秋の味覚サケが今年は歴史的な不漁となっていて、漁獲量の9割を占める北海道では、前年の4割近くしかとれていないという。
歴史的サケ不漁で飲食店悲鳴
ズワイガニ釜飯やホッキガイなど、北海道根室の食材を中心に、多くの海の幸がリーズナブルな価格で楽しめると人気の根室食堂。
しかし、現在、根室食堂ではサケの価格上昇に伴い、そのほとんどを海外産でまかなっているという。
「(Q.サケはどうですか?)サケも値段が上がってきているので、現状輸入もの使っているので『銀鮭』と書いています」
「(Q.通常サケを使ったメニューは?)6種類くらい。輸入ものでひっそりと」
「去年と比較すると4倍くらい(サケの)値段が急に上がった」
今年、全国でとれたサケの数は9月30日の時点で352万匹。前年の633万匹と比較して、およそ半分にまで減少している。
さらに国内漁獲量のおよそ9割を占める、北海道の秋サケの来遊予測はおよそ1140万匹。去年のおよそ1770万匹と比較しても大幅な減少が予測されている。
道内の漁業関係者も番組の取材に対し、「過去20年で最悪の漁獲量。数が取れないことには話にならない」と嘆いた。
さらに、サケの不漁によって前代未聞の事態が発生していた。
「(Q.メニューの中にイクラがない)高すぎてもう…イクラ出せない。どうにか去年までは頑張ってやった。もう今年は出せない」
なんと、国産のサケが出しにくくなっただけではなく、イクラに関しては入荷を停止しているのだ。
サケは日本で最も食べられている魚の1つなのだが…。
「イクラはスーパーに行っても高い。やっぱり、なかなか手が出ない」
50代
「北海道の店で『根室食堂』なのにイクラというメニューがないのは、本当に(サケが)とれてないんだなというのは実感します」
歴史的な不漁。私たちの食卓に、またサケは帰ってくるのだろうか。
サケ不漁は地球温暖化の影響か…対策も
サケの漁獲量はピーク時に比べて3分の1に減少していて、研究によると、やはり地球温暖化の影響が大きいという。
水産研究・教育機構さけます部門資源生態部長の佐藤俊平さんに伺った。
冬に川で生まれたサケの稚魚は、種類によっては1年から2年、川で過ごし、春ごろに川を下って海へ向かう。
そして、海にたどり着いたサケは沿岸部で餌(えさ)を食べて成長し、通常、夏ごろにオホーツク海に向けて移動を始める。
その後、ベーリング海やアラスカ湾を回遊し、数年かけて生まれた川へ戻り、繁殖活動を行う。
問題なのは温暖化による沿岸部の海水温の上昇だ。
サケが成長に適した水温は5℃から13℃とされるそうだが、海水温が高いと、冷たい海水を求めて、回遊に適した大きさになる前に移動を始めるようになるという。
小さい個体のまま長い旅に出ることになり、日本の沿岸からオホーツク海にたどり着く前に、捕食されたり、死んでしまう可能性が高いという。これが、サケの漁獲量の減少につながっている大きな要因とみられているという。
では今後、日本のサケの漁獲量はどうなってしまうのか。
佐藤さんは「そもそも日本は、サケが生息可能なエリアの南限と言われている。海水温上昇の影響は最も受けやすい」と話す。
沿岸からオホーツク海へたどり着けるサケを増やすため、稚魚を従来よりも長い期間をかけて成長させてから川へ放流する研究を行っているそうだ。
そうすることで、稚魚が川から海に下って沿岸部で成長できる期間が短くても、回遊に耐えられる十分な大きさになりやすいそうだ。
現在、研究段階ではあるが、川に帰ってくる確率が高くなったという。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年11月18日放送分より)












