オーバーツーリズムの影響で、紅葉シーズンを前に京都への観光を避ける日本人が増えています。その影響は常連客を大事にしてきた芸妓や舞妓の世界にも広がるほどです。日本人が愛する古都・京都の現状を取材しました。
修学旅行 別の場所へ変更も
京都の観光名所・伏見稲荷の近くでは、見かける人のほとんどが外国人観光客です。
突然、サイレンの音が鳴り響きます。消防隊が到着したのは、観光客でにぎわうエリアのど真ん中。集まったやじ馬は、外国人ばかりです。
中には、活動する消防隊員を真横から撮影する人もいます。幸い火の手は見えず、けが人はいなかったそうです。
他の観光地でも、日本人の姿をあまり見かけません。
「(清水寺は)すごい人で、外国人が立ち止まるので」
「あんまり知られていないへんぴな京都は行こうかなと思うけど、観光地はもうしばらく避けようかなと思います」
先月、修学旅行で京都を訪れた都内の中学校は、来年からは別の場所へ変更することになりました。
「自由行動で予定していた行程の半分から3分の2程度しか回れませんでした」
インバウンド価格にひるむ
京都の観光業を巡っては、地元の人からこんな不満も。
「このホテルのレベルがこんなに高いんですかって思う。(都内に住む知人が)『それなら日帰りするわ』って」
京都の観光業は、大きな転換期を迎えています。
宿泊者数は去年、日本人が809万人に対し、外国人は821万人と初めて外国人が日本人を上回ったのです。
深刻化する日本人の京都離れを食い止めようと、京都商工会議所では大学や企業と連携し、位置情報を使って観光客の行動パターンや混雑状況の分析を始めました。
外国人観光客増加の影響は、京都の老舗店にも及んでいます。
「(客が)減りました。みんな嫌がってはりますよ」
およそ140年続く、つげ櫛を販売する店では、日本人の客が減っただけでなく、これまでに経験したことのない被害が出ていました。
店の床には、知らない間にこぼされた食べ物の跡が残っていました。
職人の技術がつまった“一点もの”にも被害が出ています。
混雑で常連客苦言 花街困惑
芸妓や舞妓のおもてなし文化を受け継ぐ花街にも影響が出ています。
「お客様方『行きにくくなったな』とおっしゃるのは、やっぱり胸が痛いんですよね」
関係を築いてきた常連客からの重いひと言。きっかけの一つは、舞妓さんを一目見ようと店の前に集まる外国人観光客です。
そんな一見さんの受け皿になる施設もできました。
去年オープンした資料館では、日本人でも外国人でも舞妓さんのパフォーマンスを見たり写真を撮ったりすることができます。
(「グッド!モーニング」2025年10月2日放送分より)