聴覚障がい者の国際スポーツ大会デフリンピックで24日、日本勢は金メダル5つを獲得する活躍を見せた。そうした中、都内で海外からも注目される飲食店がある。
聴覚障がい者の夫婦が営む店
聴覚障がい者の国際スポーツ大会デフリンピックで連日、日本人選手が活躍する中、ある店が注目されている。
「大久保駅から歩いてすぐの所にあります『串揚げ居酒屋ふさお』。中を見てみますと混んでいます。ほぼ満席です」
「お店の中これだけ混雑しているのですが、とても静かなんです。聞こえてくるのは食器を置く音だったり調理をする音がよく聞こえます」
実は、ここは聴覚障がい者の夫婦が営む店だ。店内では多くのお客が手話で会話を楽しんでいる。
店主の吉岡富佐男さん(70)は、3歳の時、みかんを喉に詰まらせ、運ばれた病院で治療を受けたが、その後、聴力を失ったという。
社会人になり、自動車メーカーで塗装の仕事に20年以上携わった。
ただ、聴覚障がい者も健常者も関係なく交流できる場所を作ることが夢だったという吉岡さん。早期退職し、2000年に45歳で「串揚げ居酒屋ふさお」を開店した。
隣で料理を作っている妻のかつ江さん(54)も聴覚障がい者だ。
富佐男さんが、店のお客だったかつ江さんに手話で猛烈アタックをし、結婚した。
聴力・国境乗り超えて手話交流
見渡すと、お客のほとんどが手話で注文している。注文用タッチパネルなどは見当たらない。
「タッチパネルだと人との交流ができないかなと思います」
「(Q.皆さんは友達ですか?)友達」
女性
「違います」
「普段、手話を使う相手が旦那しかいないから、久しぶりに(他の人)と手話で話せてうれしい」
なぜ、この店に聴覚障がい者が集まるのか?
「耳が聞こえない人の入店はお断りしますと言われたことがあります」
「(他の店だと)耳が聞こえないと話しても、相手が普段通りにしゃべってくる」
この店では、耳が聞こえないことは特別なことではないと、多くのお客がコミュニケーションを求めてやってくるという。
中にはデフリンピック観戦のため、アメリカや中国、ロシアから来た人もいた。SNSなどで、店の存在を知ったという。
「(Q.仲良く話しているが友達ですか?)違いますよ。初めて会いました」
アメリカ在住
「たまたま目が合ったんです」
「(Q.話しかけられてどうでしたか?)新しい友達ができてうれしかった」
「(今は共通手話として)アメリカ手話を使っています」
「ロシアの手話が混ざっています」
それぞれの国で手話が違うため、世界共通の「国際手話」はあるが普及率は低く、やはり“言葉の壁”はある。しかし、それでも身ぶり手ぶりで国境を越えた会話が可能だという。
世界にまで広がったコミュニケーションの輪。富佐男さんはこう話す。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年11月25日放送分より)










