長引く物価高の影響で、私たちの持つお金の価値は、5年前から約1割目減りしています。
そして、物価高がもたらしているインフレ税について、見ていきます。
■原価高騰“100均”業界 生き残り苦慮 倒産ケースも
物価の高騰が、100円ショップに影響しています。
『ローソンストア100』は、2026年春から一部の店舗を小型スーパーに転換します。
個人で経営している100円ショップで、東京・板橋区にある『ぴっくあっぷ大山店』では、食料品を約500種類から約20種類に減らし、電池も8本入りから4本入りに。
ゴミ袋や石けんは、価格の上昇で、次の仕入れで店頭に置けなくなる可能性があるということです。
倒産したケースもあります。
「原価の高騰を受け、商品を値上げしたことで100円ショップの強みを失い、売り上げ不振の末、閉店に追い込まれた」と話しています。
■止まらないインフレ 昔は安かったアレ 今の値段は…
物の値段、昔との比較です。
日清食品のカップヌードルは、2000年には155円でしたが、現在は236円と、約1. 5倍。
吉野家の牛丼・並盛は、2001年には280円でしたが、現在は498円と、約1. 8倍。
灯油18リットルの店頭価格は、2005年12月は、1263円でしたが、現在は2201円と、約1. 7倍です。
■お金の価値は5年で1割減 見えない税金“インフレ税”とは
物価上昇の中で発生しているのが、見えない税金『インフレ税』です。
インフレとデフレ、2つの違いについてみていきます。
1個100円のリンゴがあります。
インフレが進むと、物の価値が上がって、お金の価値が下がります。
物の値段が2倍になったとすると、100円で買えていたリンゴが、200円を出さないと買えなくなります。
デフレが進むと、物の価値が下がって、お金の価値が上がります。
物の値段が半額になったとすると、100円だったリンゴが50円で買えるようになります。
では、インフレの時に起きる『インフレ税』とは、どういうものでしょうか。
1、物の値段が2倍になると、お金の価値が半分になります。
現金2000円が1000円の価値になります。
2、お金の価値が半分になると、私たちの貯金や国の借金も目減りします。
例えば、貯金が1000万円あった場合、その価値は500万円になります。
一方で、国の借金が1000兆円だった場合、価値は500兆円に目減りします。
3、結果的に、国民は買えるものが減って、国は税率を上げなくても、お金の価値が下がって借金が目減りしたことになるので、増税されたのと同じ効果を持ちます。
日本の現状です。
全国の消費者物価指数は11月、前の年の同じ月と比べて3%上昇しました。
これで、51カ月連続で上昇しています。
「お金(円)の価値は、5年前と比べて約1割減少している」
2020年の1000円が、2025年には約900円の価値になっているということです。
■インフレ税で生活格差 低所得ほど負担増 なぜ?
インフレは格差も広げています。
年収別の家計の中の食料費の割合です。
年収1500万円以上は23.6%。
年収200万〜250万円は33.6%。
所得が低いほど負担の割合が増えます。
「酒とたばこはやめた。生活が楽になるかと思ったが、毎月値上げの嵐で大変」だと話しています。
山田さんは、
●1カ月の年金が約9万円、
●生活費は、月約3万5000円、
●近所のスーパーを数店回り、一番安いスーパーで買い物して節約しています。
山田さんの家計簿を見ると、
ボトルコーヒー(900ml)の価格は、2024年は特売で購入して78円でしたが、2025年は125円。
パックご飯(300g)は、2024年は108円で、2025年は192円です。
一方で、富裕層の場合は、現金の目減りを防ぐため、株式や不動産など、価値が時代を超えても保たれる資産を保有しているので、インフレで資産価値が上昇していきます。
東京23区の新築分譲マンションの平均価格は、5年前の2020年は7712万円でした。
それが2023年には1億円を超え、2025年は11月までで、1億3366万円と、2020年の約1. 7倍になっています。
また、2026年も1億円以上を維持する可能性が高いということです。
第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野さんです。
「商品レベルの分析では、安価な商品ほど値上がり率が高い」
なぜなのでしょうか。
高価な商品は、原価率が低く付加価値が高いので、付加価値の中でコストを吸収できますが、安価な商品は、原価率が高いので、値上がりしやすくなります。
その結果、高所得者は、必要に応じて安い商品に切り替えることができますが、低所得者は、もともと安価な商品を購入していたので、より安い商品に切り替えるのは難しくなるということです。
■日銀利上げも 円安進行 インフレいつまで続く?
インフレに対する政府や日銀の姿勢です。
政策金利です。
12月19日、日銀は政策金利を0. 5%から0. 75%に引き上げ、30年ぶりの高い水準になりました。
しかし、市場では、「次の利上げに慎重」という受け止めが広がり、円相場は1ドル=157円台まで円安が進行。長期金利は、19年半ぶりに2%台に上昇しました。
円の価値の下落に歯止めがかかっていません。
政府の現状認識です。
高市総理は、11月、
「今はインフレの状況にあるが、まだデフレを脱却したとはいえない」として、
『デフレ脱却宣言』の発出に意欲を示しています。
「国内外の物価に圧倒的な差がある。日本の物価は、輸入品にあおられて上昇しているので、インフレはかなり長く続くと思われる」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年12月26日放送分より)














