年末商戦で物流が混乱し、配送に遅れが出ています。クリスマス会の衣装が「間に合わない」という声も聞かれます。
Xmas会直前も届かない衣装
女性(40代)が通販サイトで注文したのは、娘(9)が通うバレエ教室のクリスマス会で使うサンタのコスチュームと交換用のプレゼント。クリスマス会は、注文から3週間後の21日に開かれました。
しかし、2週間経っても荷物は届きません。女性が配達の履歴を確かめると、3日に出荷され、5日に成田空港に到着。13日時点で「荷物は輸送中」となっています。
営業所までは運ばれていましたが、その後荷物は動く様子はなく、女性は問い合わせをします。
「ドライバーさんが足りなくて、配送が遅れているんだったら、(営業所まで)取りに伺いますと言ったんですけど、『仕分けが済んでないので無理です』『取りに来られてもお渡しできません』と言われてしまったので、もうそこで諦めました。そう言われたのは、木曜日(18日)です」
そして、クリスマス会の2日前。女性は心を決めます。
女性は商品が届くまで待つことを諦め、ショッピングモールなどで、通販で注文したものと同じような商品を買い直しました。
しかし、クリスマス会前日にようやくコスチュームが届きます。
結局、娘は買い直したほうのサンタのコスチュームを着てクリスマス会に参加。その後の買い物の際に、遅れて届いたコスチュームを着ました。
例年、年末にかけて荷物が増えることに加えて、ブラックフライデーと呼ばれる11月下旬の大型セール期間の影響で急激に荷物の量が増加しています。
そのため配達に遅れが生じ、物流大手の佐川急便は今月4日に一日限定で一部地域での荷物の預かりを制限する事態に。同じ時期、ヤマト運輸も配達の遅れが生じているとして余裕をもった配送を呼び掛けました。
宅配異変 配達現場のリアル
配達の現場で何が起きているのか、千葉県の配送業者・株式会社Shake heartの杉内裕樹さんを取材しました。
「(Q.まだブラックフライデーの荷物残っている?)まだ残っています」
これにクリスマスやお歳暮などの荷物が加わり、この時期が1年の中で一番忙しい時期だといいます。配達途中の車内を見せてもらいました。
車内には隙間なく積まれた荷物が…。この日は午前8時半から6時間ですでに120個ほどの配達を終え、この後も2回目の配達が続きます。
この後の配達は2時間半で90個ほどの荷物を配達する必要があります。単純計算で荷物1個あたりおよそ1分半で配達しなければなりません。車を降りて荷物を持ち、あちらの棟からこちちの棟へとほぼ全力疾走で向かっています。戻ってくる時もほぼ全力疾走です。
「(Q.何階だったんですか?)10階です。ちょうどエレベーターが下に行き始めちゃってたんで、自分の足使ってスピード上げていくしか…」
配達時間を少しでも短縮するため、あえて階段を使うようにしているといいます。さらに、車での移動中も常に次の配達ルートを考えているといいます。
そんななか、一番困るのが配達
先が不在の場合です。
「(Q.これは再配達?)再配達(の電話)を待つ形になります」
「(Q.いらっしゃらない?)いらっしゃらないですね。宅配ボックスの指定だったんですけど、宅配ボックスがもういっぱいで、入らなかったです」
最近は全体の9割程度が置き配指定の荷物だといいますが、宅配ボックスがいっぱいで届けられないケースも多いといいます。大きな荷物が不在で届けられないこともあります。
「(Q.やっぱりダメージ大きい?)大きいです」
不在の場合は、利用者から再配達の電話がかかってきたタイミングで配達にいくこともあるため、一日中荷物を車に積んでおかなければならないといいます。
最繁忙期・年末商戦の時期へ
2回目の配達は予定通り2時間半で終了。その間に休憩はなし。不在で配れなかった荷物もありましたが、およそ80個を配り終えました。
しかし、「3回目の夜の便」があり、まだまだ配達は終わりません。3回目の荷物を積み込むため、倉庫へと車を走らせます。積み込みが終わったのは午後6時でした。
午前8時半から午後8時半まで、この日に杉内さんが届けた荷物は合計260個だといいます。これからクリスマスをはじめ、1年で最も忙しいという年末商戦の時期を迎えます。
株式会社Shake heart事業部の久保一馬部長はこう話します。
「(Q.(この時期を迎える)怖さもありますか?)そうですね。人材不足でもありますので、遅延でしたりとか、滞留というところの懸念もやはりありますので。人員の確保、改めて態勢を構築して、しっかりと皆様のご自宅に荷物を届けられるようにしていきたいなと思っております」
再配達通知 偽メール横行
こうしたなか、配達の遅れが起きやすい状況につけ込み、再配達をかたる偽のメールが相次いでいます。
「ヤマト運輸、お荷物お届け時ご不在のお知らせ」と不在票を装ったメールです。
「普通に入力してしまうかも」
「自分も流れで何か頼んだかなと思う」
「(だまされてしまうと)思いますね。最近のは精巧にできているので」
「受取の日時や場所を変更する」という項目をタッチすると、氏名・住所・電話番号などの個人情報を入力するように求められます。
「本物だと思ってしまう。入力してしまうと思います。すごく見覚えのあるレイアウトなので、だまされやすいと思います」
偽のメールの中には、本日中に入力するように赤字で強調しているものもあります。
荷物の到着を待ちわびる心理を巧みに狙った偽のメール。大手通販サイトで注文していた長野県在住の男性(50代)はこう話します。
「今回はたまたま注文した翌日にそのメールが届いたので、タイミングが良すぎて、もしかしたら普通に開いてもおかしくない状態だった」
警察によると、「再配達には料金が必要」などと架空のサイトに誘導し、クレジットカード番号を入力させる詐欺の手口が確認されています。
ヤマト運輸や佐川急便もホームページなどで偽メールへの注意を呼び掛けています。
クリスマス目前に混乱する宅配。荷物の遅れはいつまで続くのでしょうか。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年12月22日放送分より)











