物価が高騰し続けるなか、不要品を地域で譲り合う官民連携型のリユース店が話題となっている。自治体が不要品回収に力を入れるワケとは?
家電や衣類など3000点以上がお得
店内には、家電や食器、衣類など3000点以上がお得な値段で並んでいる。なかには、0円コーナーもある。
「開店初日から2日おきに来ているんですけど、面白いですね、宝探しみたいで。衝動買いしそうな自分をどう抑えるか」
「きょうはコップ4個買いました。自分の晩酌用に」
「(Q.お値段は?)すごく安いです。1個100円で」
埼玉県坂戸市に先週オープンした「ジモティースポット坂戸店」。不用品を投稿して譲り先を探せる掲示板サイト「ジモティー」と坂戸市が協力する中古品を扱うリユースショップだ。
「子どもが大きくなって使わなくなったんで持ってきてみたんですけど」
持ち込んだのは、クッションとチャイルドシート。子どもが大事に使っていたが、整理するために決心したという。
「(Q.お子さんに持ってくることは?)言わないです。絶対に捨てられなくなる」
「フリマサイトに出したことあるんですけど、写真を撮ったりコメントを書いたり時間もかかって」
ここは、まだ使える品物であれば事前予約なしで何点でも持ち込みが可能。通常は有料で廃棄される物でも、無料だ。
ただ、テレビや冷蔵庫などのリサイクル家電、破損や汚れが目立つ物は引き取れない。
購入は誰でもできるが、持ち込めるのは坂戸市に住む人に限られる。
こちらの人が持ち込んだのは…帽子だ。
「名残惜しさもあるけど、もう残りの人生少ないから」
映画俳優に憧れ、大切に愛用してきた帽子を誰かが使ってくたらうれしいと思い、持ってきた。
「素敵だよね。帽子の似合う人、女性でもね。帽子ってドラマになったりするじゃないですか。サスペンスとかね」
なぜリユース店をオープン?
それにしても、なぜ市が民間の掲示板サイトと協力して、リユース店をオープンしたのか?
坂戸市の2023年度のごみの排出量は、およそ2万5000トン。その処理費用は、15億円以上となっており、施設の修繕や燃料費の高騰などにより年々増加している。
そこで坂戸市は、官民連携のリユース拠点を設けたのだ。
「坂戸市のごみの削減に協力しているという形になります。リユース品をもっと身近に感じていただいて、よりよい暮らしに役立っていければいいなと考えております」
まだまだ使える物を欲しいと思ってくれる人に譲り、ごみになる物を減らしていく。そんなリユースの仕組みを官民連携で、使いやすい形で提供しているのだ。
「日本って資源の乏しい国なので、次の人に渡せる仕組みを維持してつなげていくというのはとてもいい取り組みだと思うので。自分でも利用していきたいし友達にも広めたいと思っています」
ごみ問題解消に一役
物価高のなか、廃棄物の処理にかかるコストも増加している。そこで、無料や安価に家具や家電を手に入れることができる官民連携の再利用の動きが全国に広がっている。
2021年に始まった「ジモティースポット」は、現在18自治体、23店舗に拡大。今年の上半期時点で累計およそ50万点、1600トンのごみの減量につながったそうだ。
埼玉県坂戸市の担当者は「地域として物が循環してくれれば、ごみの減量やごみを処理するコストも減らせる」と期待して話していた。
また、粗大ごみの再利用も進められていて、自治体がジモティーと連携し回収された粗大ごみなどの中で、再利用が可能な物を自治体の専用ページで出品し、必要とする近隣住民とつなげる、回収品のリユースも行っている。
現在、全国245カ所の自治体が協定を結び、ごみの減量活動に役立っているということだ。
例えば北海道北見市では、2022年度までで542品出品され、出品した物のおよそ98%がリユースできたという。
北見市、廃棄物対策課の担当者は「物を廃棄すると砕いて埋める作業でコストかかる。これまでは廃棄してきた物でも使いたい人が有意義に使えるように市民のリユース意識づくりに役立てたい」としている。
ジモティーの広報担当者は「『譲る』ことを『捨てる』ことよりも簡単にすることで、リユースを気軽に生活に取り入れて、暮らしを豊かにしていきたい」としている。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年10月23日放送分より)









