コメ価格の高騰で、主食をパンや麺類に切り替える人が増えています。そんななか、朝食で人気のトーストや菓子パンに欠かせないマーガリンが今、進化を遂げています。
1℃単位で“口どけ”を調整
机の上のクロワッサンを手に取ってにおいをかぎ、真剣な表情で味を確かめる人たち。
「クロワッサンのサクサク感とかは、どれも同じくらいかなと思ったけど。テスト(1)が一番あと残りのジューシー感、油の感じがいいなと」
「(最初の)トップの風味がないけれど、ミドルラストからしっかりバター感とかコク感が出る」
香りや食感、風味など、特徴の違いを一つひとつ丁寧に記録し、メンバー間で共有します。
「最近はジューシー感というか、オイリー感みたいなのを言われることが多いので、その傾向からいくとテスト(1)の方が油が表現できてるかなと」
行われていたのは、新たなマーガリンの研究開発です。
コメの価格の高止まりが続くなか、食卓で存在感を増しているパン。
「毎日、朝は食パン食べて出勤してます。きょうはイチゴジャムをのせて食べました。今なんでも高いので、コメも一人暮らしだと買えないので、手っ取り早く買えるパンを食べています」
「パンの方がやっぱり安いので、お手軽かなという気がします。休みの日はほぼパンです。だいたいトーストして、マーガリン塗って、卵とソーセージと野菜ちょっとという感じで食べています」
パンの味を引き立てるマーガリンについても、開発競争が激しさを増しています。
牛乳由来のバターとは異なり、大豆油やパーム油など植物性油脂を主な原料として作られるマーガリン。パンにさっと塗れる手軽さだけでなく、お菓子作りにも欠かせません。
埼玉県にある大手油脂メーカーの開発現場をのぞいてみました。
榊晃生センター長
「(Q.どんなマーガリンを開発しているんですか?)融点の違うマーガリン、口どけの違うマーガリンを開発しています」
食べるまでは固まっているけど、口の中ではとろけるマーガリン。そんな絶妙な口どけを実現するため、このメーカーでは、1℃単位で溶ける温度を調整しています。
「こちらに溶けるスピードの違うマーガリンを2種類用意したので、溶ける様子を実演してみます」
「こちらが37℃で溶けて、こちらが34℃で溶けます」
容器を温めていくと、一目瞭然です。
ヘルシー面でもマーガリン進化
バターに比べて、安価で安定的に作ることができるマーガリン。原料となる油脂と乳製品の配合や混ぜ方、冷却方法などで口どけを細かく調整できる特徴があるといいます。
この企業では、スーパーやコンビニなどに並ぶパンを作る企業向けに各社の要望に応えて、多種多様なマーガリン開発を行っています。
「パンの種類によっては、口の中に長く残る生地や早く溶けるパンの生地があるので。それに合わせてすぐに口の中で溶けてしまうパンの場合は、溶けるスピードの早いマーガリンを使用して合わせています」
三山賀子アナウンサーも試食させてもらいました。
「(37℃で溶けるマーガリンは)全然違います。こちらの方がしっかりとマーガリンの風味を感じながら、ゆっくり溶けていく。パンと一緒に絡み合って溶けていく感じです」
理想の口どけを目指し、日々行われている研究開発。ヘルシー面でもマーガリンは進化を遂げています。
かつて「摂りすぎると体に悪い」と言われたトランス脂肪酸。技術が進歩し、今では多くのマーガリンに含まれるトランス脂肪酸は「ごく微量」に減っていて、おいしさと健康の両立が進んでいます。
(「グッド!モーニング」2025年11月18日放送分より)








