日本の食に欠かせない「ウナギ」を巡って、世界中で議論となっています。もしかすると海外産のウナギが高くなるかもしれません。
“輸入ウナギ”が高くなる?
わたしたちのごちそうが、今よりも手の届きにくい存在になるかもしれません。
「(価格は)上がってほしくない。ウナギ好きなので」
「ウナギが食べられなくなるのは嫌だけど、食べられるわけでしょ?払う!払ってでも食べる!」
「(Q.ウナギにいくらまで払う?)7000円くらい?それを年に1回のご褒美にする。年に4回、5回くらい食べるのを1回にして」
千葉県成田市のウナギ専門店。「うな丼」は2000円台で味わえるなど、リーズナブルな価格設定も評判です。
「中がフワフワで外がパリッ!として香ばしい」
低価格を実現するヒミツは、店の隣にある施設にありました。こちらでは国産や中国産のウナギが生きた状態で保管されています。この中国産がリーズナブルにウナギを提供するカギになっているんです。
ただ、そんな中国産ウナギも安くはなくなる可能性が。日本からおよそ6000キロ、ウズベキスタンで開かれている国際会議で浮上しています。
中央大学 法学部 海部健三教授
「日本の市場に出回るウナギの7〜8割程度が規制対象に。国際取引が難しくなっていくと考えられる」
ウナギを巡っては資源保護の観点から、すでに一部の種類に規制がかけられていますが、EUなどはすべてのウナギを規制対象にすべきと主張。
対象となった場合には、ウナギの値段がさらに上がる恐れがあるんです。
「(今は)国産が高い、中国産が安い。だんだん近づいていく。(さらに)国産が上がると中国(産)が上がる」
規制拡大なら価格いくらに?
具体的にいくら高くなるのか?飲食店とスーパー、それぞれの予想を聞きました。
インタビュー中にも繰り返し逃げ出すほど、いきがいいウナギを提供する成田市の専門店。
店で扱っているウナギは中国産が6割、日本産が3割だといいます。
「今、中国産が底値。諸経費、追加費入れて3500円くらい。(規制対象になると)そこから1500円上がって中国産が5000円」
仮に、今使用するウナギが規制の対象となった場合、仕入れ値は1キロあたり1500円アップの予想。ただ、店で提供するウナギの価格は…。
「値段は上げない。上げるかもしれないけど、最後まで頑張って上げない」
食卓に並ぶウナギも、無縁ではありません。
一尾1000円前後の中国産ウナギのかば焼き。見た目もふっくらボリューミーです。
鮮魚部チーフ長 主藤堅士さん
「従業員も買うくらい味が好評」
ただ、規制の対象になった場合は…。
「あまりにも上がりすぎると、スーパー側は、販売できないくらいの価格になる」
実は背景には、このウナギの「出身地」が関係しています。
日本から遠く離れたアメリカの川。実はこうした場所が意外にも、中国産ウナギの“出身地”の一つになっているんです。
「時価にもよるが、多い時は年間2400万円は稼げる。もっと稼いでいる漁師もいる」
年間2000万円以上を稼ぐこともあるという漁でとるのは、「アメリカウナギ」の稚魚。
このアメリカでとれた稚魚が、中国に輸出され、養殖・加工されたあと、日本のスーパーへ。取引の規制対象になれば、2段階のハードルが生まれることになります。
一方、アメリカのウナギ養殖業者は国際規制の原因となる違法取引を問題視しています。
「違法なウナギ漁は、世界的なウナギ取引を危機的な状況に追いやり、合法に管理されたウナギを扱う漁師や業者のビジネスをも脅かす。もちろん資源としてのウナギの存続も脅かす」
身近なウナギも対象となるのか。27日、採決の予定です。












