スーパーでのコメの平均価格は5キロ4335円と過去最高を更新しています。こうした中でコメ卸売業者からはコメの価格が暴落するという声が出てきています。
「素直に喜んでいいのか…」パンは売り上げ増
都内のスーパーを見ると、店頭に並ぶコメの価格は税込み5000円超えがほとんどです。
「高値で落ち着いているという感じですよね。一部、少しだけ安くなった商品がありますが、全体的にはそんなには変わっていない」
仕入れ値が下がらない状態が続き、なかなか安くすることが難しいといいます。
買い物客はこのように話します。
「高くて(5キロ税込み)5000円は手が出ないですね。パート先でも主婦が多いから、皆どこどこのおコメ、いくらだったよとか、チラシ見たりとか主婦の情報とかで聞いて買いに行ったりしています」
「期待外れでした。新米を食べたかったんですけど手が出せないな。鍋にラーメンを入れたりとかうどんとか、なるべくおコメを使った料理はしない」
高止まりする価格の影響で、スーパーではコメの売り上げが伸び悩んでいるといいます。
「このまま続くと、ちょっと大変だと思いますね」
一方、売り上げが伸びているのが…。
「素直に喜んでいいのか分からないんですけど、例年より売り上げはよかったです」
国産小麦を使ったパンが自慢のこちらのお店。コメの価格が高騰しているためパンを求める人が増え、売り上げが伸びたといいます。
「例年だったら(売り上げが)夏場で下がるが上がってきている」
中でも特に売れ行きが良いというのが…。
こちらの店を利用する機会が増えたという男性は、このように話します。
「今までは週1〜2くらいだったのが、(最近は)多い時に週3とか週4とか。コメ(の価格)はもう1.5倍〜2倍になっているので、そのへんも含めてパンの回数が増えましたね」
卸売業者「おこめ券」に期待
5キロあたり4335円と最高値を更新したコメの価格。9月以降4000円台が続いています。
コメの価格が高止まりする一方、卸業者にはこんな見方が広がっています。
「我々も予測は立たないですけど、このままいけば(コメの価格が)暴落するのは間違いない」
国内最大手のコメ卸、神明ホールディングスの藤尾社長。なぜコメの価格が暴落すると言うのでしょうか?
藤尾社長によると、過去にコメの民間在庫量が210万トンを超えた年は価格が下落。来年6月末には、在庫量が最大およそ230万トンになると見込まれ、このままいけばコメ余りによる価格暴落につながると言います。
他の卸業者は、今後のコメ価格についてどう考えているのでしょうか。
「もう本当に見えないぐらい奥までピチピチにコメが入っています。これでもちょっと減った。前は通路まで…」
大量の新米の在庫が、先月中旬には倉庫の通路や天井近くまで積まれていた岐阜県のコメ卸業者。少し減ったといいますが、それでもコメの袋が高く積み上がっています。その量は4000トン。
今年、JAが農家に支払う概算金は最大で7割ほど高くなりました。そのため、ギフライスでは去年よりもおよそ4割高く仕入れることに。
一方、小売りからは「安くしてほしい」という要望があり、高いコメは買ってもらえないといいます。
恩田社長は赤字覚悟で販売すると、億単位の損失が出る可能性があると言います。そこで今期待しているのが「おこめ券」。政府が物価高対策として地方交付税を拡充し、自治体に配布することを推奨しています。
おこめ券「少なくとも1億円はかかる」
大量の在庫を抱える卸業者が期待を寄せる一方で、「おこめ券」の配布には否定的な自治体も。
「農林水産省の顔色を見たりとか、農林水産大臣の顔色を見て判断するのは、私はこのケースでは良くないと。おこめ券という選択肢は市民のためにあってはならない選択肢」
配布しないと宣言しているのは、大阪・交野市の山本市長。
配布には人件費や送料などがかさむとして、交野市では別の支援策を検討しています。
さらに大阪・箕面市でも…。
「おこめ券は500円で440円分のコメしか買えない。12%の手数料が引かれる。市民の皆さんに届くお金が目減りしてしまう」
コメの卸売業界団体の全米販が発行する「おこめ券」は、1枚500円で販売。そこから印刷代や利益などの手数料60円が引かれ、残った440円分がコメの購入に充てられます。
箕面市では事務負担を理由に「おこめ券」の配布はしない方針です。
渋谷区は低コスト「QRコードが配布されるだけ」
コストなどがネックになっておこめ券の配布をしない自治体がある中、渋谷区では国からの交付金の使い方については現在検討中ですが、独自の取り組みで家計を支援しています。
3年前からサービスを開始した区独自のキャッシュレス決済「ハチペイ」を活用。
加藤博是部長
「デジタルで行う場合は配送とかの手間がない分、すぐに支援に結び付けられるところがメリットかなと思います」
これを使って区内でコメを購入すると、一人最大2000円分のポイントを受け取ることができます。
「12月になって駆け込んできたお客さんは、大体これ(ポイント)目当てでやってくるお客さんが多いですね」
区民が安くコメを買えるだけではなく、お店側の負担もないといいます。
渋谷区によると、数十万円のコストで実施できるということです。
5日、政府は新たに発行されるおこめ券は、来年9月末までという使用期限を設ける方針を明らかにしました。
「今の物価高対策に対しての対応でありますから、基本的にはどこかで使用期限を設けて対応していただく」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年12月8日放送分より)













