養殖のカキが瀬戸内海を中心に大量死しているなか、三重県鳥羽市の沿岸では去年に比べ水揚げ量が3割ほど増え、身入りも良くなっています。なぜ、このエリアのカキは順調に育っているのでしょうか?
「身入りいい」肉厚プリプリ
「1年物」と呼ばれる1年で水揚げされた若くて大粒のカキ。三重県鳥羽市の名産「浦村かき」です。
プリッとした身はとろりとして柔らかい食感。海の恵みが口いっぱいに広がります。
「今年は身入りがいいので、こんな感じに育っている。去年は2割ぐらいしか生きていなくて、今年は去年と比べたら3〜4割は増しで量は取れている」
番組が訪れた鳥羽市。海岸線が複雑に入り込んだリアス海岸が広がります。
湾に浮かぶのは、カキの養殖いかだ。穏やかな入り江では養殖が盛んです。
今年は瀬戸内海を中心にカキが歴史的不漁に…。国内の水揚げ量6割を占める広島県では一部地域で9割が死んでしまい、愛媛県の一部でも5割から9割が大量死しています。高い水温などが影響したとみられています。
政府は11日、被害に遭った事業者に600万円または年間の経営費などの半分を限度額にして、5年間実質無利子で融資する支援内容を発表しました。
鳥羽市のカキの養殖はどうなっているのでしょうか?番組が水揚げに同行しました。
5分ほどで養殖いかだに到着。水中カメラを使って中の様子を見てみます。レンズの先には、透明度が高い海の中にたくさんのカキがありました。カキがかなり大きく成長しています。
7メートルのロープにつられたカキ。この沿岸は海水と真水がほどよく混ざり合い、餌(えさ)になるプランクトンが豊富なため、短期間で大きく育つといいます。この日はおよそ600キロを水揚げしました。
「500〜600キロのうち(去年は身が)50〜100キロが取れていい方だった。(今年は身が)250キロ〜300キロくらい取れている。去年から比べたら取れている」
「(新規で)関東の飲食店からも問い合わせがあって、広島のほうで出荷がないので、売ってもらえないかという相談や店からの問い合わせがある」
殻の中を見せてもらいました。すごくプリプリです。
「今年は身入りがいいので、こんな感じに育っている。プリプリで身も厚くていい」
生育が順調な理由は?
専門家は生育が順調な理由についてこう説明します。
立花義裕教授
「黒潮の大蛇行がほぼ終わってきたのが大きな一因。黒潮が大蛇行すると、黒潮に伴う熱い水が三重県にぶつかってくる。そうすると水温が上がってしまうので、カキにとって良くない」
三重県水産研究所によると、このエリアの水深1メートルの海水温は去年8月が平均27℃。9月は平均28℃と高い日が続きカキが大量死する事態になりましたが、今年は去年より2℃ほど低く、平年並みに戻りました。
「水温が低かった分、カキが衰弱しにくくなって、へい死にも至りにくかったのではないか」
浦村かきは水揚げした後、紫外線で殺菌した海水に18時間さらして浄化します。
生産者「広島を助けたい」
そして翌日には、豪快に炭火で焼き上げる浜焼きの食べ放題に並びます。カキのグラタンなど8種類が味わえる漁師直営の店は連日予約で満席です。焼きガキの味はいかがですか?
「最高ですね。想像以上ですね」
「2人で100回くらい(電話を)かけました」
「(Q.念願の?)念願の。きょうを楽しみに来ました」
好みの味付けで楽しめるよう、調味料の持ち込みも自由に。辛いホットソースを持ち込む人もいました。
鳥羽では、赤みそにカキを入れたみそ汁も名物です。地元産のワカメと食べると旨味がさらに広がります。
今後については…。
「広島の業者さんも問い合わせくださって。困っているみたいなので、浦村として助けられる面があれば、助けていきたい」
(「グッド!モーニング」2025年12月12日放送分より)








