国の重要文化財である「旧奈良監獄」が改築され、高級ホテルとして生まれ変わった。日本初となる「監獄ホテル」の全貌と背景に迫る。
ミュージアムは4月に先行オープン予定
「いろいろ紆余(うよ)曲折あり、長い時間が経ったんですけど、開業できそうで本当に良かった」
星野リゾートが最高級をうたうホテルが6月、奈良にオープンする。
そびえ立つ高い塀。窓には鉄格子。1908年に建設された旧奈良監獄を改装した「星のや奈良監獄」。2017年に国の重要文化財となった、この施設の赤れんが建築はロマネスク様式が用いられている。
明治政府が監獄の近代化を目指して建設した五大監獄の1つで、唯一、当時の姿を残している。
中央看守所から放射状に延びる5つの収容棟のうち、4棟に客室が作られ、48室すべてがスイートルームだ。
年季を感じさせる手積みのれんが壁など、落ち着いた雰囲気の一室。こちらの客室「The 10−Cell」は、受刑者が収容された10の独居房をつなぎ合わせたものだという。
宿泊料は1泊14万7000円から。食事は「星のや」自慢のフランス料理が楽しめる。
残りの1棟は旧奈良監獄の歴史や施設を知ることができるミュージアムで、4月に先行オープンする予定だ。
窓から風光明媚(めいび)な景色が見られるわけでもないが、総支配人は「星のや奈良監獄」の魅力は特別なものだと話す。
「『星のや奈良監獄』に関しては、壁の中で日々の喧騒(けんそう)とどのように離れて自分自身と向き合うか、自分自身を見つめなおす体験に昇華している点が、まさにこの場所でしか成立しない価値だと感じた」
奈良県、補助金で宿泊施設増加
今回のホテルが誕生する奈良県だが、宿泊施設については特別な事情があった。
東大寺などの名所は多数あるが、奈良には観光客が泊まる宿泊施設が少ないという課題があるそうだ。
奈良県の旅館・ホテルの客室数は、全国ランキングで長年最下位だった。2019年からは少しずつ順位を上げ、2024年度時点で43位となっている。
では、一体なぜ奈良県には宿泊施設が少ないのか?
奈良県の産業創造課によると、「奈良は観光客が多く来てくれるものの、大阪や京都に近いので日帰り客が多い。建設用の広い土地もあまりなく建てるにしても高さ制限もある、といった背景もあるのでは」とのことだ。
こうした状況から脱却するために、奈良県ではホテルや旅館などの誘致を進める「奈良県宿泊施設立地促進事業補助金」という制度を開始。最大で2億円を補助するなどして、宿泊施設の数を増やしてきた。その結果、2024年には宿泊者数が過去最高のおよそ329万人になったという。
奈良県産業創造課は、「補助金など宿泊施設を増やす取り組みを続けてきた結果、客室数も少しずつ増えてきた。現在1万426室ある客室数を目標の1万2000室に向けて引き続き頑張っていきます」と抱負を語った。
(2026年1月21日放送分より)










