政府の物価高対策が動き出す中、巷ではまた値上がりです。お正月の必需品、年神様を迎える鏡餅にまで影響が出ています。今度は、もち米が高騰しています。
仕入れ価格 去年の2.5倍
年の瀬を告げる“白い香り”ふっくらと蒸しあがったおもちを丹念に練り上げていきます。
(Q.お正月はもちの注文増える)
「正月になるとどうしても“もち”。お祝いですから。おもちをあげて無病息災を。1年間元気に」
無病息災を願う縁起物は今、出荷のピークを迎えています。ただ…。
(Q.もち米の値段は)
「高い。びっくりするぐらい高い」
鏡餅などを出荷するやまあい工房では去年、30キロ=7830円で仕入れていたもち米『こがねもち』が、今年1万9592円と実に2.5倍値上がりしました。
「お米はそんなに高いものだという感覚はなかった。かなりこれで経営が厳しい感じはもろにしますね。米は日本人の命なので、もう少し安定した価格になってほしい」
「高いだけではなく物がない」
高騰は全国的に広がっています。東京都内の和菓子店、高松屋(※高=はしごだか)では。
(Q.もちはこれからの時期に欲しくなる)
「年中年中。おもちが大好き」
「年始年末はいっぱい食べるので毎年太ります」
このお店の看板商品の豆大福は1日平均、200個売れます。がゆえに、悩みは一層大きく。
「高くなっただけじゃなくて、物(もち米)がないのが課題。(仕入れ値は)一番でかい時は1.5倍ぐらいに」
もち米だけでコストは1.5倍。価格設定に苦悩する日々です。
「必需品というより嗜好(しこう)品なので。一番最初に『ちょっと我慢しようかな』とお客さんが思う商品なので。本当は豆大福とかも(値上げを)まだ我慢している感じ」
主食用米への転換で生産減
令和の米騒動に端を発した“もち米価格の高騰”その波は、私たちの食卓にも及んでいます。『サトウのごはん』でお馴染みサトウ食品が販売する切り餅。1キロあたりの価格は3月、10月と値上げし、右肩上がりです。さらに来年3月にも値上げを発表。その値段は1993円と1年で600円以上、高くなります。サトウ食品は「資材費や物流費・人件費の上昇に加えて、作付転換による生産量の減少」を理由に挙げたうえで「企業努力だけでは現行価格の維持が難しい状況だ」としています。
米の流通に詳しい専門家はこう分析します。
「主食用のご飯となるおコメが少なくなっていたので、これなら『高いうるち米を作ろう』と転換したのはあると思います。そうしたら逆にもち米の総生産量が減ってしまった。需給は整っていた。その中で供給が減ったので極端な高値になった」
観光客の需要増も…広がる影響
江戸時代から、もち文化が根付く町、岩手県一関市。その創作料理の数は300種類を超え“もちの聖地”とも言われています。
「ずんだ・ゴマ・クルミ・納豆にショウガもちと。これはひと口もち膳といいます。一関の伝統のもち料理を一口で味わえるようにアレンジしたもの」
お雑煮を含む9種類のおもちの味を楽しめる『ひと口もち膳』。最近では外国人観光客も増え、人気が高まっているといいます。このお店でも、もち米高騰の影響はもろに。
「新米になってから1.5倍くらいの価格になっています。色んな物が値上げされているので、全体的に価格が上がってきてしまうと、色々考えないといけない」
不安が募る価格高騰に、政府は。
「例えばこれまで重点支援地方交付金を活用して、コメ加工品の業者に対し支援を行っている事例もある。必要に応じて、そのような取り組みの情報提供など対応を行ってまいりたい」










