経済

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2025年11月11日 18:00

農政“再転換”する高市政権 おこめ券の活用検討 「一時しのぎ」と困惑の声も

農政“再転換”する高市政権 おこめ券の活用検討 「一時しのぎ」と困惑の声も
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 農林水産省は、コメの平均販売価格が2週間ぶりに値上がりしていると発表した。そうした中、農業政策に関し高市政権は石破政権からの転換を発表、消費者・生産者からも賛否の声が上がっている。

スーパーでの平均販売価格の推移が

 まずはコメの価格、そして、高市政権の農業政策について見ていく。

 農水省によると、スーパーでのコメ販売価格は7月28日から8月3日にかけて5キロ3,542円まで下がっていたが徐々に値上がりし、今月2日までの1週間では4,235円になっている。これは2週間ぶりの値上がりで、4,000円台は9週連続となっている。5月12日から5月18日の最高値4,285円に迫る水準が続いている。

石破政権は“歴史的転換”主食用コメ増産へ

 こうしてコメ価格が高止まりするなか、高市政権の農業政策の“再転換”に懸念の声も出ている。

主食用米の需要量・生産量
主食用米の需要量・生産量

 石破政権では、増産路線だった。主食用米の需要量・生産量はともに年々減っているが、2021年から需要が生産を上回る状況で、2024年は需要量が713万トン、生産量が679万トンと、生産が足りない状況でこれがコメの価格高騰につながった。

 石破政権時、当時の小泉進次郎農水大臣は8月、コメの価格高騰について「人口減少などに伴い、需要は減り続ける見通しだった。判断を見誤った」と述べた。

 石破茂総理大臣(当時)は、コメの安定供給に向け増産に舵(かじ)を切り、増産に前向きに取り組める支援を掲げるなどし、これは「農政の歴史的転換」とも言われていた。

 しかし、一転、高市政権では需要に応じた生産をするという。

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高市政権で一転「需要に応じた生産」へ

「需要に応じた生産」へ
「需要に応じた生産」へ

 鈴木憲和農水大臣は、先月22日の大臣就任会見で「今は不足感がある状況ではない。需要に応じた生産が基本」、さらに「政府はコメ価格にコミット(関与)すべきではない」と述べた。

 この「コミットすべきでない」という発言については、別の日に「備蓄米で価格に影響を与えるべきではないという意味だった」と説明している。

 農林水産省は、来年の主食用米の生産量の見通しを需要量の最大値の見通しに合わせ711万トンにするとした。これは今年と比べ37万トン少なくなる。ただ、備蓄米として買い入れる予定の21万トンなどを含めれば「全体の生産量は変わらない」としている。

鈴木憲和農水大臣とは…

自称“はえぬき”大臣・鈴木憲和農水大臣とは?
自称“はえぬき”大臣・鈴木憲和農水大臣とは?

 新たに農水大臣に就任した鈴木憲和氏はどんな人物なのか、見ていく。

 旧茂木派で現在43歳。2005年に農林水産省に入省し、2012年に退職。地元山形2区から衆院選に出馬し初当選した。そして2025年、農水大臣に就任した。

 農水省出身で農水大臣に就任した経歴もあり、地元・山形のブランド米にちなんで「はえぬき」大臣を自称している。趣味は「美味しいお米探し」だという。

 当選5回で、貿易を拡大するTPP=環太平洋パートナーシップ協定の承認案などの採決で退席し、農家を守る立場を鮮明にしたこともある。座右の銘は「現場が第一」。

「おこめ券」の活用を検討

 「一時しのぎ」と困惑の声も上がっている。おこめ券配布の効果はどれだけあるのだろうか。コメ価格の高騰には、どんな対策が有効なのか見ていく。

「おこめ券」の活用を検討
「おこめ券」の活用を検討

 鈴木農水大臣は先月22日の就任会見で、「今の価格だと買えない方にできるとすれば、物価高対策の中で『おこめ券』も含めて対応するのが今すぐにできることだと思う」と、おこめ券の活用に意欲を見せていた。

 今流通しているおこめ券には業界団体などが発行しているギフト券や、自治体が発行する地域振興券がある。今のところ、今回のおこめ券の詳細は不明で、金額や時期も示されてはいない。

 高市早苗総理大臣は10日「おこめ券」の活用について「重点支援地方交付金の推奨事業メニューに入れるかどうかを含め検討を深めている」と述べた。重点支援地方交付金とは、各地方自治体が行う物価高騰対策を国が支援するものだが、高市総理は「(おこめ券については)確定していない」としている。

 また、「おこめ券」の配布には事務費などのコストがかかることも課題だ。

 (「大下容子ワイド!スクランブル」2025年11月11日放送分より)

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