高止まりが続くタマゴの価格。
クリスマスを前に、洋菓子店は大忙しです。スポンジにカップケーキ、どれをとっても使うのは大量のタマゴです。
「タマゴも、去年よりは高くきている。クリスマスケーキも値上げしたが、これでは(採算が)合わないくらい」
店では、“王道”イチゴのショートケーキを3700円から、400円値上げしました。
ケーキに使う主な原材料は、前年と比べて、チョコが35%、イチゴが10〜30%と、軒並み高騰。大量に使うタマゴも20%ほど値段が上がっています。
「『もうケーキ店、辞めたほうがいいんじゃない?』と言われている感じ。すべてのものが上がって、タマゴもここまで上がって」
使わない蛍光灯は消す、スタッフのユニフォームの洗濯は各自でするなど、節約に取り組んでいますが、それも限界です。
「例えば、チョコレートは、2倍、3倍(値上げ)は普通。それに比べれば、タマゴは、まだ、かわいいが、 今年がこんなに去年のクリスマスと違うんだったら、『お前もか』と」
タマゴの卸売価格は、2年前に1キロあたり350円まで上昇。このときは“エッグショック”と呼ばれました。その後、落ち着きますが、ジワジワと上昇を続け、今月、それに並ぶほどの高さとなっています。
タマゴの高止まりの要因の1つは、相次ぐ、鳥インフルエンザの発生です。
「今シーズンは、北海道、新潟県などで6事例が発生していて、すでに173万羽の殺処分を行っているところ」
そんななか、ある品物が注目されています。
カラが割られた状態で工場のラインを大量に流れるタマゴたち。
「(Q。ここでは何の作業を)あちらの部屋で、殺菌したものを、業務用で1キロ、2キロを個包装にして、充填している工程です。基本、このままの状態のものも液卵といいますし、ろ過した液状に黄身と白身を混ぜたものも液卵という」
こちらでは、1日60万個分、量にして30トンもの液卵を出荷。最大の魅力は、安定した価格です。
「夏場は、(卵)消費が落ちるので、相場が少し下がる。そのときに凍結卵を作って、備蓄をすることで、年間を通して、ある程度、安定した価格で提供できる」
液卵の場合、冷凍すれば、1〜2年間保存が可能。元々は、飲食店の業務用品として、チャーハンなどに使われてきましたが、最近では、スーパーなどへの一般流通も増え、売り上げは、去年の倍に伸びたそうです。
「使う側としては、割る手間もなければ、溶く手間もないという形で、今後、どんどん、伸びてくるのではないか」
65度の温水で殺菌・加熱するため、風味は、多少、落ちるそうですが、それでも、いわば“備蓄卵”とも呼べる取り組みは、政府も注目しています。
農林水産省は、鳥インフルエンザ発生などの緊急時におけるタマゴの円滑な供給のために、液卵を保管する場所の新増設にかかる費用を補助する方針です。
毎年のように感染が確認されるようになった鳥インフルエンザ。メカニズムなどを研究している高桑教授は、恒常化の理由はまだ解かっていないとしたうえで、こう話します。
「ヨーロッパでも、北米でも発生が続いているので、年が明けて、日本、ヨーロッパ、北米で発生がパタッと止まることがあれば、来年、少し収まるかもしれないが、そうはならないのではないか」
鶏卵業者からは、こうした高値は、今後も、しばらくは続くだろうとの声も聞かれています。








