物価高の影響で、全国で温泉施設の廃業が相次いでいます。長野県にある「天空の秘湯」と呼ばれる絶景露天風呂が人気の施設も廃業を余儀なくされ、40年の歴史に幕を下ろしました。
雲海望む露天風呂に大行列
人口およそ4300人の長野県木島平村にある馬曲温泉。駐車場には、多くの県外ナンバーの車が止まっていました。
「霧が山にかかっている雰囲気とか、雪がかかっているのがすごくきれい」
「秘境の温泉って感じですよね」
一番のウリは「天空の秘湯」と呼ばれる露天風呂からの絶景。入浴しながら雲海が広がる幻想的な景色を楽しむことができます。
馬曲温泉は1988年に村が経営する形で開業しましたが、利用客が減少し、おととしから休業状態になっていました。
去年4月には村から県内の民間事業者に無償で貸付され営業を再開。温泉総選挙で中部地方の1位(去年)に輝き、長野県を代表する絶景の湯として人気を集めていました。しかし…。
「こちら(今年)3月まで内風呂として使っていたところでございます。躯体の屋根を支える内湯の梁(はり)が崩落してしまい、村と協議をさせていただく中で、弊社として運営継続は難しいという判断に至りました」
施設側は露天風呂に仮設シャワーを設置して営業していましたが、内風呂が使えなくなったことで客は3割減少。修理することは難しく、内風呂の解体だけでも3500万円かかります。
施設全体の設備更新には最低でも1億円以上が必要になることから、11月24日を最後に営業を終了することに決めたのです。
営業最終日、施設には別れを惜しむ多くの人の姿がありました。
「(馬曲温泉は)誇りですよね。地元だけではなく地元以外の方に来て栄えてほしいなという願いはあったね」
「まさかきょうが最後かと思ってもいなかった。全然知らなかった。これ(景色)も見られないのか、これからは…。本当なの?きょう最後だって」
こちらの男性は、営業日には欠かさず来ていたといいます。
「やはりここは一番開放的で、景色もいいし一番いいかな。だから、毎日来ているんでしょうね。残してほしいですよね、いい温泉なので」
「また馬曲温泉で会う日まで」
村の人たちも駆けつけ、村特産のキノコ汁を振る舞います。
「他の地域から大勢来ていただいて、馬曲温泉は人気があったんだなと今更ながら思います」
夕方には、木島平村の村長もあいさつに訪れました。
営業終了となる午後7時。最後の客を見送り、馬曲温泉はおよそ40年の歴史に幕を下ろしました。
運営していた馬曲温泉株式会社の小林達矢取締役はこう話します。
今後経営を引き継いでくれる事業者を村とともに探したいといいます。
(「グッド!モーニング」2025年11月26日放送分より)









