置を発令。
豊漁の影響で、サンマを運ぶタンクや氷、発泡スチロールの箱など資材が足りず、受け入れが追いつかない港があったため一部休漁する事態に。
そんな“サンマフィーバー”のさなか、水揚げされたサンマのセリを真剣な眼差しで見つめる男性がいました。
根室市の鮮魚店「魚信」を営む浅野昌英社長。この日、900キロのサンマを競り落としました。
競り落とされたサンマは早速店頭へ。去年と比べ型の良いサンマを1尾350円で販売。さらに…。
「(Q.何をされている?)振る舞いサンマ。(商品を)買ったお客さんがもらえるの。無料で」
行われていたのは、サンマの詰め放題。本来加工品として流通する小さなサンマを、店で買い物をした客が無料で袋に詰め放題できるサービスです。
「きのう食べたけどおいしいね。こんな年ないもん、最高だね。こうやってタダならね。袋破けるかもしれない」
「(Q.何に使う?)甘露煮にします」
「うれしいですね、ここしかやらないから助かるね」
「(Q.何尾くらい入れました?)結構入っていますね。50〜60は入っていますね」
サンマの豊漁に浅野社長は、このように話します。
「(Q.売れ行きは?)去年の1.2倍はあるかな。全然違う」
サンマ3トン炭火焼き 食べ放題に大行列
にぎわっていたのは、鮮魚店だけではありません。
「みんな、おいしいサンマ食べたいかー!」
「おー!」
週末、根室の港町で行われていたのは「根室さんま祭り」。
会場では、サンマのつみれ汁などの露店や、つかみ取りも開催。2万人を超える人が訪れました。
なかでも、一番の盛り上がりを見せていたのが、サンマの食べ放題。200円でトレーと箸を購入すれば、海岸線に120メートルにわたり並んだコンロで新鮮なサンマを炭火焼きにし、好きなだけ食べることができます。
行列の先頭に並んでいた札幌からの夫婦は、このように話します。
「7時間ちょっとですね」
「(Q.何時から並んでいる?)朝8時半から。12時配布なんですけどね。最初は10人くらい(しか並んでいなかった)。気づいたら…こんな感じ。脂ののりも良くて、おいしいって評判で楽しみに来ました」
この日用意されたのは、3トンのサンマ。多くの人が舌鼓を打つなか、先頭に並んでいた人も…。
「今年初のサンマ」
「これのために(今年はサンマを)食べずに」
「大きくて脂がのっていて最高です」
祭りの実行委員長からも喜びの声が上がります。
田家徹実行委員長
「見たことない大きいサンマがいっぱい揚がっていて。取れ過ぎて本当に10年ぶりぐらいなんで。タンクがないとか、氷がないとか、発泡スチロールがないとか、休漁の宣言が入ったりしましたけれど、みんな10年間とれなかったんで、うれしい悲鳴です」
回転すしでも新鮮サンマ堪能「弾力ある」
サンマフィーバーの影響は都内にも。
平山徳治店長
「(Q.何が届いた?)サンマですね。これ全部サンマです。根室のサンマですね」
東京にある根室食堂では、根室でとれたサンマを生のまま日々空輸で仕入れています。
「やっぱり肉厚ですよね、握りがいがある。厚みがありますね。つやもありますし。大きさは間違いない」
午前11時30分開店と同時に、並んでいたお客さんがどんどん店の中に入っていきます。お目当てはもちろん、およそ170グラムの大ぶりサンマを両面こんがりじっくりと焼き上げた秋刀魚焼定食。
「めちゃくちゃうまいです」
「脂もいっぱいのっていて、その辺では食べられない。いい味出してます」
「脂ものっているけど焼き具合が最高。大きいサンマが多いって聞いたから楽しみに来たんです」
都内の回転寿司店では、多くの外国人観光客がサンマを楽しんでいました。
「脂がのっていて、すごくおいしい」
「おいしい」
メキシコから来日したという女性は「サンマは初めて食べるわ」と話します。
そのお味は…。
佛川龍義店長
「(今年のサンマは)持った感じが全然、弾力があるというか、つやがまずいい。海外の方、特に脂の多いお魚が好きなんで、おかわりしようとかよく見られますかね」
サンマ養殖成功 不漁でも安定供給へ
しかし、今年の“豊漁”を手放しで喜んでばかりはいられない現実も。サンマの生態調査を行っている水産研究・教育機構の巣山哲主幹研究員は、このように話します。
サンマの水揚げ総量は、2008年の34万トンをピークに年々減少。近年はピークの7分の1にも満たない5万トン以下が続き、今年も現状は2万トン台となっています。
こうしたなか、将来を大きく変えそうな取り組みも。
桐生耕造代表取締役
「サンマの試験養殖に関しては、稚魚から製品まである程度養殖で利用できる生存率を確保できた」
水産大手のマルハニチロは先月、長年困難とされていたサンマの養殖を事業化できるレベルで成功したと発表しました。
「我々の今年の魚も150グラムを超えるような大型の魚もできてますので、技術的には大きな魚を作ることは可能です。この養殖サンマというのは(安定した供給に)非常に貢献できる。そういうふうに考えています」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年10月1日放送分より)