スーパーのコメの平均価格は、5キロ4316円で最高値を更新しました。新米が流通した後もなぜコメの価格が上がり続けるのか、コメ農家や卸業者を取材しました。
5キロ5000円超 売れ行きに“変化”
コメの平均価格は5キロあたり、前の週よりも81円高い4316円で最高値を更新。10週連続で4000円台と高値が続いています。
都内のスーパーでは、5キロ4000円台のものもありますが、ほとんどのコメが5000円を超えてしまっています。
「これ4キロなんですけれども、5キロですと税込みで5000円超えちゃいますんで。この4キロというのが売れていますね。全体的な売り上げが良くない」
仕入れを担当する社長は、去年と同じ時期の新米の価格より、3割以上も高くなったと言います。
価格が高騰しているため売れ行きが鈍く、仕入れを控えているといいます。
東京・江東区のコメ店。店頭に新米がずらりと並んでいます。
「(今年の新米は)結構物は良くて、味も良くて、お客様には新米おいしいですよって勧めています。おコメ高いよね、安くなんないのかねっていうのはよく言われますね」
新米の中で最も安いのが、埼玉県産のコシヒカリ5キロで税込み4300円。
やはりこちらのコメ店でも、価格の高止まりによって、新米の売れ行きは良くないといいます。
店主の鈴木さんによると、9月ごろから新米を入荷し始めましたが、価格の安い去年収穫されたコメや備蓄米から売れていったといいます。
新米が安く手に入るコメのすくいどりイベントには、150人の長い列ができていました。1回200円で300グラム以上と相場の半額で新米が手に入るとあって大盛り上がり。
「大変助かりますね。少しでも安く手に入れたい」
農家明かすJAvs民間業者
新米価格の高止まりの原因は一体どこにあるのか。生産者の農家を訪ねてみると…。
「今、主食のおコメが終わって、その後に続いてやっているのが飼料用米の稲を刈っているところです」
飼料用のコメの収穫を見守るのは、茨城県土浦市のコメ農家・滝田さん。今年の主食用の新米はすべて収穫済みということで冷蔵庫を見せてもらうと、積みあがるおよそ300袋のコシヒカリの新米。
ここに保存されている主食用のコメはすべて売り先が決まっていて、飲食店などに出荷されるといいます。
JAがコメを集荷する際に、農家に支払う前払い金の「概算金」をまとめたメモを見せてもらうと…。
2021年は60キロあたり9500円と1万円を切っていますが、今年の概算金はおよそ3.7倍となる3万5000円。
JAとその他の業者の集荷競争により、コメの買い取り価格が高騰したといいます。
滝田さんは去年、収穫したコメの8割をJAに出荷していましたが、今年は逆転し、高く買い取ってくれる集荷業者におよそ8割を出荷しました。
滝田さんは今まで赤字だった部分に、今年の売り上げを充てなければならないといいます。
「こちらはですね、コメを刈った後の乾燥施設になります」
水戸市でコメ農家を営む大谷さん。
大谷さんも、JAとそれ以外の業者の集荷競争によってコメの価格が上昇したと話します。当初、JAが提示した概算金は60キロ2万8500円でしたが…。
最終的に、大谷さんは低い価格を提示したJAに出荷しました。その理由は?
JAは集荷の際に前払いの「概算金」を農家に支払いますが、想定よりもコメが高く売れた場合は、農家に追加でお金が支払われます。
ただ、今までにない価格に大谷さんは困惑しています。
新米の在庫「今後は損しても…」
では、集荷されたコメは現在、どのような状況になっているのでしょうか。
集荷と卸を行う岐阜県の業者。倉庫の天井に迫るほど積まれた大量の袋。これらのほとんどが今年の新米。
また、別の倉庫では…。
「このように通路までいっぱい玄米を積んでおります」
本来、機械が奥まで通れるほどの通路ですが、新米を積む場所がなく、仕方なく置いているといいます。
こちらの業者では、この倉庫を含めて全部で6つの倉庫が満杯の状態。去年の同じ時期に比べると、600トンほど売れ残っているといいます。
すでに高額で買い取った新米も、このまま売れ残ってしまう恐れがあり、どこかで損をしてでも販売する可能性があるといいます。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年11月17日放送分より)











