ネット上などで偽情報・偽動画などがあふれるようになった今、ファクトチェックの必要性が問われている。そのファクトチェックの世界大会が開かれた。
5つの国と地域から25チーム参加
どれがAIで生成された動画だろうか?
スペインの世界遺産サグラダ・ファミリア周辺を捉えた4つの動画。この動画の中の1つが生成AIで作られた偽物の動画だという。果たして、どれなのか?
こんな問題が出題された世界大会が13日に開かれた。その名も「ユースファクトチェック選手権」だ。
Classroom Adventure
今井善太郎代表(24)
「インターネットを見ると、本当にさまざまな偽情報が拡散していて、こういうのを見抜くスキルみたいなものがもっと知ってもらうためにはと思い、この大会という形にした」
大会には日本をはじめタイ、インドなど5つの国と地域から25チームが参加した。
番組は東京大学に通う大久保拓海さん(20)と山口祐煕さん(20)、そしてアメリカのミネルバ大学に留学している岸田憲明さん(20)の3人が組んだチームTDUに密着した。
「AIによる画像生成みたいなのがすごいなと思っていたので、それを見抜けるなら面白そうだなというのは理由としてはあります」
優勝を目指す3人にどんな問題が立ちはだかったのか?
偽情報・AI画像を見抜け!
間違いが含まれている段落はどれ?
最初の問題は、先月ブラジルで開かれた気候変動対策について話し合う国際会議「COP30」についての記事の中から間違いを含む段落を探すというものだ。
「まず150人以上ちょっと怪しい」
「150人以上の政府首脳などが参加した」という1番の情報が疑わしいと考え、検索サイトで記事を検索。すると、数十カ国の首脳が参加したという記事を発見。それにより、1番が間違いと回答した。
国際会議の公式情報からではなく、検索した記事の情報を信じ間違えてしまった。
出だしはつまずいてしまった3人。だが、ここから徐々に挽回(ばんかい)していく。
航空写真の1枚はAIによって加工されている。どちらが本物で写真家は誰?
この2枚の画像のうち、どちらかがAIで加工されたものだという。一体、どちらが本物なのか?
見極めるには、加工される前の元の画像を探すことがポイントだ。3人は画像検索を使ってたどり着くことができた。
「なんか人間ぽい形の方がリアル。撮ったのは?」
「ピオアンドなんたらだ。Aがリアルで、ピオ。1だよね」
最後の問題 生成AI動画どれ?
そして、最後の問題は生成AIで作られた動画を見つけるというもの。スペインの世界遺産サグラダ・ファミリアの前で撮影した動画、これが1つ目だ。
2つ目はサグラダ・ファミリア全体を撮影したもの。
3つ目は人通りを捉えたもの。
そして4つ目は、車から撮影したサグラダ・ファミリアだ。この中の1つが生成AIが作成した動画だという。
3人が疑ったのは4番の動画だった。
「道路はなさそうでは?サグラダ・ファミリアの前」
サグラダ・ファミリアの周辺画像を見ると、建物の真正面には大きな道路がないことが判明。つまり、これが偽の動画で見事正解!
そして、大会終了。8問中5問正解で結果は5位だった。優勝したのは、日本から参加した別のチームだった。
「悔しいですよ。多分これだろうなというのを仮定していろいろ検索をしていたので、そこで自分の中のバイアスがかかってしまって、結果的にちょっと検索が遅れてしまった。判断を下すのが遅れてしまったというのが、反省してる点であります」
「こういうふうにファクトチェックをするんだよ、というやり方みたいなのを教えていただいたので、これからは情報が本当かなと思ったら、今回の大会に出場した経験で知り得た知識を生かしてファクトチェック、自分でもしていきたいなと思います」
生成AI進化…ダマされない対策は
世の中にあふれる偽情報にだまされないためにはどうすればいいか?
日本ファクトチェックセンターの古田大輔編集長は、「偽情報を見抜く前に、世の中には大量に偽情報があふれているということを意識することが重要。画像や動画、音声があっても本物とは限らないし、自分の価値観に近い情報が事実とも限らない。発信源・根拠・関連情報を確認するクセをつけることが必要だ」という。
また、ファクトチェックの未来について古田さんは、「生成AIの進化は急激で画像や動画は今はまだ細部を見ればディープフェイクかどうかの区別はつくが、いずれプロでも見抜けないレベルに達する。人間の目では見分けるのは不可能なので、2つの方法で検証するしかない」として、「信頼性の高い情報源と比較」することと「技術的にAIなどで検知」する方法になるだろうと分析していた。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年12月17日放送分より)













