今、会社を起こす60代以上のシニア層が増えている。番組では、金融機関を退職後、趣味の着物の着付けを生かして起業した女性を取材した。
「さくら造り帯」を考案した89歳社長 折り紙に着想
東京・調布市の閑静な住宅街にある一軒の家。中では、何かを作る着物姿の女性たちが…。
鈴木富佐江さん(89)
「(Q.ここで何をしている?)造り帯を作る練習をしています」
指導しているのは、鈴木富佐江さんだ。
そもそも造り帯とは、着物を簡単に着付けるために、あらかじめ帯を形作っておくものだ。
帯を切って作ることが多かったが、鈴木さんは帯を傷つけずに、折り紙のように折ったり、糸と針で止めたりして形作る「さくら造り帯」を考案、その作り方を教えている。
着物の帯を結ぶのは難しく、複雑な結び方だと、1人で着付けをするのは大変だ。では、鈴木さんの帯はどのくらい簡単なのか?着付け未経験の番組スタッフがやってみた。
まずは帯を腰の後ろで固定。帯を巻き、位置を調整したら、後はひもを結ぶだけ。わずか5分ほどで、帯を着けることができた。
「すごく簡単でした。初めての私でも5分くらいでできる」
着付けが簡単にできるようになると鈴木さんの教室は評判となり、これまで2000人以上の生徒に教えてきたのだという。
鈴木さんは、なぜ、この「造り帯」を考え付いたのか?
金融機関で働いていた鈴木さん。定年後に脳梗塞を患い、右手が思うように動かせなくなり、好きな着物を着ることができなくなったという。しかし…。
折り紙に着想を得て、「さくら造り帯」を生み出した鈴木さん。特許を取得し、多くの人に伝えたいと70歳の時に株式会社「さくら着物工房」を設立した。
現在はチラシ作りなどもパソコンを使い、自分で行っている。
鈴木さんは起業したことで新たな夢もできたという。
シニア起業増加 注意点も
60歳を超えたいわゆるシニア世代による起業が、年々増えているという。
帝国データバンクによると、去年新しく設立された法人は15万3789社と過去最多を記録した。
2019年に60代で起業した人の割合は10.3%だったが、去年は13.2%に増加した。これは2000年以降で最も高い割合だということだ。
その背景には、大手企業を中心に副業や兼業を解禁する動きや、政府がスタートアップを支援する動きがあるとみられている。
また、内閣府が2024年度に60歳以上の人を対象に行った調査では、「何歳まで収入を伴う仕事をしたいか?」という質問に「70歳ぐらいまで」や「それ以上の年齢でも希望する」という回答が6割以上を占めたということだ。
経営の専門家は起業する際に注意する点があるという。これまで8000人以上のシニア層に起業の支援を行ってきた、銀座セカンドライフ代表の片桐実央さんに聞いた。
「全く未知の分野ではなく、現役時代に培ってきた技術や人脈を利用できる分野で起業することが重要。また、最初から人を雇ったり、賃貸の事務所を開設したりせず、少しずつ事業を拡大することが大切」と話す。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年10月28日放送分より)









