経済

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2025年12月3日 14:37

「おこめ券」すでに配布の台東区 コメ以外の買い物も “配布しない自治体”理由は?

「おこめ券」すでに配布の台東区 コメ以外の買い物も “配布しない自治体”理由は?
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 政府が物価高対策として配布を推奨している「おこめ券」を巡って自治体の対応に差が出始めています。中には配布はしないという方針の自治体もあります。

米店「効果は出ている」 区民「電子マネーの方がうれしい」

 政府が進める対策とは別に、独自の物価高対策としておこめ券を配布している台東区。訪れた客は、さっそくおこめ券を使いコメを購入していました。

店主
「きょうは5キロ?」

「はい」
店主
「5キロなんで4750円いただきますので10枚」

「はい」

 新米5キロを4750円で購入したこの女性。1枚440円分のおこめ券を10枚使い、残りの350円は現金で支払います。


「もう、(おこめ券が)来たら使おうと思って」
「(Q.早く買っちゃった?)そうですね」
「(Q.もらった側からするとうれしい?)そうですね。ありがたいです。ないよりはもう全然うれしいです」

 子どもが3人いるというこの女性。コメ5キロが10日ほどでなくなるといいます。

台東区が配布する「おこめ券」
台東区が配布する「おこめ券」

 台東区が配布しているおこめ券は1世帯あたり4400円分で、18歳以下の子どもがいる世帯や3人以上の世帯は、倍の8800円分のおこめ券が配られています。

「(Q.一回でどれくらい炊く?)一日5合なくなります。朝と昼、お弁当と夜で一日で五合なので、本当に2週間ももたない」

 この店では、おこめ券の配布以降、コメの売り上げが2割〜3割増えているといいます。

高坂米店 高坂和延代表
「いつもよりも少し良いの買おうかしらっていうお客様も、ちょっと予想外でしたけど、結構いらっしゃいますね。初めて来ていただいているお客様もいらっしゃいますので、少し効果は出ていると思います」
台東区内のディスカウントストア
台東区内のディスカウントストア

 台東区内のディスカウントストア「多慶屋」ではコメだけではなく、日用品や衣類など、店内すべての商品におこめ券が使えます。

コメ以外の購入に使用
コメ以外の購入に使用

 おこめ券をコメ以外の購入に使っているという台東区民の女性。2日は、お菓子やカップ麺など1731円の買い物をしておこめ券を3枚使用。

店員
「残りは411円ですね」
女性
「はい。(おこめ券は)3枚まで?」
店員
「大丈夫ですよ。おつりが出ないだけ」
女性
「あ!おつり出ないの?」

 残りの411円を現金で支払いました。おこめ券で買い物をするのは2回目だといいますが、使ってみた感想は?

「(おこめ券を)たまたま持っていたらいいんですけど、持っていない時に『あ!ここ使えるんだ』っていうところが結構あるので、電子マネーの方がうれしいです」

 おこめ券でパックごはんを購入した女性もこのように話します。

「おこめ券じゃない方がいい」
「(Q.結構おコメだけにしか使えないお店が多いんですね)だから使いづらいですよね。(決済アプリの)『ペイペイ』とかああいう方が使いやすいかな」

 なぜ政府は、物価高対策としておこめ券の配布を後押ししているのでしょうか。

なぜおこめ券の配布を後押し?
なぜおこめ券の配布を後押し?
鈴木憲和農水大臣
「おこめ券自体は今すぐに現物がですね、紙自体が存在するものでありますから、新たに自治体の皆さんが新しい券を、例えばデザインからスタートして、どこのお店で使えるかみたいなことを準備する必要は全くないというふうに考えております」
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目的は消費促進 有効期限なし

最初におこめ券を発行
最初におこめ券を発行

 今から40年以上前の1983年。最初におこめ券を発行したのが、コメの卸売業者でつくる通称「全米販(全国米穀販売事業共済協同組合)」です。

中曽根康弘総理(当時)
「来年度以降、減反政策、その他についてはコメの総合安全保障という観点からも、ゆとりのある農政をやれるように来年以降、政策を進めていこうと考えています」
「おこめ券」誕生経緯とは?
「おこめ券」誕生経緯とは?

 高度経済成長期に食生活が大きく変化するなか、コメの消費量は減少傾向にありました。コメの消費を促すため、有効期限がなくいつでも交換できるギフトとして誕生したのがおこめ券。

 全米販のおこめ券発行枚数の累計は、今年10月末までに5億2500万枚。およそ8割のシェアを占めています。

 全米販のおこめ券は1枚あたり500円で販売し、440円分のおコメに引き換えることができます。差額の60円は印刷代や流通経費・利益などになっています。

1983年「おこめ券の誕生」を伝えた新聞
1983年「おこめ券の誕生」を伝えた新聞

 1983年当時の「おこめ券の誕生」を伝えた新聞を見ると、写真にはおこめ券1キログラムと表示されています。

小売店でコメと引き換え
小売店でコメと引き換え

 販売当時は、全米販加盟の卸売・小売店で1キロ570円で販売され、小売店では520円相当のコメと引き換えができました。手数料などは50円と今よりも10円安い金額です。

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“配布しない自治体”理由は? 区民の反応

 今回のおこめ券は、政府が地方自治体に交付金を出し、その自治体がおこめ券を発行している全米販やJA全農からおこめ券を買って配るというもの。

自治体はそれぞれの判断
自治体はそれぞれの判断

 しかし、交付金をおこめ券に使うかどうかは自治体それぞれの判断に委ねられます。東京23区を取材したところ、江戸川区はおこめ券を配布しない方針だと回答。

 おこめ券が配布されないことについて、江戸川区民はこのように話します。

「(Q.区によって差があるっていうことについては?)ちょっとあんまり良くないですよね。やっぱりみんな平等でお願いしたいですね」
「(Q.不公平感はある?)なんで区によってそんなに違うのかしらねって感じですね。区民が納得いくような回答を出していただきたいですね」

 江戸川区では、低所得者世帯を対象に現金給付を行う方針だといいます。

「おこめ券よりコストを下げられる」
「おこめ券よりコストを下げられる」
江戸川区役所 職員
「現金給付の方向で動いている。おこめ券よりコストを下げられる」

 対応をまだ決めていないある区の担当者は、交付金の使い道についてこのように話します。

「『おこめ券』は前例がないので、いざやるとなっても色々大変なことは想像される。今のところ現金給付という形が、以前やったノウハウもあるので実行しやすい」

 また、別の区の担当者は。

おこめ券「事務負担や手間がかかる」
おこめ券「事務負担や手間がかかる」
「(おこめ券は)事務負担や手間がかかるだろう。現金給付は以前やったことがありスピード感はある」

 おこめ券以外の方法を検討する自治体がある中、物価高対策に不平等感は出ないのでしょうか?

鈴木農水大臣
「そうしたお声があることは重々承知をしておりますので、そうしたことも踏まえまして、今回の重点支援地方交付金において、今回は食料品の物価高騰に対する特別加算については推奨事業メニュー(おこめ券や電子クーポンやプレミアム商品券など)の中で市区町村に対応していただきたい必須項目として基本的には位置づけされております。ご指摘のような不平等感を招かないよう配慮されていると考えております」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年12月3日放送分より)

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