経済

ABEMA NEWS

2025年10月2日 12:45

展示イベント「炎上展」に賛否 プロデューサーに聞く開催の意義 “おでんで大炎上”の豊嶋悠輔氏「子どもが良いと思ってしまったら?その後のアフターケアが大事」

展示イベント「炎上展」に賛否 プロデューサーに聞く開催の意義 “おでんで大炎上”の豊嶋悠輔氏「子どもが良いと思ってしまったら?その後のアフターケアが大事」
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 「炎上」をテーマにした体験型展示イベント「炎上展」が話題だ。キービジュアルには「バズりたい。けど、燃えたくない」の文字とともに、お店のアイスケースに横たわる女性のイラストが描かれている。会場では展示に触れながら、誰もが炎上を身をもって体験できるという。

【映像】「炎上展」のブース内容

 しかし、冒頭のキービジュアルをめぐり、過去にSNS上でアイスケースに寝転んだ「男性」の画像が炎上していたことから、「なぜ女性に変えた」との批判を集めている。また「炎上ネタ」で収益を上げることにも批判の声が出ている。

 あくまで「この展示はフィクション」としているが、過去の事例が掘り起こされる内容も。『ABEMA Prime』では、炎上展のプロデューサーと、かつて“おでんツンツン男”として大炎上した当事者とともに、イベントの意義を考えた。

■「炎上展」の意図、企画者は?

 「炎上展」プロデューサーの日村灯氏は、キービジュアルについて「特定の事案をモチーフにしたものではなく、『店内のアイスショーケースで炎上体験ができる』ことを表した。実は女性ディレクターによって作られていて、世に多くある女性をモデルにしたポスターと同じ趣旨だ。『性別のすり替え』『わざと炎上させた』といった意識は毛頭ない」と説明する。

「炎上展」プロデューサー・日村灯氏

 ポスターの例によると、実際にある冷蔵庫に寝そべることができ、写真を撮ってSNSに投稿することなどが体験できる。開催は10月11日から、会場は池袋のイベント施設で、入場券は前売り2900円(当日3400円、ともに税込)だ。

 「日村灯」氏は架空の人物で、「炎上展製作委員会」は同イベントのために結成された。各エンタメ業界の最前線で活躍するプロフェッショナルが集結し、チーム内には過去に炎上を経験した人もいるということだ。

■“おでんつんつん”体験も…当事者の豊嶋悠輔氏が異論

 「炎上展」で展示されるモノは、「ことばと炎上」「コンビニと炎上」「ハッピーと炎上」「謝罪配信と炎上」「風呂と牛丼と炎上」「メン〇スとコ〇ラと炎上」など10ブース以上。

豊嶋悠輔氏

 中には“おでんをつんつん”できるブースもあるというが、2016年に“おでんツンツン男”として大炎上したのが豊嶋悠輔氏。「『炎上展』があることは知らなかったし、“おでんつんつん”って俺しかいない。9年前の行動を本当に反省して、社会貢献している中で、何も伝えられずに扱われるのは不快だ」と異議を唱える。

 日村氏は「豊嶋さんの名前を書いているわけではないが、“つんつん”で想起する人が多いのは否めない。気分を害されたのであればお詫びしたい」と釈明しつつ、炎上展の意図として「炎上を体験することで、気づきを得てもらうイベント。エンタメと言われればそれまでだが、社会的意義はあると考えて企画している」とした。

 開催の目的としては、数々の炎上事案が起きている中、「展示を通じて炎上体験を先にしておく」「『こういうことをすると炎上する…』という啓発と『みなさんはこういう目に合わないように…』という思い」「炎上との向き合い方を考えるきっかけに」などがあるそうだ。

 豊嶋氏は「イベントを否定しているわけではない。一言もらって、『いいよ』と返して名前が出るならわかる。そうじゃない状態で、『こいつまた絡んでる』『仲間だ』というイメージは持たれたくない」と指摘した。

■豊嶋氏「男性を女性にした炎上は問題じゃない。アフターケアが大事」

 豊嶋氏は2016年、“おでんツンツン”動画で炎上し、威力業務妨害容疑で逮捕されるも不起訴となった。その後、本業の自営業を続けながら、子どもたち向けのSNSに関する講演活動なども行っている。

「炎上展」とは

 豊嶋氏は「『社会貢献』って自分で言うのもダサいけど、できる限りのことをしている。炎上系で困るのは、逮捕まではしっかり報じられるが、不起訴になってもあまり報道されないこと。一度失敗した人が変われないかというと、そうではない。視聴者からは『どうせ反省していない』と言われるけど、本当に反省した上での話であることは理解してほしい」と訴える。

 炎上を取り上げる意義について、日村氏は「メディアが取り上げて、『抑止しよう』『傷つく人を減らそう』と報道することと何が違うのか。イベントで過去の炎上を再生産するのではなく、診断コーナーなどを設けて『自分にも起こり得る炎上』として考えてもらう。いくつか分岐を作り、『こういうことに陥りやすいので気をつけよう』と説明する予定だ」との考えを示す。

 一方、豊嶋氏は「“男性を女性に変えた”という炎上だが、問題はそこではない。これを体験した子どもたちが『良いもの』と思い、炎上した後に責任を取れるのか。その後のアフターケアが大事だ」との懸念を示す。アフターケアの具体的な中身については、「今すぐ答えが出るような浅い問題ではない。どうせ名前を出されるなら、しっかり話し合って、良いものを作る企画にしてほしかった」と述べた。

 タレントの山崎怜奈は「何かをした段階はまだ炎上ではなく、切り抜かれたり動画が拡散されたりして、SNSで誹謗中傷が増えて初めて“炎上”する」との考えから、「炎上した場面だけを体験しても、『炎上を体験した』とは言えないと思う。ショッピングカートに乗ったことは“点”でしかなくて、“炎上”はその先にあるのではないか」と、イベントで体験すべき本質を問いかける。

 これに日村氏は「今回期せずして、炎上展が炎上して、罵詈雑言を書かれる経験を目の当たりにした。だからこそ、そこで辞めずに、エンタメを通して皆さんに何かしらの気づきを得てほしい。今回のご意見やご指摘は身に染みる部分があるので、それを生かしながら、少しでも社会に役立つような意識で挑みたい」とコメントした。(『ABEMA Prime』より)

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