街にクリスマスイルミネーションが輝く季節になりましたが、今年のクリスマスケーキは平均価格が上がり、「簡素化」がトレンドに。一方、スーパーや卸売業者で在庫が積みあがっていたのは、「コメ」。最高値を更新する裏で、何が起きているのでしょうか?(12月6日サタデーステーションOA)
「小型が人気」クリスマスケーキ値上がり
クリスマスケーキには、物価高の現状が凝縮されていました。ケーキの主な材料、卵、バター、小麦粉に生クリームは値上がり続けていると言います。
「クリスマスケーキを考えるのは夏なんですよ。それからさらに(源材料が)値上げしてくるんで、最終的に当初思っていた値段よりも原材料が上がっている状況にはなっています」
6日に発表された調査によると、いちごは猛暑の影響によって大幅な値上げになったそうです。クリスマスケーキの平均価格は4740円。3年前と比べ700円ほど高くなり、今年は「簡素化」がトレンドになると言います。山本さんが作るクリスマスケーキは、5号サイズで去年よりも330円高い税込み5670円となりました。そうした中、予約状況に変化が…
「今年は特に4号サイズの方が人気ありますね。平日ってこともあるんでしょうね」
一回り小さいサイズが人気に。飾り付けにも苦肉の策がありました。これまでメレンゲで作っていたサンタさんは、紙製のものに変えました。
「本当は華やかに色んなものをのっけてあげたいんだけども。どうしてもお菓子は贅沢品なのでそこを先に削られることが多いんで非常に大変ですけども」
最高値のコメ価格“買い控え”の実態
5日の発表で最高値を更新したコメの価格。5キロあたり4335円となりました。6日、店頭では…
「こちらのお店では新米のお米を税込みで3000円台で販売しています」
平均価格が4300円を超える中、この価格。理由は、新規オープンということもありますが、苦しい現状が見えてきました。
「新米が出てからの売れ行きがあまり芳しくなかったので、結果今在庫がかなり積みあがっていたところですのでお客様への感謝ももちろんありますけども色々な人件費や光熱費とか考えると赤字かな」
買い物客からも購入する頻度が減ったという声が聞こえてきました。
「5キロを2週間に1回だったのが1か月で5キロくらい」
「(新米を)買っていない。備蓄米を持っているから」
「代わりにパンを食べたりとかは結構しています」
最高値の裏で“大量在庫”に悲鳴
買い控えが起きているコメですが、さらに大打撃を受けていたのが…
「もう本当に見えないぐらい奥までピチピチにコメが入ってます」
秋以降、新米の卸売りの回転が悪く、積み上がってしまいました。その量、4000トン。
「去年はいくらでもいいから米をくれ今頃小売から要請があったんですけども、今年は真逆で僕らの利益幅をぐっと縮めたり、中には赤字になっても今年は高いコメを処分していかないといけない時期もくる」
今年、JAが農家に支払う概算金は最大で7割ほど高くなりました。そうしたことなどにより、ギフライフでは去年よりも約4割高く仕入れることになりました。赤字覚悟で販売すると億単位の損失が出る可能性があると言います。
政府は、物価高対策として自治体が使い方を決める地方交付金を拡充。自治体に対し、「おこめ券」などを配布して食料品の購入支援にあてることを推奨しています。
「おこめ券は時間がかかる、手数料がかさむ。市民の皆さんに届く額が相対的に低くなる」
“独自通貨”で物価高対策 なぜ?
おこめ券をめぐっては対応が分かれていて、別の対策を進める自治体もあります。サタデーステーションが向かったのは静岡県御殿場市。市が決めた物価高対策は、コメだけでなく他の商品にも利用できます。
「2万円でいい?(チャージの上限)最大2万円だから」
女性が今行っているのは、市で開発した決済システムへのチャージ。
「富士山Gコインね。今度9日から30%還元」
富士山Gコインとは、デジタル地域通貨のことでカードやスマホのアプリに入金して使います。御殿場市では、このGコインを使って物価高対策を行うといい、市内のお店でGコインで支払うと30%の還元があります。還元の上限は1人6000円分。
「本当にお得だなと思って。多少高いのも買えるし」
「30%(還元)なので絶対にお得だと思います」
市長は…
「緊急性というか今すぐやることが必要。それと市民が喜ばれる政策、これが一番」
Gコインは、市民の約7割が使用していると言い、使えるお店は400店舗以上。既存のシステムを使うためコストをほとんどかけなくて済むそうです。
「お年寄りが実際に抵抗はあったのかもしれませんが実際に使ってみると財布からお金を出さなくて、釣り銭もなくて、非常に便利だという声を多く聞いておりますのでそれだけ親しんできているのかなと」
物価高に対する具体的な対策については、まだ検討中の自治体も多いようですが、すでに準備を進めているところもあるようですね。
例えば大阪・豊中市では、すでに市の予算で進めていた“おこめ券”の配布について、国の交付金が下りればそのまま事業に充てる方針で、1世帯あたり4400円分のお米券を来年2月以降に配布する予定です。また愛知県・大府市では、高校生以下の子どもがいる世帯に対して、子ども1人につき新米2キロを現物支給するということです。市の担当者によると「冬休みに入り学校給食がなくなるため、まずはスピード重視で、市の一般財源を使い今月15日から支給を開始。交付金は後日、その財源に充てる考え」だということです。一方、大阪・交野市の市長は「おこめ券は手数料や配布コストなどムダが大きい」として、上下水道の基本料金免除や給食費の無償化を進めたいとしています。この他、東京・江戸川区では、住民税非課税世帯に3万円の現金給付を行う予定で、年明け以降の支給に向けて準備を進めるということです。
家庭によって求めているモノが違いますから難しいと思いますが、こうしてみると自治体ごとに様々な対策がありますよね。
自治体によって状況が違いますから対策の内容が異なるのは仕方ないし、むしろそのほうがいいのかもしれません。ただ、いま困っている人に対する緊急の対策はもちろん大事なことなんですが、これはあくまでも一時的なもので、求められているのは物価高の根底の部分にメスを入れて、長期的な視点から対策を打つことだと思うんですが、それがなかなかできていないところがもどかしいところですよね。
まずはスピード重視というところはありがたいですが、長期的にできる対策が求められていますね。
