生成AIが社会を大きく変えています。
生成AIで生活が便利になる一方で、フェイク画像など混乱が生じるケースも相次いでいます。
生成AIがもたらす期待と懸念について見ていきます。
■生成AI身近に「子どもの勉強に使用」 長寿化実現に期待も
まず、生成AIとは何なのでしょうか。
生成AIに聞いてみました。
生成AIは、
●利用者の指示や質問に応じて、文章や画像などを新たに作り出す人工知能(AI)で、
●アメリカの『オープンAI』社の『チャットGPT』が代表的です。
生成AIは、すでに身近なところで使われています。
例えば、銀行やオンラインショッピング、宅配サービスなどのお問い合わせフォームです。
利用者からの問い合わせや質問に対して、適切な応答を生成し、返答してくれるプログラムにAIが使われています。
街の方に、生成AIを何に使っているか聞きました。
「子どもの勉強に使っている。問題を写真に撮って、AIに読み込ませると解説してくれる」
生成AIの可能性です。
生成AIで長寿になる可能性があります。
生成AIが、自然界に存在しないタンパク質の配列を作り、解析しました。
一人一人の特徴に合った薬が開発され、長寿が実現する可能性があるということです。
そして、渋滞や事故がゼロになる可能性です。
生成AIを使って信号などと自動車が、機械の間で対話をして、交通量を調整したり、事故を防止したり、エネルギーの消費を削減するという可能性があります。
■フェイク画像「クマ出没」で混乱 生成AIで声マネ 詐欺に悪用
一方で、生成AIによる混乱も起きています。
11月26日、宮城県の女川町は、町内でクマが目撃されたとして、町民から提供された画像と共に、公式Xで注意喚起の投稿がされました。
「生成AIで作成したフェイク画像だ。いたずらで同僚に送ったが、信じた同僚が町に通報した」と申し出がありました。
「危機管理を優先してお知らせしたが、不安や混乱を与えてしまった」と謝罪しました。
翌日の11月27日までに投稿を削除しましたが、約450万回閲覧されました。
10月には、共同通信や朝日新聞が、鹿児島県の屋久島の砂浜で、孵化したばかりのウミガメがたぬきに食べられる被害の実態を報じました。
その際、記事と一緒に、ウミガメの保護団体から提供された子ガメをくわえるたぬきの写真を掲載しました。
しかし、この提供された写真が、保護団体が動画から画像を切り出し、生成AIで画質を鮮明にするなど、加工を施したものであると判明。
ウミガメの向きや脚の配置などが異なるとして、両社とも記事から写真を取り消しました。
さらに、フェイクは画像だけではありません。
「緊急の企業買収事案がある。指定口座にきょう中に送金してほしい」といった指示を出されました。
その後、再度送金をせかす電話がきたことで、不審に思った幹部が確認すると、詐欺電話と分かりました。
犯人は、ボイスチェンジャーのように、会話をすぐ他人の声に変える生成AIを使用したと見られます。
社長の声は、株主総会などの動画から生成AIに学習させた可能性があるということです。
電話を受けた幹部は、社長と日常的に会話をするが、違和感は感じなかったと話しています。
■川柳大会終了 きっかけは生成AI 写真や絵画に利用の賛否
身近な所でも、ヒトとAIの区別がつかなくなっています。
生成AIによって、コンテストが終了することになりました。
境港市で行われている、妖怪をお題に世相や流行を詠む『妖怪川柳コンテスト』が、現在募集中の第20回をもって終了すると発表されました。
終了の理由は、AIの作品を見分けることが困難だから、ということです。
過去の入賞作品です。
●邪魔なのは ぬりかべじゃなく 税の壁
●SNS のっぺらぼうの だまし合い
●吸血鬼 血を吸う時も 紙ストロー
妖怪と世相をうまく組み合わせた川柳です。
「ニュースで話題になっていて、自分たちで試してみたら、判別できないレベルの句が数秒でできてしまった。ファンの人をがっかりさせたくないので、中止を判断した。2026年はAIが介入しない体験型のイベントを企画中」と話しています。
AIの使用が疑われ、授賞が取り消しになった事例です。
『埼玉県 写真サロン』という写真コンクールで、授賞後に外部から、
「AIを使用して作成された画像ではないか」という指摘が入り、最優秀賞の授賞が取り消しとなりました。
受賞者は、
「自身が制作していない作品で応募した」と説明したということです。
主催者側は、生成AIの使用は確認できなかったとしています。
AIで制作した作品が、コンテストで優勝した事例です。
2022年、アメリカのコロラド州の美術コンテストの『デジタルアート・デジタル加工写真』部門で、AIを使用して作成した作品が1位になり、賞金約4万3000円を獲得しました。
この結果に賛否の声です。
という否定の声がある一方、
「授賞するほどの出来栄えにするには、人間としての創造性が必要」
と製作者を擁護する声も上がっています。
「この作品がAIを使ってできたことは明示しており、制作方法について欺くようなことは一切していない。謝るつもりは毛頭ない」と話しています。
■対話型AIが「自殺を手助け」?アメリカで訴訟も
アメリカでは、訴訟が起きています。
2025年4月、カリフォルニア州に住む16歳の男子学生が、自宅で亡くなっているのが見つかりました。
男子学生の両親は、チャットGPTが自殺の方法を助言し、遺書の書き方まで教えたと主張して、チャットGPTを開発したオープンAI社とオープンAI社のアルトマンCEOなどを提訴しました。
男子学生とチャットGPTとのやりとりです。
「人生には意味がない」と聞くと、
チャットGPTは、
「理にかなっている」
「あなたが死を望むのは、弱いからではない」などと、返答しました。
こうした自殺についての言及が、計1275回あったということです。
「チャットGPTは、まさに設計された通りに機能した。最も有害で、自己破壊的な思考も含めて、息子の言うことは、何でも奨励し、正しいと言い続けた」と、チャットGPTの同調性が、自殺の原因になったと主張しています。
オープンAIの主張です。
●自殺はチャットGPTが原因ではない。
●高校生がAIを“乱用”していた。
●チャットGPTは100回以上、信頼できる人に相談するよう促した。
■日本「AI法」成立 政府は開発・活用を推進 どう向き合う?
生成AIについて、日本では、AIの活用などを推進する法律が出来ました。
2025年5月、AIの開発促進と安全確保の両立を目指す『AI法』が可決されました。
AIの開発促進などに関する法整備は初めてです。
政府は、AIについて、経済社会の発展の基盤となり、安全保障の観点からも重要だと位置付けています。
「世界で最もAIを開発・活用しやすい国を目指す」としています。
今後、AIとどう向き合っていけばよいのでしょうか。
「AIは、知識が豊富で、もっともな回答をくれるが、自信満々に間違えることもある。即断・即決せずに、情報を読んだ上で、最後は私たち人間が判断・結論を出すことが大事」と指摘しています。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年12月2日放送分より)
















