スーパーでのコメの平均価格が5キロ4335 円と過去最高を更新しました。
そんな中、政府の「おこめ券」に疑問の声が出ています。
コメ政策の再方針転換の狙いについても見ていきます。
■コメ価格 高止まりのワケ コメ卸「暴落」に危機感 今後は?
コメの平均販売価格が過去最高値を更新です。
備蓄米が販売される前の5月に、当時、過去最高値となる5キロ4285円でした。
備蓄米の販売が始まり3542円まで下がりましたが、その後、再び上がり4335円と過去最高値を更新しました。
コメ価格の高止まりは、概算金が影響しています。
概算金とは、JAなどの集荷業者が生産者から買い取る価格で、その年のコメの小売価格に影響します。
農水省によると、JAは概算金を2024年より3割から7割ほど高く設定し、業者間の取引価格の高騰につながっているということです。
「非常に高値で農家から買い取っている新潟県産コシヒカリの2024年の概算金が60キロで約1万7000円だったところ、2025年は約3万3000円で取り引きされている。仕入れ値が非常に高いので、それを安くして売るのは難しいのが今の状況」と話しています。
コメ価格の見通しです。
米穀機構によると、2025年12月から2026年2月のコメ価格は下落の見通しが強まっています。
米の在庫が増え、コメ価格が下がると考える取引関係者が増えたと考えられます。
卸業者は危機感を持っています。
「このままいけば暴落するのは間違いない」
「暴落する可能性は春が一番大きい。億単位の損害が出ると思う」
なぜ危機感を持っているのでしょうか。
2026年6月末の民間在庫の見通しは、最大で約230万トンでした。
適正とされる水準の180万トンから200万トンを大きく上回り、コメが余る可能性が大きいということです。
「業者の方々が『下がる時期がいつなのか』『在庫をどの程度残しておけばいいのか』という様子見に入って高止まりが続いている状況。それでも供給過剰のため価格はいずれ下がる」
「2026年の作付けがはっきりするのが2月〜4月ごろ。今はコメ価格が高いため、農家の方々は『2026年はもっと作ろう』と過剰基調になると思う。そうなればコメを販売する側は『高いコメを持っていられない』と価格をガクッと下げていく可能性がある」
■『おこめ券』誰が得?2団体への利益誘導 問題視の自治体も
おこめ券について利益誘導の指摘も出ています。
農水省は食料品の中で、最も値上がりが顕著なのがコメなどとして、おこめ券などの配布を“推奨”しています。
今回はそれぞれの自治体が国からの交付金でおこめ券の発行元から購入し消費者に配布します。
政府は補正予算案で『重点支援地方交付金』2兆円を計上し、そのうち4000億円分を食料品の物価高騰に対する特別加算分としています。
これは1人あたり3000円規模だということです。
食料品の物価高騰に対して
・おこめ券
・プレミアム商品券
・電子クーポン
・現物給付
などを例にあげていますが、何に交付金を充てるかは自治体が判断するということです。
「現状として今、おこめ券というのは2団体しかない」と発言しています。
おこめ券は、コメの卸売り業界団体の『全米販』とJA全農の2つの団体が発行しています。
おこめ券の内訳です。
全米販が発行している、おこめ券は1枚500円で、440円分のコメと交換できます。
差額の60円は、印刷代、配送費、利益などです。
「60円の中に利益は入っているが、額やパーセントは申し上げられない」
「ある全米販の関係者はおこめ券1枚を刷ると全米販に25円の利益が入ると話していた」
「既存のもの(おこめ券)について60円の内訳については承知していない。新券の額面は440円と聞いているが、販売価格がいくらになるかというのはいま精査していると聞いている」
自治体から批判も出ています。
「農水省と関係が深い2団体が発行している券を配るというのは、利益誘導といわれても私は仕方ないと思っている」と問題視し、「おこめ券は配らない」と明言しました。
「2団体に利益が集中するという一部批判が出ている」という記者からの質問に、
「どの政策ツールでやっていただくか、おこめ券を使うのか、区独自のクーポンにするのか、もしくは電子的なやり方にするのか、自治体にお任せをしております。(おこめ券を)使うか使わないかは自治体のご自由ということになります」と発言しています。
■おこめ券の新方針 使用期限・転売禁止明記へ 問題点も
おこめ券の新たな方針です。
新たに分かったこと、1つ目です。
おこめ券の使用期限を2026年9月30日とする方向となっています。
新たに分かったこと、2つ目です。
『使用期限』と『転売禁止』を明記する方向で新たにおこめ券を発行します。
新たに発行するため、自治体に届くのは早くて12月下旬以降、消費者に届くのはその後だということです。
「まさに今の物価高対策に対しての対応なので、基本的にはどこかで使用期限を設けて対応していただく。使用期限が設けられることで転売もしづらくなるのではないかと考えている」
新たに分かったこと、3つ目は、期限までに使われなかった場合、金額相当の交付額を自治体から国に返納する、ということです。
「おこめ券は需要喚起策。利用者が増えればコメ価格は高値が維持され、農家を守ることになる」
「使用期限を設けて早く使ってもらおうとしているのに、新しく発行するとなると消費者に届くまでに時間がかかってしまう」
■コメ政策「増産」から「需要に応じた生産」へ 方針転換の狙い
コメ政策をめぐる方針転換を見ていきます。
前の政権から方針が変わりました。
「増産にかじを切る」と明言しました。
「需要に応じた生産、これが基本」と前の政権から『事実上の方針転換』となりました。
『需要に応じた生産』とは、1970年代以降続いた減反政策の決まり文句です。
減反政策とは、1971年からコメの価格の下落を防ぐため、生産量を国がコントロールする政策です。
2018 年に、コメ農家の競争力を高めるため廃止されました。
法改正も検討しています。
農水省は食糧法改正案に『需要に応じた生産』の文言を明記する方向で調整しており、2026年の通常国会で提出する方針と見られています。
なぜ方針転換したのでしょうか。
「米づくりは 1 年で1回しか収穫ができない。コロコロ方針が変わっては生産現場は対応できない。『需要に応じた生産』これが何よりも原則であり基本」とし、
減反政策との批判に対しては、
「国は全体の需給の見通しは示すが生産者がどのくらい生産するかというのは事実上自由になっている。減反政策に戻るということはあり得ない」と、反論しています。
「王政復古の大号令なのか、農政復古の大号令なのか分からない。莫大な税金を使って米価を維持する生産調整は制度として正しくない。このままいけば需要は当然減る」と批判しました。
「『需要に応じた生産』をすることで米価を維持することが目的。米価を維持しなければ規模の小さい農家は経営が厳しくなる」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年12月8日放送分より)

















