コメ価格の高騰を受けて政府はコメの増産にかじを切りましたが、壁の一つが「なり手不足」の問題です。どうすればコメ農家は増えるのか、年収1000万円を目指す取り組みを取材しました。
若者が続々集まるコメ農家 ボーナスも
8月に都内で開かれた「就農」相談会。農家を目指す人たちのために、全国から農業法人や自治体が集まりました。
「今は売り手市場だからということもあるけど、農業の待遇は他の企業に比べると悪いところもあるし」
こうしたなか、「働きたい」という若者が続々と集まっているコメ農家がありました。
農業法人の中森農産で働く金城さん。6年前に電力会社から転職したといいます。
同じ職場で働く同僚は19人。平均年齢は30歳です。ちなみに現在の月収は…。
ボーナスを含めれば、年収はおよそ700万円。勤務時間は午前7時から午後4時まで。シフト制で週休2日。「ワーク・ライフ・バランス」も保たれています。
国税庁によると、民間企業で働く人の平均年収は478万円。一方、農業従事者の平均年収は404万円にとどまっています。
なかでも、コメの生産者の平均年収は240万円と特に低くなっています。
コメ農家の数は、この50年で6分の1以下に減りました。平均年齢は71.1歳と高齢化が進んでいます。そんななか…。
「社員の年収を1000万円にできるように目指してやっている。DXとかもそうですし、うちはAIの活用とかも進めているので、そういったことで達成できると思っています」
AIで作業自動化へ 年商1億円超え達成
田んぼに行って、作業を見せてもらいました。農業用の大型ドローンで、カメムシなどの害虫を駆除するための農薬を散布。操縦は不要で、AIが決めたコースを自動で移動します。
およそ1000平方メートルの田んぼに農薬をまく場合、通常なら4人がかりで1時間かかるところ、ドローンを使えば10分足らずで散布が終了するそうです。
「去年までは完全手動だったんですが、突然近代化しました」
他にもGPSを搭載した田植え機やスイッチ1つで自動運転するトラクターも導入。今後、稲穂の刈り取りはAIを搭載したコンバインを使う予定で、より自動化を進めていくそうです。さらに…。
「4県にまたがって農業をやっておりまして、全国330ヘクタールで農業をやっています」
耕作放棄地を安く借り、10ヘクタールだった田畑を330ヘクタールにまで拡大。作業の効率化と大規模化を進め、今では年商1億円を超えるまでに成長しました。
大切なのは若い世代を育て、「働きたい」と思える職場をつくることだといいます。
「産業構造がこれから変わっていくところなので、(従業員の収入の問題を)解決することというのは、すごく価値のあるところだと思っています」
(「グッド!モーニング」2025年10月6日放送分より)