政府の物価高対策で注目されているのが「おこめ券」です。すでに自治体が独自に配り始めているなか、配らないという自治体も。一体なぜ。
おこめ券 自治体に温度差
1日午前8時半。おこめ券の配布が熊本県高森町で始まりました。
「おこめ券になります。3枚ですね」
さっそく受け取った男性は…。
「年度末だから助かります。タイムリーでいいと思います。さっそく食べます、コメに変えて、寝正月用のごはんです」
高森町が独自で用意したおこめ券は、1枚1500円分です。役場の窓口には朝から続々と求める姿がありました。
「アナログチックな使途を限定する、おこめ券は効果があると思っております。今やらないと意味がない」
こうした独自のおこめ券は、青森市や福井市など他の自治体でも始まっています。
高森町では、希望者1人につき1枚が来年3月まで毎月配布されます。
もらい方は紙か電子クーポンを選択。
「世帯主の人のお名前を入れていただいていいですか?」
女性はデジタルでのもらいかたを教えてもらいながらなんとかゲット。
年末ならではのある理由で1日の配布を待ちわびていました。
女性はおこめ券をもらってすぐ、さっそくスーパーへ。
そして、購入したのは5キロのもち米。
高市内閣が進める物価高騰対策で地方交付金が拡充されることを受けて、町が先行して取り組んでいるといいます。
「配らない」も…東京23区は
果たして全国でおこめ券は配られるのでしょうか?
先週、農林水産省は物価高対策として、盛り込まれたおこめ券について…。
「地方自治体の担当者向けの説明会を、12月3日からオンラインで開催したい」
各自治体にゆだねられる交付金の使い道。
東京23区はどう対応するのでしょうか。番組が一つひとつの自治体に、おこめ券を配るのかどうかを取材しました。
まだ決めていない自治体は21区。配らないと決めた自治体は、江戸川区と中野区の2つの自治体でした。
江戸川区は低所得者向けの支援を重視したい考えで、中野区はノウハウのある現金給付などの方がスピード感をもって対応できると答えました。
すでに大阪・交野市の山本市長は、「配布しません」と宣言しています。その理由として、券を配ることでその分経費が掛かるなどを挙げています。
おこめ券について消費者は?
「幅広く使えるのとか…幅広くとはコメに限らずという意味。期間をもう少し緩やかにするとかしてもらえると、すごく使い勝手がいいというか、助かるのかな」
重点支援地方交付金の使い方については、未定としていた東京・台東区は、独自の財源ですでにおこめ券の配布を行っています。
そこで実際にディスカウントストアでどう使用されているかをチェックすると…。
70代の女性が利用するところに遭遇。広い店内で女性のお目当ては…。
「きょうはアーモンド。朝食のサラダのトッピングに使っている。毎朝7粒食べている」
毎朝7粒。朝ごはんに必要なアーモンドをおこめ券で購入するといいます。
店によっておこめ券は、コメ以外の買い物にも使えるため、女性はアーモンドと乾電池を購入。
「いくらかな?」
「1187円」
「2枚使います」
「おこめ券」
「足らない分、出します」
合計1187円のお買い物。1枚440円のおこめ券を2枚使用して、残りは現金で支払いました。
「助かる」
「(Q.おこめ券は何円分?)夫と2人で4400円」
「(Q.どれくらい使った?)これで全部終わり。年金、夫と2人あわせてぎりぎりで生活している。(おこめ券は)うれしい。気にしないでお金を使える。ありがたい」
鈴木孝憲さん
「(先月)上旬から下旬に比べ、どんどん使用枚数が増えてきて、最高で332枚が1日で使われている」
一方、活用範囲について詳細が分からずで、国の交付金の使い方は、未定としていた渋谷区。
渋谷区では、区民限定でお米の購入で最大50%のポイントが還元されるキャンペーンが始まっています。
売り場をみると、あきたこまちやコシヒカリなど主要な銘柄米も対象となっています。
すでに始まっていたのが…。
使用するのは、区の独自キャッシュレスサービス「ハチペイ」。精米や玄米が対象で最大で50%還元されます。
松本智克店長
「1家族ではなく、お1人様(あたり)ですので、夫婦であれば4000円(還元)。お店にとってもすごく売り上げが伸びていますし、お客様にとっても、2000円は大きな金額。かなり家計の助けになっていると思う」
このキャッシュレスサービスを使用することで、店には不慣れなレジ打ち作業が軽減され、メリットになるといいます。




















