クリスマスが来週に迫っていますが、物価高の影響がクリスマスケーキにも及んでいます。イチゴが高騰していて、「イチゴを減らしたケーキ」、さらに「イチゴが乗っていないケーキ」が登場しているということです。
「作る体験で心に残る思い出を」
スポンジを真っ白の生クリームで覆ったクリスマスケーキ。サンタさんの焼き菓子やイチゴでデコレーションされるのかと思いきや、このままの状態でお客さんの手に。
なんと、イチゴとデコレーションなしのクリスマスケーキなんです。
「イチゴ嫌いの息子がいたということと、近年クリスマスシーズンの異常なイチゴの高騰がありまして。その辺を掛け合わせて、自分たちとして何ができるかなというところで生まれた商品」
税込み3300円で販売したのは、滋賀県内でケーキ屋やカフェを展開する「パレット」です。
購入者は自分好みのフルーツを使って、デコレーションを楽しむといいます。
老舗菓子店の決断 イチゴ変更
クリスマスに欠かせないケーキ。しかし、今年はイチゴを巡ってある異変が起きています。それはイチゴの高騰です。
例年1000個以上のクリスマスケーキの予約が入る、都内の老舗洋菓子店。この店では、ホールのケーキの上にのせるイチゴはもちろん、中にサンドするイチゴもカットせず一粒丸ごと使用します。しかし…。
「例年クリスマスで1年に1回、すべてのケーキ屋さんが日本中でイチゴを集めるので、特に値上げがしやすくて。お客様に申し訳ないなと思って、黄桃に変更させていただいております」
クリスマスシーズンに限り、サンド部分のイチゴを黄桃に変更することにしました。
家族で楽しんでもらうため、一部を黄桃に変更することで例年通りの税込み4860円に抑えるといいます。
100年前から食卓に なぜ定番化?
クリスマスケーキの定番ショートケーキ。日本の食卓にショートケーキが登場したのは100年前にさかのぼります。
着物を着て並んで歩く2人の女の子。その前には洋服を着た男女が歩いています。明治終わりごろの横浜元町通りの絵はがきです。
木造建築が立ち並ぶ通りには和服の人と洋服の人がいます。建物に掲げられた看板をよく見ると「FUJIYA」の文字があります。
実は、ペコちゃんでおなじみの不二家はショートケーキと深い関わりがあります。
1910年、横浜で洋菓子店として開業した不二家。創業者・藤井林右衛門さんがアメリカで出会った洋菓子を日本人の口に合うようにアレンジ。柔らかいカステラ生地にホイップクリームをあしらったケーキが1922年に誕生しました。
そのおよそ10年後(1933年ごろ)、「スポンジ・ホイップ・イチゴ」を組み合わせた現在のショートケーキの原型となる商品がすでに市場に出回っていたといいます。
その後、クリスマスケーキとしてショートケーキをホールサイズで売るようになり、現在ではクリスマスの定番となっています。
シーズン到来も…パフェ専門店の悩み
ショートケーキといえば、誰もがイメージする真っ赤なイチゴ。その“イチゴ高騰の影響はケーキだけでなく、パフェにも及んでいます。
「この時期なので、イチゴを食べたいなと思って。クリスマス前にちょっと1足先に、イチゴを堪能させていただこうかと」
季節ごとの旬のフルーツを使ったパフェ専門店でもイチゴのシーズンがスタートしました。
イチゴのムースやアイスが入ったグラスにたくさんのイチゴを華やかに飾り付けた大人気のメニューも今月から始まりました。
「一番花形であるイチゴが今、一番売れているパフェですね。季節的なものなんですけど、やっぱりイチゴそのものが去年に比べると…まぁ毎年ですね、ちょっとずつ上がっているというのが正直なところです。ただ、今年はちょっとその上がり方が少し多めかなと」
須藤さんによると、今年は例年に比べ20〜30%イチゴの値段が高くなっているといいます。
イチゴの色や形などがパフェの見た目にそのまま影響するため、不ぞろいなイチゴでは代用することが難しいといいます。そのため、この店では…。
「(Q.イチゴのメニューに関してはどうですか?)昨年に比べると、正直言うとパフェのベースで100円ずつぐらい上げさせていただいています。去年に比べると、100円上げても利益率は下がっているというのが現状」
イチゴ高騰のワケ 生育不良に直面
イチゴを生産している現場では一体、何が起きているのでしょうか?
東京都内にあるイチゴ農園。本来なら収穫時期を迎えているはずですが…。
「例年より10日から2週間ぐらい、ちょっと栽培が遅れているかなという感覚」
イチゴ農家の田所さんが直面している問題、それはイチゴの生育不良です。
「夏の暑さだったりとか、10月、11月ちょっと曇天が例年より多かったので、なかなか栽培を前倒しにすることができなかったかなという印象」
今年の夏に続いた異常な暑さと、10月、11月の日照不足。主にこの2つが生育不良の原因ではないかという田所さん。その結果、収穫時期に遅れが生じているといいます。
本来イチゴの旬は3月から4月ごろですが、現在はハウスでの栽培も広まり、11月から5月ごろまで市場に流通しています。
その期間で最も価格が高くなるのが、ケーキなどへの需要が激増するクリスマスシーズン直前の12月20日前後です。
前のシーズンでは、最も安い時期に比べて、およそ3.4倍もの高値がつきました。
ケーキ店などからの注文が多いのは、見た目が良く、ケーキの上にのせてもバランスの崩れない、ちょうど良いサイズのイチゴです。
生産農家にとって一番の書き入れ時のクリスマスシーズンにイチゴの出荷が間に合わないという状況に…。
シーズン中、売値が最も高くなる12月に思うような出荷ができないと、収入面でかなり大きな影響があると田所さんはいいます。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年12月18日放送分より)
























