海外ですしの人気がさらに高まっていて、市場規模が年々拡大しています。
すしネタとなる日本産の水産物の争奪戦が激しくなっていて、日本が買い負けるケースも起きています。
課題や今後の取り組みについて、見ていきます。
■すし店悲鳴 海外で魚の需要増 入手困難なネタも
海外で魚の需要が増えています。
「近年、魚が海外勢力に買い負け、仕入れ値が上がっている。価格が倍以上になったものもあり、正直大変」
海外需要が増え、入手困難となっているすしネタは。
『まぐろ』『ほたて』『ウニ』『まさば』などです。
「外国人の舌が肥えてきて、美味しい魚を求めるようになった」ということです。
■海外SUSHIブーム 店舗数増加“日本産”ネタ人気で争奪戦
世界ですし人気が広がっています。
タイのすし店は、2016年は188店舗でしたが、2024年には1279店舗まで増えました。
「週に3回くらい食べる。おいしいし、東京を訪れた時のことを思い出し、気分が良くなるから。『おまかせ』でオーダーして、シェフに魚の産地や種類、調理法を説明してもらうのが気に入っている」
「タイにすし店が増え、外食の幅が広がった。特別な日には『おまかせ』できる店、気軽に彼氏や友人と行きたい時には、回転すし店と、使い分けている」と話しています。
タイでは、日本のすし店が続々と出店しています。
スシローは、2021年に進出し、現在41店舗。
地方エリアにも、出店を進めていて、店舗網を拡大しています。
回し寿司活は、2024年12月に進出し、現在4店舗。
1店舗あたりの売り上げは、日本の約2倍です。
「タイ人客からは、予想以上の良い反応をもらっている。1号店オープンから約1年になるが、満足していただいた方からの口コミで、次々と新しいお客さまが来ている」と話しています。
そして、台湾では、高級すし店が人気です。
台北市にある『吉兆割烹寿司』は、2008年にオープン。
8年連続でミュシュラン一つ星を獲得しています。
『おまかせコース』は3万5000円ですが、1カ月先まで予約で満席です。
“売り”の1つが日本産の食材です。
食材は、95%が日本産。
週6回、日本から空輸していて、仕入れから最速12時間で店舗に届きます。
「基本的に、その日とれた食材を、その日の夜に提供している。以前は台湾の食材を使っていたが、今はほぼ日本産。お客さんの舌が肥えていて、日本産でないと『違う』と言われてしまう」
世界のすし市場は年々拡大しています。
2025年は、約1兆6000億円でしたが、2032年には、約2兆3000億円規模になる予測です。
一方で、日本でとれる人気のすしネタは減っています。
クロマグロの漁獲量は、1973年は4万8534トンでしたが、50年で1万3131万トンまで減少。
他にも、マアジやサバ類、クルマエビなど、漁獲量が減少している水産物が多くあります。
「日本の漁場は、海流の影響などで四季折々おいしい魚がとれる。しかも鮮度維持の技術や、高度に発達した流通システムがあるため、“日本産”は人気が高い。世界のすし需要が高まる一方、水産資源は減少しているため、日本の水産物は取りあいの状況になっている」
■海外から注文殺到で価格高騰 日本は買い負けも
日本の仲卸業者の実情です。
2026年、『一番ウニ』が史上最高値をつけました。
2026年の初競りで、北海道函館産のムラサキウニ400gが、3500万円と2025年の5倍の値をつけました。
「一番最高級のウニを、日本勢でとってうれしい。ドバイやニューヨークからもオファーがあり、他の高級ウニを海外用に競り落とした」と話しています。
豊洲市場では、2018年の開場当初から、海外のバイヤーや業者からのオーダーや取引が増加して、鮮魚の価格が高騰しています。
高級鮮魚3500円が1万円前後になっていて、国内の小売店やすし店は買いづらくなっています。
「7、8年前から、日本の小売店がかなり買い負けているという感覚は、市場にいても感じる。『それ100匹ください』とか、持っていく量がすごい。日本で使わないサイズまで買っていく。相場はどんどん上がっている」ということです。
こうした状況の中で、『山治』は、2010年ごろから本格的に生鮮魚を独自に海外輸出しています。
輸出先は、アメリカ、カナダ、ドバイ、アブダビ、バーレーン、シンガポール、マレーシア、タイ、オーストラリアなど、16の国と地域です。
輸出額は、年間約30億円〜40億円で、10年前の約3倍です。
海外で人気の鮮魚は、金目鯛、きんき、マグロ、ウニ、イクラ、タラバカニなど、赤い魚や見た目が派手なものです。
味は、脂が多い魚が好まれる、といいます。
すし用のお酢やつまの注文もあるということです。
「日本人の魚離れが激しい中、漁業関係の将来のため、海外への販路拡大でやってきたが、日本の魚を海外にやりすぎてもな、という複雑な思い。漁獲量も減り、日本で魚が買えない、食べづらくなるという危機感はある。海外に負けないため、給食で魚を出すなど、日本の魚文化を復活、国内消費を増やす政策が必要」
■すしネタピンチ?海水温上昇・漁業者減少の課題も
日本のすしネタの未来です。
「海外からの需要が増える以前に、日本の水産資源減少の要因と向き合っていくことも大切」と話しています。
水産資源が減っている要因 1つ目は、『海水温の上昇』です。
日本近海の平均海面水温は、年々上昇傾向で、2019年までの約100年間で、1. 14℃上昇しました。
水産資源が減っている要因2つ目は、『漁業就業者の減少』です。
この30年で半分以下に減りました。
平均年齢も、1993年は52. 1歳でしたが、2023年は57. 1歳に上がっています。
水産資源が減っている要因 3つ目は、『過剰な漁獲』です。
「親をとりすぎたり、まだ子どもの魚をとってしまうことにより、本来の水産資源の量が減少」しているといいます。
すしネタへの影響です。
将来も残りそうなネタは『まぐろ』『サーモン』です。
「まぐろは国際機関で、サーモン養殖はノルウェーなどで、適切に管理されている」
注意が必要なのが『たい』『ウニ』『ひらめ』『ほたて』です。
「ほたては、現在もとれる量が減っている。ひらめ、たい、ウニは、水温上昇や後継者不足を解消できるかどうか。養殖もので残るかもしれない」といいます。
大ピンチなのが『イクラ』と『いか』です。
「イクラは、水温上昇によりサケが激減。いかは、過剰な漁獲により、現在も極端に数が少ない」ということです。
こうした中、水産庁も水産資源を増やす取り組みを行っています。
2018年に『漁業法』が改正され、魚の種類ごとに漁獲可能量を決め、漁獲量を抑える仕組みを順次拡大しています。
漁業法は約70年ぶりの改正でした。
ただ、課題もあります。
「漁業者と行政のコミュニケーションが十分でなく、『稼ぎが不当に減るのではないか』という不信感が生まれ、TAC拡大(漁獲可能量の規制)がなかなか進んでいない。漁業者が納得できる公平さを確保したルール作りが必要」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年1月15日放送分より)

















