アマゾン“クラウド”に障害
アメリカのアマゾン・ウェブ・サービスは、提供するクラウドサービスでシステム障害が発生し、現在も対応中だと発表しました。
アマゾン・ウェブ・サービスによりますと、日本時間の午後4時ごろ「アメリカ東部地域の複数のサービスで、エラー率と遅延の増加を確認した」ということです。
クラウドサービスを利用する企業に影響が出たとみられ、ロイター通信は、人気のゲームアプリなど接続障害が世界的に発生したと報じています。
日本時間午後9時ごろの発表では「完全復旧に向け、引き続き対応中」だとしています。原因は調査中だということです。
アスクル サイバー攻撃で出荷停止
日本国内でも、ネット通販大手のアスクルがサイバー攻撃を受けてシステム障害が発生しています。その影響で、主力のオフィス用品だけではなく、40万点以上の取り扱いがある医療や介護現場に必要な商品も届けられない状況です。
サイバー攻撃から丸1日が経ちます。東京・北区のクリニックでは。
「受注停止。今初めてやったんですけど、なんにも頼めないですね」
ここでは備品の6〜7割ほどをアスクルに注文しています。
「メスも当然どんどん使います。使い捨てなので。これもアスクルです。針もすぐ使うので、すぐ使うものは小分けにしてありますが、これも全部アスクルで毎週のように頼んでいます」
法人向けの通販でトップクラスのシェアを誇る、アスクル。オフィス用品などで知られていますが、実は消毒液やガーゼなどの消耗品に加え、注射器や手術用の刃物など医療機関に向けた商品も幅広く取り扱っています。
「これ(縫合器具)かな。5個入ってますから5人分。あと5人縫ったらおしまい。これ…5個しかないんだ。アスクルがないと医療の一部が滞るのは間違いない。とんでもないことになると思うので(復旧を)祈っています」
“頭文字A”の企業が狙われた?
今回、アスクルが被害に遭ったのは、企業や個人のコンピューターに侵入してデータを不正に暗号化し、元に戻すための身代金を要求する、ランサムウェアと呼ばれるウイルスです。
影響は多岐にわたっています。『無印良品』や『ロフト』、百貨店大手の『そごう・西武』もネットストアで一部商品の販売を停止しました。アスクルの子会社に配送の一部を委託しているからです。
先月末には、アサヒグループホールディングスもランサムウェアの攻撃を受けていて、今も全面復旧には至っていません。
日本企業が相次いで標的となっている現状に専門家は。
「日本企業に対して被害が発生しているグループだけでも、今年だけで十数グループが存在しているし、世の中的には数百とかレベル。毎年ここから(被害が)ガッと増えていくような傾向なので、年末にかけて注意が必要」
アサヒ、アスクル、どちらも“A”で始まる企業です。これについては。
「手当たり次第色んな所に攻撃を仕掛けてみて身代金を要求してくるような手口が一般的なので、アルファベット順に攻撃を仕掛けているということは考えられない」
アスクルは、個人情報や顧客データなどの外部への流出については調査中で、システム復旧のめどは立っていないとしています。すでに注文された一部の商品はキャンセルされるということです。